私は今では文章を書く仕事をしておりますが、子供の頃から国語の成績が悪く、中高では常に留年・退学の危機にあり、大学も国語ができないからという消極的な理由で理系の大学に進みました。
国語の課題で特に辛かったのが、文章作成でして、原稿用紙5枚以上などノルマのある課題が特に苦手でした。
国語教育における文章作成では長い文章を書けることが評価されるようで、他の日本人の多くも、長い文章が優れていると教育(洗脳?)されているのではないかと思います。
確かに、文学の世界ではそうなのかもしれませんが、社会に出て感じるのは、ビジネスの世界では全く逆で、文章は短くしなければならないということです。
長い文章を書くのは時間がかかりますので、時間がかかるということはコストが掛かるということになります。
また、長い文章は読むのも時間がかかりますので、社長さんやお偉いさんに読ませる文章が長い場合には、それだけ会社の貴重な時間を奪うことになります。
また、人間が追いかけられる論理展開はせいぜい3段階位ですので(3段論法というのもありますが・・・)、文章が長いと論理展開が多くなり、最後の方は何を話しているのかわからない意味不明な文章となります。
そう考えますと、例えば、国語の課題では、「2ページ以内で書け」というような上限を設けて、短い文章で意味のある文章を書かせる訓練を行うことの方が有益と思います(作家を目指す人は別です。)
短く書くというのは、特許の世界でも重要でして、特許請求の範囲の記載は無用な修飾を廃し、簡便に書くことが、権利行使のために重要です。
また、外国へ出願する場合には翻訳料を節約する意味でも、明細書本文は短くすることが好ましいです。
さらに、文章が長いと論理が不明確となりやすいので、解釈に疑義が生じないように、明細書や契約書等の法律文章の文言を考える場合には、文章を短くすることが必要です。
こういう実務的な内容を学生時代の国語教育に入れるべきかどうかという話にはなると思いますが、理系の学生には論文作成という大きな壁がありますので、大学1、2年の時期にライティングの訓練を受ける必要があると思います。
2014年11月8日土曜日
2014年10月31日金曜日
オープンとクローズについて
最近はオープン・クローズ戦略という言葉が一般に使われるようになりました。
オープン・クローズ戦略とは、製品にオープン領域とクローズド領域をつくり、クローズド領域については特許網を築いて(もしくは、ノウハウとして)独占的に実施するとともに、オープン領域については標準化して、製品のディフュージョンを図る戦略をいうと思います。
しかし、 オープン領域とクローズド領域の区分けをどうすればよいのか、という疑問が残ります。
技術的に考えれば、製品を技術的な構成要素に分解して、自社のコア技術を有する構成要素をクローズド領域にして、汎用技術の部分をオープンにするという考えもあると思いますが、おそらくこの考えは正しくないでしょう。
オープン領域とクローズド領域とは、結局のところ自社と他社の役割分担の話となるので、クローズ領域は儲かる領域とすべきと思います。
つまり、技術から考えるのではなく、収益のキーとなる部分をクローズ領域とし、儲からない部分をオープン領域としたいところです。
この場合に考えるべきことは、製品設計に(無理にでも)補完関係を作り出すということです。
例えば、インテルの場合にはMPUとマザーボードという補完関係のある製品設計を行い、儲かるMPUについては独占的に実施するとともに、マザーボードについては、複数の企業に参入させ競争させることにより、自社は高い収益を得るとともに、製品のディフュージョンを図っています。
また、プリンターであれば、プリンター本体とインクタンクという補完関係のある製品設計となっておりますが、この場合には、インクタンクをクローズド領域にして、プリンター本体をオープンとしたほうが、利益があがるかもしれません。
そう考えると、これからの製品設計には技術だけではなく、経営的なセンスが必要となるのかもしれません。
もちろん、オープン・クローズ戦略の根本として、知財の知識も必要ですので、これからの製品開発は、三位一体の戦略がますます必要となると思います。
オープン・クローズ戦略とは、製品にオープン領域とクローズド領域をつくり、クローズド領域については特許網を築いて(もしくは、ノウハウとして)独占的に実施するとともに、オープン領域については標準化して、製品のディフュージョンを図る戦略をいうと思います。
しかし、 オープン領域とクローズド領域の区分けをどうすればよいのか、という疑問が残ります。
技術的に考えれば、製品を技術的な構成要素に分解して、自社のコア技術を有する構成要素をクローズド領域にして、汎用技術の部分をオープンにするという考えもあると思いますが、おそらくこの考えは正しくないでしょう。
オープン領域とクローズド領域とは、結局のところ自社と他社の役割分担の話となるので、クローズ領域は儲かる領域とすべきと思います。
つまり、技術から考えるのではなく、収益のキーとなる部分をクローズ領域とし、儲からない部分をオープン領域としたいところです。
この場合に考えるべきことは、製品設計に(無理にでも)補完関係を作り出すということです。
例えば、インテルの場合にはMPUとマザーボードという補完関係のある製品設計を行い、儲かるMPUについては独占的に実施するとともに、マザーボードについては、複数の企業に参入させ競争させることにより、自社は高い収益を得るとともに、製品のディフュージョンを図っています。
また、プリンターであれば、プリンター本体とインクタンクという補完関係のある製品設計となっておりますが、この場合には、インクタンクをクローズド領域にして、プリンター本体をオープンとしたほうが、利益があがるかもしれません。
そう考えると、これからの製品設計には技術だけではなく、経営的なセンスが必要となるのかもしれません。
もちろん、オープン・クローズ戦略の根本として、知財の知識も必要ですので、これからの製品開発は、三位一体の戦略がますます必要となると思います。
2014年10月25日土曜日
航空機ビジネスについて
三菱飛行機のMRJの初号機がロールアウトしたニュースが話題となっています。YS-11以来の国産旅客機ということで大きな期待がよせられていると思います。
しかし、いろいろなニュースをみておりますと、ちょっと気になることがいくつか指摘されていました。
まず、航空機で一番儲かる部分はジェットエンジンであるということです。
ジェットエンジンは単体での価格が高価であるのみならず、一定周期でメンテナンスの必要があることから、ハードとメンテナンスを組み合わせた補完品ビジネスが成立し、利益を上げやすいとのことです。
もちろん、飛行機完成品にもそのような考えが当てはまるとは思いますが、メンテサイクルはジェットエンジンほどではなく、ボンバルディアやエンブラエルなどの競合もいますので、そう簡単には利益を上げることができません。
また、MRJのエンジンは、プラットアンドホイットニー製のものを購入しており、このジェットエンジンは燃費向上のコアの部分となりますが、将来的には、三菱以外の航空機にも搭載されることになるようです。
そうすると、MRJの性能の優位性は大きく失われますので、 ボンバルディアやエンブラエルとの価格競争に落ちいるリスクが高いものと考えられます。
このジェットエンジンのビジネスモデルはインテルのビジネスモデルに近いものとなります。
インテルの場合にはMPUのみを製造し、それが搭載されたパソコンを台湾、日本のメーカーに製造させ、台湾、日本のメーカーを価格競争に落ちいらせて、自社が大きな利益を上げるビジネスモデルです。
MRJも、ボンバルディアやエンブラエルに対抗し、値下げや過大な広告宣伝活動を行うことになるかもしれませんが、その場合一番儲かるのが、MRJ、ボンバルディア、エンブラエルにエンジンを供給しているプラットアンドホイットニーとなるわけです。
言い換えれば、プラットアンドホイットニーが行うべき営業努力を、三菱、ボンバルディア、エンブラエルがやってくれるわけです。そうして、ジェットエンジンが売れればそのメンテナンスで大きな収益を上げることができます。
もちろん、この程度のことは三菱もわかっており、対策を立ててはいると思いますが、MRJの開発には国費も投入されておりますので、儲かるビジネスモデルができていることを期待したいと思います。
一方、ホンダがジェットエンジンの外販を進めるとのニュースもありました。将来的に小型ジェットの3割位のシェアを目標にするそうです。
ホンダは、ホンダジェットという完成品を製造するだけではなく、ジェットエンジンも(自社のみではありませんが)自主開発しております。
素人の目には、ジェット機の完成品が空を飛ぶとすごいな、と感じますが、上記のように、ジェット機完成品は商売上あまり旨味がありません。
そうすると、ジェットエンジンを開発して売りたいところですが、ジェットエンジンは高価なこともあり新規参入のメーカーのエンジンをわざわざ買うことはなく、やはりエンジンとしての実績が必要となります。
ホンダの場合には、ホンダジェットが広告塔となり、ジェットエンジンの優秀性をアピールできます。
そう考えると、ホンダジェットはあくまでも動く広告宣伝手段に過ぎず、ビジネスの本丸はジェットエンジンにあるのかもしれません。はじめからこのような計画であったとしたら、軍師的な人が社内にいるのかもしれません。
もちろん、エンジンの外販は、ホンダジェットと他のメーカーの飛行機との喰い合いが発生し、ホンダジェット自体の売上が低下するリスクもありますが、そのあたりは、F1でも経験していることですので、完成品でも負けない自信があるのでしょう。
しかし、いろいろなニュースをみておりますと、ちょっと気になることがいくつか指摘されていました。
まず、航空機で一番儲かる部分はジェットエンジンであるということです。
ジェットエンジンは単体での価格が高価であるのみならず、一定周期でメンテナンスの必要があることから、ハードとメンテナンスを組み合わせた補完品ビジネスが成立し、利益を上げやすいとのことです。
もちろん、飛行機完成品にもそのような考えが当てはまるとは思いますが、メンテサイクルはジェットエンジンほどではなく、ボンバルディアやエンブラエルなどの競合もいますので、そう簡単には利益を上げることができません。
また、MRJのエンジンは、プラットアンドホイットニー製のものを購入しており、このジェットエンジンは燃費向上のコアの部分となりますが、将来的には、三菱以外の航空機にも搭載されることになるようです。
そうすると、MRJの性能の優位性は大きく失われますので、 ボンバルディアやエンブラエルとの価格競争に落ちいるリスクが高いものと考えられます。
このジェットエンジンのビジネスモデルはインテルのビジネスモデルに近いものとなります。
インテルの場合にはMPUのみを製造し、それが搭載されたパソコンを台湾、日本のメーカーに製造させ、台湾、日本のメーカーを価格競争に落ちいらせて、自社が大きな利益を上げるビジネスモデルです。
MRJも、ボンバルディアやエンブラエルに対抗し、値下げや過大な広告宣伝活動を行うことになるかもしれませんが、その場合一番儲かるのが、MRJ、ボンバルディア、エンブラエルにエンジンを供給しているプラットアンドホイットニーとなるわけです。
言い換えれば、プラットアンドホイットニーが行うべき営業努力を、三菱、ボンバルディア、エンブラエルがやってくれるわけです。そうして、ジェットエンジンが売れればそのメンテナンスで大きな収益を上げることができます。
もちろん、この程度のことは三菱もわかっており、対策を立ててはいると思いますが、MRJの開発には国費も投入されておりますので、儲かるビジネスモデルができていることを期待したいと思います。
一方、ホンダがジェットエンジンの外販を進めるとのニュースもありました。将来的に小型ジェットの3割位のシェアを目標にするそうです。
ホンダは、ホンダジェットという完成品を製造するだけではなく、ジェットエンジンも(自社のみではありませんが)自主開発しております。
素人の目には、ジェット機の完成品が空を飛ぶとすごいな、と感じますが、上記のように、ジェット機完成品は商売上あまり旨味がありません。
そうすると、ジェットエンジンを開発して売りたいところですが、ジェットエンジンは高価なこともあり新規参入のメーカーのエンジンをわざわざ買うことはなく、やはりエンジンとしての実績が必要となります。
ホンダの場合には、ホンダジェットが広告塔となり、ジェットエンジンの優秀性をアピールできます。
そう考えると、ホンダジェットはあくまでも動く広告宣伝手段に過ぎず、ビジネスの本丸はジェットエンジンにあるのかもしれません。はじめからこのような計画であったとしたら、軍師的な人が社内にいるのかもしれません。
もちろん、エンジンの外販は、ホンダジェットと他のメーカーの飛行機との喰い合いが発生し、ホンダジェット自体の売上が低下するリスクもありますが、そのあたりは、F1でも経験していることですので、完成品でも負けない自信があるのでしょう。
2014年10月18日土曜日
職務発明に関する誤解について
特許法35条が改正されるというニュースがあります。
職務発明で揉めた青色LEDに関してノーベル賞が授与されたこともあり、しばらくはいろいろ議論があると思います。
発明者が高額の対価を得た場合、「発明者だけではなく、営業やその他の人も利益に貢献しているのだからおかしい」、とか、「リスクをとっているのは経営者なのだからおかしい」というような意見が散見されますが、これは誤解があると思います。
まず、発明者の対価は利益額に対するものですから、利益の出ない発明に関しては発明者対価が生じることはなく、発明者対価でが赤字となることはありません。
また、例えば、利益額が100億円であった場合、発明者の貢献度が1%としたときには、対価が1億円となります。
ただし、営業の方が大変努力して販売して貢献度が10%であった場合、その対価10億円となります。したがって、発明者より営業の貢献度が大きいことは普通にあると思います。
では、営業の方が会社に訴えを起こして報酬を得られるかというとこれは難しいと思います。なぜなら、そういう法の規定がないからです。
会社を訴えるよりは、会社と交渉して給料を上げてもらう努力をする方が得策と思います。
一方、発明者の場合には、特許法35条に基いて訴えを提起できます。簡単にいえば、法律としては発明者を優遇していることになります(その理由はいわずもがなと思います。)
発明者優遇はけしからん、というのであれば、特許法35条を廃止するよう、国会議員に訴えかければよいと思います。
ただし、特許法35条を廃止することにより生じる、日本経済への影響を見極める必要があると思います。
特許法は経済法でもありますので、要は、日本経済が発展すれば、どのような法律構成であっても構わず、特許法35条がいらないのであれば、削除しても構いません。
また、リスクをとっているのは経営者というのも少しおかしいと思います。
経営者は自分の報酬を自分で決められますから、生じた利益から自分のリスクを取った分を報酬とすればいい訳です。
(報酬を取り過ぎて、発明者対価が低すぎる場合には、発明者から訴えられるリスクが生じます。)
また、経営者は、リスクをとって研究開発や事業を実施するか否かを決定できますから 、リスクをとるのが嫌なのであれば、研究開発をやめて、リスクの低い事業に集中すればいいだけのことです。
結局のところ、一従業員が高額の報酬を得ることによる妬みややっかみが、このような誤解に通じていると思いますので、将来的にはアメリカのようにアイデアがある人は起業するというような方向になればいいと思います。
職務発明で揉めた青色LEDに関してノーベル賞が授与されたこともあり、しばらくはいろいろ議論があると思います。
発明者が高額の対価を得た場合、「発明者だけではなく、営業やその他の人も利益に貢献しているのだからおかしい」、とか、「リスクをとっているのは経営者なのだからおかしい」というような意見が散見されますが、これは誤解があると思います。
まず、発明者の対価は利益額に対するものですから、利益の出ない発明に関しては発明者対価が生じることはなく、発明者対価でが赤字となることはありません。
また、例えば、利益額が100億円であった場合、発明者の貢献度が1%としたときには、対価が1億円となります。
ただし、営業の方が大変努力して販売して貢献度が10%であった場合、その対価10億円となります。したがって、発明者より営業の貢献度が大きいことは普通にあると思います。
では、営業の方が会社に訴えを起こして報酬を得られるかというとこれは難しいと思います。なぜなら、そういう法の規定がないからです。
会社を訴えるよりは、会社と交渉して給料を上げてもらう努力をする方が得策と思います。
一方、発明者の場合には、特許法35条に基いて訴えを提起できます。簡単にいえば、法律としては発明者を優遇していることになります(その理由はいわずもがなと思います。)
発明者優遇はけしからん、というのであれば、特許法35条を廃止するよう、国会議員に訴えかければよいと思います。
ただし、特許法35条を廃止することにより生じる、日本経済への影響を見極める必要があると思います。
特許法は経済法でもありますので、要は、日本経済が発展すれば、どのような法律構成であっても構わず、特許法35条がいらないのであれば、削除しても構いません。
また、リスクをとっているのは経営者というのも少しおかしいと思います。
経営者は自分の報酬を自分で決められますから、生じた利益から自分のリスクを取った分を報酬とすればいい訳です。
(報酬を取り過ぎて、発明者対価が低すぎる場合には、発明者から訴えられるリスクが生じます。)
また、経営者は、リスクをとって研究開発や事業を実施するか否かを決定できますから 、リスクをとるのが嫌なのであれば、研究開発をやめて、リスクの低い事業に集中すればいいだけのことです。
結局のところ、一従業員が高額の報酬を得ることによる妬みややっかみが、このような誤解に通じていると思いますので、将来的にはアメリカのようにアイデアがある人は起業するというような方向になればいいと思います。
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東京オリンピックのメインスタジアムの建設費用が高すぎるとして問題となっています。 今の日本であれば3000億円程度であれば、出せない額ではありませんが、世論的には批判の的となっています。 その理由はなぜかといえば、あのヌメッとしたデザインに3000億円の価値はないと日本国...