2016年10月29日土曜日

物語性について

ベビーメタルさん(以下、BMとします。)が相変わらず人気です。2016年4月のビルボードアルバムチャートでは39位となったことで、実力も伴った世界的人気といえます。

私も、2016年9月20日の東京ドームでのBMのライブへ行ってまいりました。通常のライブのチケットは入手困難ですが、さすがに定員55000人ともなれば、私のようなライトなファンでも入手できました。

ライブの感想は他の方にお任せするとして、私が少し驚いたのは、このライブのコンセプトは「セルフトリビュート」であるとプロデューサーの方が言っていたことです。

通常トリビュートというのは、「著名な」「他の」「もういない」アーティスト(例えば、ビートルズやカーペンターズなど)について行うものですが、自分をトリビュートするという話はあまり聞きません(もしかしたらメタルの世界ではあるのかもしれません)。自分をトリビュートするのはちょっと自意識過剰なのではないか、といううがった印象を与えるおそれもあります。

今回の東京ドームは2016年9月19日、20日(それぞれ、RED NIGHT,BLACK NIGHT)で行われましたが、何をトリビュートしたかというと、日本武道館で2014年3月1日、2日(それぞれ、赤い夜、黒い夜)で行われた自身のライブということのようです。

私は、武道館のライブを見ていませんので、ちんぷんかんぷんですが、昔からのファンは盛り上がったと思います。

それでは、 2014年3月の武道館のライブはどうかといえば、これは、2012年7月21日の目黒鹿鳴館でのライブをセルフトリビュートしたもののようです(諸説あり)。鹿鳴館といえば、私も30年くらい前、友人のライブ(メタルバンド・・・)を見に行ったことがありますが、このあたりの用語が出てくると、私くらいの年代の人間は盛り上がってしまいます。

2012年7月21日の目黒鹿鳴館は「コルセット祭り」とされ、これは昼夜の2部構成であることと、セットリストを2部の間で多少変えているところが、武道館、東京ドームと共通するところです。

そう考えますと、鹿鳴館⇒武道館⇒東京ドームという単語が有機的に関連する物語(ストーリー)が構築されていることがわかります。

人間が物事に強い印象を感じるのは、切れ切れの事象ではなく、それらの関連性を理解したときにつよいイメージが形成されます。その方法のひとつに物語を作り上げることがあるかと思います。

BMに関しては、メタルだとかアイドルだとかの議論がなされますが、個々の事象には意味がなく、それらの関連性をどう作り上げるかが、重要となります。BMのプロデューサーの方は、物語を作ることで、それらを成し遂げているのではないでしょうか。そして、物語は模倣しにくいので、BMに類似のバンドをつくろうと思ってもなかなかできません。

2012年鹿鳴館⇒2014年武道館⇒2016年東京ドームとくれば、もう予測がつくと思いますが、2018年に、鹿鳴館・武道館に匹敵するHR/HMの聖地でのライブを2日間行うことが予想できます。おそらく外国になるではないでしょうか(マジソンスクエアガーデン?)。

そうして、丁寧に物語を作ってゆけば、それは、BMがよく使う用語である、「伝説」に本当になるのではないかと思います。


2016年9月22日木曜日

頭の使い方について

ブログを最近お休みしておりますが、それは12月の知財学会発表の用意のためです。当面の目標は9月末の予稿提出となっています。

このブログでは、知財高裁の裁判例を非常にざっくりとみることにしており、これは実務にも大変役立つものでしたが、どうも学会の準備に取り掛かってから、うまくいきません。

それはどうしてかと考えたら、それは、頭の使い方が異なるからかもしれません。

裁判例の分析は、少し前の過去から現在を考える思考となるため、その思考には論理力や厳密性や要求されます。

一方、学会発表は、現在から少し先の未来を考える思考となるため、厳密性には限界があり、むしろ、その思考には「面白さ」が要求されます。

そうすると、学会発表や判例分析を同時にすることは、思考法の切り替えが必要となるため、不器用な自分にはできそうもありません。

学会発表の内容に、論理力や厳密性を要求しすぎると、ありきたりのつまらない内容になりますので(もちろん、ある程度の論理性や厳密性は必要ですが・・・)、やはりどちらかに集中した方が、効率がよいと思います。

とはいえ、厳密性と面白さの対立構造は、企業内でもあると思われ、例えば、大企業の中で面白いアイデアを思い付いた場合でも、会社からは、論理性や厳密性を過度に求められ、アイデアがつぶれてしまうことも多いと思います。

逆に、アイデアをたくさん出すことを自慢する人もいますが、論理性や厳密性の要求を乗り越えることができず、アイデアを実現できていない場合には、自慢に値しないとも思います。

私の学会発表のお題目は「ブランドQFD」となっております。これは、古くからあるQFDをブランド分析に役立てるものです。

内容的には、簡便な内容としたいと思います。複雑すぎると多くの人に理解していただけないからです。しかし、あまりに簡便ですと、手抜きのようにも思われてしまいますので、バランスが難しいところです。

2016年8月6日土曜日

知財高裁判決(2016年6月26日~2016年7月2日)



2016626日から201672日までになされた裁判は、侵害訴訟6件(特許3件、著作権3件)、審決取消訴訟1件(商標1件)です。

1.侵害訴訟

(1)平成27()10042  著作権侵害差止等(東京地方裁判所 平成25()15362
平成28629日判決 控訴棄却(2部)
著作権
著作物性,複製・翻案

(2)平成27(行コ)10004  異議申立却下決定取消(東京地方裁判所 平成27(行ウ)202
平成28629日判決 控訴棄却(2部)
特許権
行政不服審査法21条違反の有無

*コメント
地裁判決はこちらです。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/487/085487_hanrei.pdf

弁理士Aが翻訳文提出期間を徒過したので、提出を認めてもらうべく、行政不服審査法上の異議申立をしたら、弁理士A,B,Cの3人とも代表者の資格証明書面を提出できなかったので、申立も却下され、それに対する訴えです。

(3)平成28()10019  著作権侵害差止等(東京地方裁判所 平成27()15005
平成28629日判決 控訴棄却(4部)
著作権
契約の成否,著作者人格権(氏名表示権)

(4)平成28()10017  損害賠償(東京地方裁判所 平成26()34145
平成28629日判決 控訴棄却(4部)
特許権 Web-POS方式)
構成要件充足性,均等侵害

*コメント
本件意見書において,引用文献1に記載された発明における注文情報には商品識別情報が含まれていないという点との相違を明らかにするために,本件発明の「注文情報」は,商品識別情報等を含んだ商品ごとの情報である旨繰り返し説明したものである、・・・本件ECサイトの制御方法において,管理運営システムにあるサーバが取得する情報には商品基礎情報は含まれていないから,同制御方法は,本件発明の特許出願手続において,特許請求の範囲から意識的に除外されたものということができる。・・・ということで、意見書で限定的な主張をしすぎますと、均等の第5要件を主張しにくいといえます。あと、第2要件もみとめられておりません。

(5)平成28()10007  特許権侵害行為差止等(東京地方裁判所 平成26()25196
平成28629日判決 控訴棄却(4部)
特許権 (振動機能付き椅子)
均等侵害

*コメント
拒絶理由通知に対応して,座席支持機構を特段限定していない旧請求項1を削除し,座席支持機構にロッド2点支持方式を採用する旧請求項2(本件発明)等に限定したものである。そして,本件発明の出願時には既に,座席を連続して揺動させることが可能な乳幼児用の椅子等の座席支持機構として,コロと湾曲レールを利用した方式が存在することは周知であり,コロと湾曲レールを利用する方式に係る座席支持機構は,上記のとおり削除された旧請求項1に係る座席支持機構の範囲内に客観的に含まれるものである。・・・ということで、中間処理時の補正が意識的除外とされ、こちらも、均等の第5要件が認められませんでした。あと、第1要件もみとめられておりません。

(6)平成28()10005  著作権侵害差止等(東京地方裁判所 平成27()6058
平成28627日判決 控訴棄却(2部)
著作権
著作物性

2審決取消訴訟

(1)平成28(行ケ)10045  審決(無効・不成立)取消
平成28629日判決 請求棄却(4部)
商標権 (「吉村流」)
公序良俗違反(417号),その他(418,10,15,19号)





2016年7月24日日曜日

終わりの始まりについて

ポケモンGOというゲームが人気だそうです。

私は、ポケモンも知りませんし、スマホももっておりませんので、このゲームについて語る資格はないのですが、ポケモンGOが任天堂の久々のヒットという報道には違和感を感じます。

ポケモンGOは、いわゆるスマホのゲームですので、googleやappleのプラットホームを使用したゲームとなります。

この手のゲームで一番儲かるのは、プラットホームを運営しているgoogleやappleとなります。任天堂も儲かるかもしれませんが、それは、googleやappleを儲けさせているにすぎません。

従来の任天堂はwiiやDSなどの独自のハードを開発し、ゲームを提供していました。この場合には、儲けを誰かにかすめ取られるということはありませんので、自社の大きな利益につながります。

しかし、この考えをやめ、googleやappleのプラットフォームを利用する方針に変更するのであれば、これは、終わりの始まりとなる可能性が高いと思います。

結局のところ、プラットフォームを運営するほうが、ビジネス的にはおいしいといえますので、あんまりどっぷりとつからずに、独立を維持するか、もしくは、独自のプラットフォームを立ち上げた方が、将来的にはよいのではないかと思う次第です。

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