2021年4月10日土曜日

量的分析と質的分析について

最近はテキストマイニングを使用して特許分析などやっておりますけども、テキストマイニングのもともとの用途は文書分析となります。

文書の内容を把握するため、言葉に分解して、その関係性を探る、というのが、主なテキストマイニングの使い方です。

文書を取り扱えることから、人文学や社会科学の分野でよく使われているようです。

それで、こういう言語を用いた分析手法を質的分析というそうです。数値を用いた分析を量的分析というそうで、その内容を私なりにネットで調べた結果をまとめると以下のようになります。

 

 

量的分析

質的分析

タイプ

仮説検証

仮説生成

分析対象

数量

言語

分析手法

統計

文脈

解釈

客観的

主観的

目的

法則の発見

意味の発見

特許情報分析

IPランドスケープ

課題-解決マップ、QFD

事業分析

マーケティング

ブランド、デザイン

 

まず、タイプですが、量的分析の場合には仮説検証型とななるそうです。これは理系の人やMBAの人にはなじみ深い考え方となります。

一方、質的分析の場合には仮説生成型となるそうです。仮説が生成されてしまいますと困るような感じもしますが、これが意味するところは勉強不足のためよくわかりません・・・。

少なくとも仮説検証を目的として質的分析を行うことはやめた方がよいことはわかりました。

分析対象ですが、量的分析の場合には、数(数量)となり、質的分析の場合には、言葉となります。量的分析は理系の人間ならばよくわかるところですが、言葉を分析するとは、よくわかりません。

分析手法ですが、量的分析の場合には、数を対象としますので統計的手法が用いられますが、質的分析の場合には、文脈(言葉のつながり、コンテクスト)を用いて分析を行います。

解釈ですが、量的分析の場合には、統計的に分析しますので、客観性が比較的高いものとなります。一方、質的分析は、解釈者の主観が大きく介在しますので、客観性はどうかというところとなります。

このようなことから質的分析は、科学的でないとか、うさんくさいとか、再現性がないなどの批判を浴びがちとなります。 

目的ですが、量的分析の場合には、法則の発見となり、質的分析の場合には、意味や価値の発見となります。

特許情報分析にあてはめますと、量的分析はIPランドスケープとなり、質的分析はQFDとなると思います。

つまり、IPランドスケープは、仮説検証を目的とし、数を対象とし、統計的な分析がなされ、そのアウトプットは客観性が高いとなります。

一方、QFDは、仮説生成を目的とし、言葉を対象とし、コンテクストが分析され、そのアウトプットは主観的、となります。

事業分析に当てはめますと、量的分析はマーケティングとなり、質的分析はブランド、デザインとなります。

つまり、マーケティングは、仮説検証を目的とし、数を対象とし、統計的な分析がなされ、そのアウトプットは客観性が高いとなります。

一方、ブランド、デザインは、仮説生成を目的とし、言葉を対象とし、コンテクストが分析され、そのアウトプットは主観的、となります。

私もテキストマイニングを使用して特許分析などしますと、分析者の主観が入り込むことから、とても違和感があったのですが、上記のようにまとめますと、主観的になるのはある意味当然ということで安心しました。

もちろん、量的分析と質的分析は対立するものではなく、一緒にやった方がよいのはいうまでもありません(混合分析ともいうそうです)。

ということで、特許情報の質的分析ということで、新しいジャンルをつくっていこうかなと思います。

2021年4月8日木曜日

テキストマイニングを使った特許分析など

早いもので、もう4月となりました・・・。

1~3月は、家の事情により忙しかったのですが、ようやく時間的な余裕が出始めましたので、そろそろ本年度の作業を進めたいと思います。

内容としては以下の2つとなります。

1.知財デザイン本の執筆

執筆といっても、いきなりは書けそうもありませんので、まずは骨子作成や事例作成を細々とやりたいと思います。

事例につきましては、テキストマイニングを使った特許分析をやろうかと思います。

内容としては、以前論文に書いたような↓

「月刊パテント/別冊パテント」目録検索システム│日本弁理士会 (jpaa.or.jp)

ことをやろうと思います。

つきましては、事例作成にご協力いただける企業様がございましたら、ご連絡いただけますようお願いいたします。

2.知財学会発表

今年のテーマは、「テキストマイニングを使用したMFTモデルの作成」となります。MFTモデルとは、MFTフレームワークを私が勝手にモデル化したものです。

MFTフレームワークとは、以下のような定義となります。

MFTとは、Market(市場)、Function(機能)、Technology(技術)の略で、市場と技術の間にある機能に着目することで、技術の活用が可能な市場を幅広く検討できるフレームワークのことを示します。

ただし、今回はやり切れるかどうかわかりませんので、5月にひとまずエントリーしますが、8月中にアウトプットがでない場合には、9月にエントリー取り下げというようなやや弱気な感じで進めたいと思います。 

この件につきましては、共同で作業していただける方を募集したいと思いますので、ご希望の方はご連絡願います(なお、当然お金にはなりません)。

それでは、1日1時間は作業時間を確保して、上記作業を進めたいと思います。

2021年3月22日月曜日

特許は未来の選択肢

 大学院生のとき、幕張の試験場で限定解除というものを(苦難の末)とりましたが、当時も貧乏でしたので、20万円:4年ローンで買いました中古のSRX400というバイクに乗っておりました。

 

そんな中、一足早くレコード会社に就職しておりました友人と、夏休みに東北地方へバイクツーリングへゆくことを計画しました。

 

ひとまず仙台あたりに宿をとろうと思いましたが、盛岡あたりまで行ければ工程の自由度が高まりますので、どうしようとなりました。

 

しかし、渋滞の可能性や疲労を考えますと、仙台辺りで一泊が無難と思い、提案しました。

 

そうしましたところ、友人のいうところ、仙台と盛岡の両方を予約すればよい、という驚きの提案がありました。

 

当日、スムースに盛岡に到達できそうなら、仙台をキャンセルすればよいし、渋滞に巻き込まれたら盛岡をキャンセルすればよいという、太っ腹な意見でした。

 

もちろん、当日キャンセルすれば、最悪宿泊代100%を無駄にすることになりますので、貧乏な私には受け入れられない提案でした・・・。

 

時間があるが金がない院生と、時間はないが金はある社会人とでは、価値観が異なりますので、上記のごとくなりましたが、これは、将来の選択肢を金で買う、という考えとなります。

 

友人は一足早く社会に出ておりましたので、将来の選択肢確保の重要性に気が付いていたのだと思います。要は将来の選択肢確保のために(たとえ、無駄になる可能性が高くとも)金を出す、ことがビジネス上の生き残りには必須な考えかと思います。

 

さて、話は変わりまして、いろいろな会社の特許の仕事をしておりますと、特許出願するか、しないか、の議論となることが多いです。

 

特許出願した場合の効果としては、将来のビジネスの選択肢が増える、特許出願しない場合の効果としては、将来のビジネスの選択肢がなくなる、ということになると思います。

 

もちろん将来どうなるかはわかりませんので、特許出願するかしないかの議論の時点では、将来必要となるかはわかりません。

 

そうしますと、特許出願に費用は掛かりますが、ビジネスの選択肢として残す、というのがよいと思います。ただし、予算に余裕がない場合には、判断して、選択肢を失っても後悔しないという決断が必要となります。

 

いずれにせよ、将来の選択肢をお金で買う、という考えは、ビジネスのみならず、人生にも応用できる考えと思いますので、必要な時にお金を出せるようにしたいものです。

2021年3月4日木曜日

アナリシスとデザインについて

昔の資料を整理しておりましたら、ネットで拾った吉川先生の一般設計学の講義のパワーポイントを見つけました。

↓まだこちらで見れるようです。

http://www.robot.t.u-tokyo.ac.jp/asamalab/lectures/lecture6/files/20110112GeneralDesignTheory.pdf

しかし、内容が難解でしたので、真剣には読んでおりませんでしたので、この機会に少し読んでみました。

パワポの10ページに以下の図がありました。

 

この図は、分析と設計の関係を表した良い図と思います。

特許の世界でも、特許情報分析を行うことがありますが、分析結果はいくつかの法則性がわかることであり、分析により、何か新しいものが生まれる訳ではありません。

新しいものを生み出すには、分析により得られた法則を組み合わせる作業が必要となります。この作業がいわゆる設計(デザイン)となります。

ということで、今後はアナリシスの後工程としてのデザインが重要となると思います。

ここからは脱線ですが、上記パワポによれば、分析は、常に正しい、正当性がある、ような結果が得られるようです。

一方、デザインの方は、誤りうる、というおそろしい言葉が書かれております。

そう考えますと、例えば、人の失敗を責めるような企業文化がある企業では、デザイナー的な人は失敗により出世できない、アナリスト的な人は出世しやすい、ようなことがありそうです。

しかし、社内にアナリスト的な人が増えますと、新しいものは生まれませんので、企業としては衰退する、というようなことがあると思います。

そう考えますと、アナリシスとデザインのバランスを図ることが、特に、製造業では必要と思います。

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