2021年4月28日水曜日

製品の個性について

最近見るテレビ番組がなく、BSをだらだら流し見しておりましたら、ウィスキーに関する5~10分くらいの短い番組をやっておりました。

詳しく記憶しておりませんですので、また、お酒にも詳しくありませんので、間違っていたら申し訳ありませんが、まず、オーク樽を作る製造者の紹介がありました。 

ウィスキーは蒸留した後、オーク樽で熟成すると思うのですが、釘をつかいますと味に影響が出ますので、オーク板を職人が1枚ずつ現物合わせで組み合わせて樽を作ります。

しかし、オーク自体は曲面加工等難しいので、どうしても漏れが生じます。そこで組み立てた後、漏れ箇所をチェックして、漏れる場所にはくさび等打ち込んで、調整してゆきます。

要は、オーク樽をつくるのには結構な工数がかかります。値段で言えば、高級家具と同じくらいになるのではないかと推察します。

次に、ウィスキーはピートを用いて蒸留すると思いますが、ある製造者はピートを求めて、根室付近の湿地帯のそばに蒸留所を建設したような紹介がありました。

根室のピートと、そのピートを通過した水をウィスキーづくりに使用することにより、独特の風味がでるようです。

私のような工業出身の人間が考えますと、オーク樽をやめてステンレスの樽にすればコスト削減できそうです。もしくは、人件費の安い国でつくって輸入すればよいとも考えます。

また、湿地帯のそばのような辺鄙な場所に蒸留所をつくるのではなく、ピートは適当にスコットランドのものを輸入すれば、コスト削減になると感じます。

しかし、わざわざ(あえて)、オーク樽を内製化したり、根室のピートと水を求めたりするかといえば、そうすることによって、ウィスキーに個性が出るからと思います。

誰でも購入可能な樽やピートをつかって作るウィスキーは、誰でも作れる個性のない風味となります。ウィスキーは趣味的な飲み物ですから、個性がないのは存在価値もないことになります。

ウィスキーに限らず、ワインも、原材料やテロワール、ドメーヌ等が重要となるのも同様の理由と思います。

ブランド的に言えば、属性の組み合わせで差別化するのが、お酒の考え方となります。

一方、工業製品は個性がなくなりがちです。パソコンやスマホは、CPUやらメモリーやらディスプレイやらを購入して組み立てるだけとなってしまったので、製品として個性を出すのはもはや無理な状況です(したがって、安くつくるしかありません)。

例えば、CPUだけ内製化したパソコンをつくれば差別化できるかもしれません。ただし、価格が高くなりますので、結局売れないでしょう。

お酒が内製化により個性を出せる(差別化できる)のは、趣味的な商品だからと思います。

いずれにせよ、工業製品においては、属性を組み合わせる場合には、個性を失っていないかチェックが必要と思います。 そうしませんと価格競争に巻き込まれ、体力のない企業から撤退となると思います。

2021年4月22日木曜日

知財デザインの本の案

掲題の件、構成を考えてみました。

1.導入部

前提部分の簡単な説明となります。長々と書いても意味はありません(誰も読まない)ので、手短に記載したいと思います。

内容としては、QFDを使用する動機づけのための、こじつけとなります。

(1) 分析と設計について

特許情報分析により、新製品を開発したいという要望がでることがありますが、それは難しいことをここでは説明したいと思います。

分析は現状把握には向きますが、新製品の開発のためには、別途設計行為が必要となります。

分析結果を利用して、設計を行うことができるかどうかが、知財デザインプロセスのポイントとなります。

(2) 量的分析と質的分析について

従来の特許情報分析は量的分析といえます。量的分析によれば企業の競争状態を的確に把握できますが、量的分析の結果から、製品設計という流れにもってゆくのは難しいことをここでは説明したいと思います。

製品設計のためには、質的分析が必要となります。質的分析とは、デザイン要素の関係性を分析して、製品の意味を分析する手法となります。

2.事例編

事例では、特定商品について分析と設計とを1セットで実施します。つまり、分析のみではなく、実際に設計します。ツールはKHcoderとなります。

I 事例1:おむつの事例(新製品開発)

 (1) 分析ステップ

「テキストマイニングを使用したブランドQFDの作成」を流用します。

ブランドQFDにより、自社・競合他社製品のブランド分析を行い、自社製品開発の方向性を決定します。

 (2) 設計ステップ

「テキストマイニングを使用した多空間デザインモデルの作成」を流用します。

自社製品開発の方向性に基づいて、新規製品を設計します。

II 事例2:〇〇の事例(新事業開発)

 (1) 分析ステップ

「テキストマイニングを使用したMFTフレーム分析」ということで事例をGW中に作ります。

3~4社が競合した製品についてQFDを作成して、競争状態分析(量的分析)と製品分析(質的分析)を試みます。

 (2) 設計ステップ

「テキストマイニングを使用したMFTモデルの作成」ということで、知財学会向けの事例を作成します。

MFTモデルを用いて、新規事業の探索を行います。(実際に事業化までを行うことはできません・・・ので、候補探索で終わりとなります。)

事例は計4つくらいあるとよいと思いますが、1年で1つずつ細々と増やそうかと思います。こんな感じでどうでしょうか。

2021年4月19日月曜日

知財デザインプロセスについて

前回までの内容を鑑みまして、知財デザインプロセスをまとめますと以下のようになります。

 

まず、マーケティングプロセスにより量的な分析をします。次に、QFDによりブランド、デザインの質的分析をします。最後に、多空間デザインモデルにより、質的設計をします。

マーケティングプロセスについては、IPランドスケープとして、多くの方がやり始めている状況ですので、その成果を流用(まね、パクリ?)しようと思います。

QFDについては、私が事例を作るしかありません。実のところQFDは設計行為なのではないかとも思い始めました。そうしますと、上記図はさらに簡略化できます。 

多空間デザインモデルについては、本家の方(KO大学)の活動の再活発化に期待して、私の方は細々とやろうと思います。

知財デザインプロセスによれば、うまくゆけば、情報を処理することにより、新規製品の設計がなされる、ということになります。

(もちろん、アブダクションであることから、なされた設計には誤りがある、という宿命は残ります。)

上図の量的、質的、帰納法やアブダクションについては、言葉の定義についていろいろ指摘がありそうですので、隠し属性として省略し、より簡単な図としたいと思います。

能書きはこのような感じとして、これからGWにかけて、第1弾の資料を作りたいと思います。

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