2022年2月14日月曜日

知財と軍事戦略について

最近は、ロシアがウクライナに戦争を仕掛けるか否かに注目しています。

なぜ、ウクライナで戦争が起きるかといえば、これは地政学的に重要な位置だからです。ウクライナの地名を見ますと、クリミア戦争以来からの激戦地が見つかります。

ロシアは10万を超える陸上部隊を国境に集結し、艦船も太平洋艦隊から増派させているようですので、ロシアにしたらもう事実上戦争は開始している状況です。

すなわち、大規模な部隊展開には巨額の国費が投入されていることになりますので、国内の事情(世論など)を考えますと、やっぱり戦争しない、とはならず、投入したお金を回収できる程度の何らかの利益が得られなければ、ウクライナに攻め込むしかないという状況といえます。

戦争が始まったあとの行方については、予想がつきませんが、ウクライナ人に愛国心がある場合には、ゲリラ戦により数か月続き、そうでない場合には数週間でロシアが占領することになるかと思います。

とはいえ、ロシアは勝てばよいのかといえばそうでもありません。占領統治にはお金がかかりますし、傀儡政権をうまく打ち立てられるかもわかりません。さらに、西側諸国からの過酷な経済制裁が待ち受けます。

そうしますと、ロシアはいずれにせよ、じり貧、ということになります。ロシアのGDPは現状、韓国以下ですし、人口減少速度も高いのでじり貧の国ですが、今回の戦争によって、じり貧になる時期が早まるかと思います。

中国に頼る、という考えもありますが、共産主義の国は信用なりませんので、茨の道となります。

それで、話は変わりますが、知財をこのような軍事戦略にあてはめて考える人が散見されますが、もうやめた方がよいかな・・・と思います。

軍事戦略は、地表が有限な資源であることから、奪い合いが避けられない、ことを前提とした考えです。

一方、知財は無限の資源ですので、誰かがAを取っていたら、自社はBを取ればよい、という考えを取れます。ブランドとか、ブルーオーシャン戦略はこういう考えです。

もちろん、実際の戦争のように、知財でもぶつかりあうという作戦も取れますが、消耗が激しいので、今回のロシアのように、勝っても儲からないのではないでしょうか?

繰り返しますが、軍事戦略は奪い合い、が原則ですが、知財は新しいものを作るという考えですので、特に誰からも奪う必要もありません。なので、最近は戦略という言葉は個人的には使用しないようにしております。

ウクライナですが平和裏に解決することを祈っております。

2022年1月27日木曜日

AIに発明ができるのか?について

ここ数年ですが、すっかりテレビを見なくなりました。

今のテレビは予算が無いようで、安い芸人を使ったクイズ番組ばかりでつまらなくなりましたし、そもそも私ような年寄りの男を対象にした番組づくりもしていません。

では何をみているのかといえば、Youtubeとなります。よく見るが、おっさんYoutuberのgame実況となります。ゲームといっても、ヨーロッパユニバーサリスやハーツオブアイアンなどの戦略game実況をよく見ます。

30年前であれば、自分で購入してこういうゲームをやったと思いますが、今はゲームをやる気力もなくなりましたので、自分でやる必要のないgame実況をだらだらとみるのが楽でいいです。

そんな私ですが、昨日、おすすめ出て、みましたのが以下の番組となります。

ツキノミト(AI)

https://youtu.be/HBHD1CnUeaA

↑Youtubeのリンクですので、気を付けてください。

内容としては、Vtuberのつきのみとさんが、AIに自分のプロフィールや人格?を考えてもらうという内容ですが、なかなか興味深かったです。

何か文章を入力すると、それに続く文章をAIで継ぎ足してくれるというもののようですが、AIの継ぎ足す文章が、近からず遠からず絶妙ですので、面白い文章となります。

つまり、あまり遠いと意味不明になり、近いとありふれた感じとなりつまらなくなります。

番組をみますと、面白い文章を引き出すには、面白い文章が引き出せそうな文章をトライアンドエラーで入力する必要があるような気がします。

また、プロフィールがしっかりしてきますとAIが継ぎ足す文章に意外性がなくなり、つまらなくなるような気もします。

なので、AIに面白い文章を書かせるには人間の努力が必要となるような気もします。

それでまあ、将来AIが発明するようになるかどうかはわかりませんが、AIが発明するとしたら、上記のようなシステムとなると思います。

AIは全特許データを格納し、作業者が入力した用語に関連する用語を提案してゆくような感じとなると思います。

作業者は、例えば、空飛ぶクルマを開発する場合には、まず、クルマの仕様(何人乗りとか、航続距離など)の文章を入力します。

そして、動力源は?と入力するとAIが続く文章を考えてくれるわけです(例えば、モーターやら、ガスタービンやらです)。

場合によっては、意外性のある動力源を提案してくるかもしれません。そういうものは特許出願することになると思います。

そして、制御は?とか、材料は?とか入力してAIと対話することにより、 空飛ぶクルマの全容が確定するわけです。

AIも絶妙な内容を提案してくると思いますので、けっこう実現性のある空飛ぶクルマとなるのではないでしょうか。

むろん、面白そうな空飛ぶクルマにするには、人間が入力する文章のセンスが必要となると思います。そういう意味ではAI任せにできるというわけでもありません。

ということで、このようなシステムはすぐにでもできてしまうような気がします。私はお金も能力もないのでこのようなシステムをつくることはできませんが、誰か挑戦してみてください。

2022年1月22日土曜日

パテント誌の件

拙稿「テキストマイニングを使用した新市場の探索」ですが、月刊「パテント」の4月号に掲載される予定となりました。

予定というのは、決定ではなく、査読により掲載されない可能性もある、ということになりますので、掲載されませんでしたら、そういうことだったということでご理解願います・・・。

パテント誌はこの1月号から原則電子データで発行されることになりました。弁理士会のHPにアップされますので、すぐに見れますのは弁理士のみとなります。ただし希望すれば弁理士以外の方でも書籍としても入手できます(ただし、年間契約だった?と思います)。

以前と同様、記事は発行から2月程度で無料公開されると思いますので、6月くらいには、ここで紹介できると思います。 したがって、無理に購入する必要はないと思います。

さて、今年の目標の一つ、「Excelでできる特許データ分析入門(仮)」のkindle本の方ですが、本業の方も暇になってしまいました・・・ので、今のうちに着手しようかと思います。

しかし、着手するといっても、何から手をつければよいかわかりません・・・。作業量は膨大となると予想されますので、効率的に処理したいところです。

進め方としましては、項目だけ先につくり、その項目に対応する文章を日々地道につくろうかと思います。

項目については、無料のマインドマップソフト(Free MIndなど)を使用して、つくろうかと思います。マインドマップソフトは項目の入れ替えや修正が楽ですし、項目体系を把握できますので、漏れなく重複の無い項目が作成できると思います。

余談ですが、付記試験を受けた時も、マインドマップソフトで訴状体系を自分で作成しましたので、訴状の構成が頭によく入りました。 

項目が100個できたとしたら、1日1個の項目を処理すれば100日で完成となるわけです。これで、だいたいの進捗の管理もできることになります。

内容としては、初級レベル、新書レベル、1000~2000円の本レベル、を目指します。本当であれば専門書レベルと行きたいところですが、その実力がありません。

進捗につきましては、当ブログで逐次ご報告したいと思います。

2022年1月5日水曜日

特許権を取得する意義について

特許権には資産性もなく、有効性も不明確ということで、現状では特許権を取得する意義というのは低そうな気がします。そのため日本の特許出願件数も低下傾向にあります。

とはいえ、特許出願しなくてよいかといえば、そうでもないと考えております(これは弁理士という立場上、バイアスがかかった考えであることはご了解願います・・)。

特許権を取得する意義には、「知識の固定化」があると個人的には考えております。

(1)知識主体の固定化

巷では、「ノウハウは出願せず秘匿すべき」との言説が多く聞かれます。今の会社にはお金がありませんので、出願経費削減の理由づけに上記言説が利用されることもあります。

実際そのとおりですが、問題がないわけでもありません。その一つには、知識の所有主体が不明確となることかと思います。

ノウハウ秘匿を選択した場合には、そのノウハウの帰属は会社となると思いますが、明示されるわけでも確定できるわけでもありません。

例えば、そのノウハウを考案した発明者が転職した場合には、そのノウハウを転職先で使用するかもしれません。もちろん退職者には秘密保持義務はありますが、せいぜい数年の義務ですので、それ以降は、自由に使用する可能性があります。

結局ノウハウ秘匿を選択した場合には、知識の保有主体は考案者にもあるような状態となります。

一方、特許権を取得した場合には、権利主体は、「その会社」であることが明示され確定されますので、退職者が転職先でそのノウハウを使用することは特許権侵害となりますので、自由に使用はできなくなります。

(2)知識内容の固定化

一般に「ノウハウ」といいますが、それは「ふわっとした情報」となります。つまり、技術内容は文章化されておらず、ふわっとした内容となります。

そうしますと、社内のノウハウは何か?と聞かれたときは、ふわっとしか答えられませんし、社内でノウハウを担当者に伝達する場合には、ふわっとしか伝えられません。

知識というのは、単独で存在するのではなく、レゴブロックのような積み重ねで構成されますので、ふわっとしておりますと、その上に新しい知識を積み重ねることができません。

結果として、企業内の知識の蓄積がなされないこととなります。

また、ノウハウについては、特許庁の審査を受けておらず、自社がノウハウと思っているだけで、実際には公知と同等であることも多いと思います。

そして、固定化された知識の積み重ねが石垣となって、ビジネスを守りますので、ノウハウ秘匿ばかりですと、無防備の城のようで、簡単に攻め落とされてしまいます。

特許出願をしますと、特許庁が方式や特許性を審査して、内容を公示しますので、技術内容と主体は、かなり確定的な情報となります。つまり、知識の(自社)固定化が図られます。

この知識の固定は、世の中に対して行われますので、客観性も高い情報となります。これが特許権を取得する意義かな、と今は考えております。もちろん、これを費用をかけて行うかどうかは会社ごとの判断となります。

余談ですが、あまりに特許出願件数が少ないと、自社の特許情報分析ができないことがあります。つまり、出願件数の多い競合の分析は進みますが、自社分析ができませんので、自社・競合比較ができず、特許情報分析自体が無意味化することがあります。結局、自社の強みも明確化できず、ふわっとしたノウハウに依存することになります。

これらを防ぐには、ノウハウも、特許明細書に準拠した文章化をし、新規性進歩性を自社でチェックする必要がありますが、コストをかけてこのようなことをしている企業はあるでしょうか?もしかしたら、あるかもしれません。 

ということで、特許権は石垣の岩の一つ一つのようなものですので、地道に特許出願を積み重ねて立派な石垣を作っていただきたいと思います。

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