「そりゃ、まねされないためでしょ?」 「模倣品が出たら訴えるため?」
よくこんな声を聞きます。確かにその通りなんですが、実はそれだけじゃないんですよ。
「でもうちは訴訟なんてする気ないし、まねされても仕方ないから特許なんていらないよ」
こんな声も時々聞きます。一見もっともらしく聞こえますよね。でも、ちょっと待ってください!それって特許の大事な役割を見落としているかもしれません。
特許の本当の価値って?
特許には実は2つの大切な役割があるんです:
- まねされたときに文句が言える権利(これは皆さんご存知ですよね)
- 自分の事業を守るための「土地」(ここが重要!)
特に2番目の「土地」という考え方、ちょっとピンとこないかもしれませんね。じゃあ、身近な例で考えてみましょう。
ラーメン屋さんの話で考えてみよう
例えば、あなたがラーメン屋さんを開こうとしているとします。
繁華街で良い場所を見つけて、はりきって店舗を建てました。お客さんもたくさん来て、バリバリ商売繁盛!
...でもある日、突然知らないおじさんが来店。 「すみませんが、この土地、実は私の所有地なんですよ。店舗、撤去してもらえます?」
え゛っ!?
さらに「これまでの土地の使用料も払ってくださいね」なんて言われたら...最悪ですよね。
特許も同じなんです
実は特許も、このラーメン屋さんの土地と同じような役割があるんです。
技術を使ってビジネスをするなら、その技術の「土地」(=特許)をちゃんと確保しておかないと、後から「それ、私の特許ですよ?」って言われかねません。
もちろん特許があっても100%安全というわけじゃありません(法律の世界って複雑なので)。でも、特許を持っていれば、かなりの確率で安心してビジネスを続けられます。
「訴訟はしない」は理由にならない
「でもうちは訴訟なんてしないから...」
これって、「私は人の土地を奪ったりしないから、自分の土地の権利書はいらない」って言っているようなものです。
大事なのは、自分から訴えるかどうかじゃなくて、他の人から訴えられたときの「盾」になるってことなんです。
結局どうすればいいの?
特許って、ビジネスをする上での「土地」みたいなものです。
- 攻撃的な使い方:他人の模倣を止めることができる
- 防御的な使い方:自分の事業を守ることができる
だから、訴訟をする気がなくても、事業を安全に続けたいなら、やっぱり特許は取っておいた方が無難ですよ。
お店を出すときに土地を買うのと同じように、新しい技術でビジネスを始めるなら、その技術の「土地」(特許)も確保しておく。
そうすれば、せっかく軌道に乗ったビジネスを、突然の権利主張で止められる心配も少なくなりますからね。
特許って面倒くさそう...って思う方も多いと思います。でも、事業を守るための「保険」だと思えば、そんなに高い買い物でもないかもしれませんね。