2025年9月25日木曜日

Babymetal「水商売」発言はなぜ起きた?「老害」と呼ばれないための思考法

先日、ある音楽評論家が「BABYMETALは水商売」と発言し、大きな波紋を呼びました。

BABYMETALがメタルか否かという議論は、とうの昔に決着がついたものだと思っていました。象徴的だったのは、2014年7月のイギリス「Sonisphere Festival」です。巨大なメインステージに立った彼女たちのパフォーマンスに、本場のメタルファンが熱狂し、巨大な「Wall of Death」が自然発生したのです。この出来事で、彼女たちが世界に認められたのは明らかでした。

なぜ今、これほどまでに的外れな評論が生まれてしまったのでしょうか。そこには、専門家が陥りがちな「思考の罠」があるのかもしれません。

なぜ評論家は「ズレた」発言をしたのか?

音楽に限らず、何かを専門的に評論・分析するには、物事を整理するための「カテゴリ(分類)」が必要です。

件の評論家は、ビートルズが活躍した1960〜70年代の音楽シーンを基準に物事を考えていたのでしょう。彼の頭の中にあるカテゴリには、当然ながらBABYMETALのような新しい音楽は存在しません。

結果として、既存のどのカテゴリにも当てはまらないBABYMETALを、理解できないものとして「水商売」という安易な言葉で片付けてしまったのではないでしょうか。

年を重ね、成功体験を積むと、新しい情報を取り入れて自分の「カテゴリ」を更新する作業が面倒になりがちです。これが、世間との認識のズレを生み、「老害」と呼ばれる発言に繋がるのかもしれません。

これは音楽だけの話ではない

このような「カテゴリの罠」は、あらゆる分野で起こり得ます。

私自身の経験で言えば、2023年に初めて生成AIに関する講演を依頼されたとき、テーマは「DX」でした。当時、生成AIは「DX」や「RPA」といった既存のビジネスカテゴリの文脈で語られることが多かったのです。

しかし、生成AIはそれらとは本質的に異なる可能性を秘めています。既存の枠に当てはめることに違和感を覚えつつも、当時はまだ「生成AI」という新しいカテゴリが社会に浸透していなかったため、そのように説明せざるを得ませんでした。

今や2025年。もし未だに「生成AIはDXの一部でしょ」と言ってしまえば、時代遅れの「老害」扱いをされてしまうかもしれません。

思考のアップデートを怠らないために

新しい現象や文化が生まれたとき、私たちはつい、自分が知っている古い「ものさし」で測ろうとしてしまいます。

最近、世界的に「シティポップ」という音楽カテゴリが人気ですが、1980年代の音楽をリアルタイムで聴いてきた私のような人間にとっては、どうにも「ニューミュージック」という言葉のほうがしっくりきます。

この「しっくりこない」という感覚こそ、自分の思考が古くなっているサインなのかもしれません。

時代に合わせて自分の中の「カテゴリ」を常に更新し続ける。その謙虚な姿勢こそが、「老害」と言われないために最も大切なことなのだと、自戒を込めて思うのです。

2025年9月3日水曜日

2025 知財・情報フェア&コンファレンスでセミナーを開催します。


はじめに

この度、2025 知財・情報フェア&コンファレンスのパテント・インテグレーション様のブースでセミナーを開催させていただくことになりました。

内容は、私の研究テーマである「生成AIによる分類」の紹介と、パテント・インテグレーション様のアプリである「サマリア」の紹介となります。

セミナーの詳細は以下となります。

日時:2025年9月10日 11:00~11:30(予定)
場所:パテント・インテグレーション様のブース

セミナー内容は以下となっております。ふるってのご参加お待ちしております。

セミナー概要:生成AIが拓く特許情報分析の新時代

~特許情報の文脈理解による意味分類から新規事業構想まで~

本セミナーは、「生成AIによる分類」技術が、特許情報活用のあり方をどのように変え、事業活動にどう貢献できるかを全4章の構成でご説明します。増え続ける技術情報の中から有用な知見を得て、将来の事業機会に繋げるための具体的な手法を提示します。

第1章:特許情報の分類の歴史 — なぜ今「生成AI」なのか

●     分類手法の変遷: 特許分析における分類手法は、時代と共に変化してきました。専門家が一件ずつ読み解く「人手分類」から始まり、データベースの発展と共にIPC/FI等の「体系分類」が普及し、近年では「機械学習分類」も活用されるようになりました。

●     これまでの課題: しかし、これらの手法には一長-短がありました。「人手分類」は意味の深い分類が可能である一方、多くの時間とコストを要しました。「体系分類」や「機械学習分類」は高速処理が可能ですが、分析したいビジネスの観点と合わない、あるいは結果の解釈が難しいといった課題がありました。このように「分類の質」と「処理速度」は両立が難しい関係にありました。

第2章:生成AIが可能にする「意味を理解する分類」

●     技術的な特徴: 生成AIは、特許文書に記載された技術の背景、課題、解決策といった文脈を読み取り、内容を理解します。これにより、例えば「顧客体験の向上」「製造コストの削減」といった、事業目的に合わせた「オーダーメイド分類」を、高速に作成できます。

●     提供する価値: この技術は、従来難しかった「人手分類の質の高さ」と「機械処理の速さ」の両立の可能性を示します。これにより、分析は静的なレポート作成に留まらず、対話を通じた動的な情報探索へと変わっていきます。

第3章:【実践】サマリアによる分析業務の効率化

●     ツールの紹介: 分析ツール「サマリア」に、今回新たに「生成AIによる分類」機能を実装しました。この新機能の中核をなすのが、「生成AIによる分類」の結果をグラフなどで直感的に可視化する対話型レポート機能です。これにより、専門家でなくとも、クリック操作でドリルダウン分析(深掘り)を行ったり、関連する情報をAIに問い合わせたりといった、対話的なデータ探索を可能にします。

●     期待される効果: この機能は、競合の動向調査や技術トレンドの把握といった分析業務の質とスピードの向上に貢献します。これまで数週間を要した分析が短時間で完了するケースもあり、データに基づいた迅速な状況把握を支援します。

第4章:【応用】分析の先へ — AIによる事業機会の探索

●     アイデア創出の支援(2024知財学会にて発表): 「生成AIによる分類」を、異なる情報をつなぐ「共通の軸」として活用します。例えば、顧客レビューに含まれる「市場ニーズ」と、特許に含まれる「技術シーズ」をAIが関連付け、新製品コンセプトの発見を支援します。

●     新規事業の構想(2025知財学会にて発表予定): ここでも「生成AIによる分類」を活用し、膨大な特許情報群を「技術的な課題」と「その解決手段」といった複数の戦略的な観点から多角的に分析します。これにより、データに基づいて新たな事業領域を検討し、経営層の意思決定を支援することが可能になります。

結論:「生成AIによる分類」の事業への活用

「生成AIによる分類」の活用は、単なる分析ツールの導入に留まりません。それは、研究開発、製品企画、経営戦略といった事業活動において、データに基づく判断を促進するための有効な手段です。

この取り組みを通じて、特許情報をより有効な資産として活用し、データに基づいた継続的なイノベーション創出を支援してまいります。

2025年9月1日月曜日

【セミナー開催】生成AIを活用した特許実務セミナーを開催します📢

 【セミナー開催】生成AIを活用した特許実務セミナーを開催します📢

生成AIで特許実務を効率化する方法を実践的に解説。 新たにGPT-5の活用法、AI による図面作成、図の認識・意匠類否判断の実演も追加! 知財担当者必見の内容です。 #特許 #生成AI #知財

2025年8月6日水曜日

【セミナー告知】生成AIで知財業務を効率化・高度化!

 【セミナー告知】生成AIで知財業務を効率化・高度化!特許調査や明細書作成等への活用法を解説します。GPT-5の実演も予定🚀知財×AI活用にご関心のある方はぜひご参加ください。

お申込み→science-t.com/seminar/B25085

Babymetal「水商売」発言はなぜ起きた?「老害」と呼ばれないための思考法

先日、ある音楽評論家が「BABYMETALは水商売」と発言し、大きな波紋を呼びました。 BABYMETALがメタルか否かという議論は、とうの昔に決着がついたものだと思っていました。象徴的だったのは、2014年7月のイギリス「Sonisphere Festival」です。巨大なメイ...