私は10年ほど前、NECの生産技術開発本部という部署で働いておりました。その名の通り、NECグループの製造機械を開発・設計する部署でありまして、男ばかりのお固い部署でした。
私がNECに入ってしばらくすると「・・・ソリューション技術部」など横文字が入った部署が増えてまいりました。3K職場の私には、「ソリューション」の部分がなんとなくいけ好かない気がしていました。
ソリューションビジネスの元祖はIBMといわれています。日本勢の攻勢によりメインフレームの販売で劣勢に立たされたIBMが始めたモデルであり、コンサルテーションやシステムインテグレーション、アウトソーシング等のサービスを組み合わせたビジネスをいいます。
簡単にいえば、単なるハードウェアの販売に、情報処理システムを構築するために好適なハードウェアの組み合わせを提案するサービスを組み合わせたものといえるでしょうか。
このようなビジネスモデルのメリットは顧客の課題解決を自社でできることと思います。従来の販売は、顧客が課題を感じ、その解決手段としてハードが売れますので、販売はあくまでも待ちの姿勢となります。
顧客の課題を分析できることができれば、必要な解決手段を販売側で提案できますので、攻めの営業を行うことができます。顧客が気づいていない潜在的な課題を抽出できれば、さらに販売を伸ばすことも可能となります。
マーケティングでは顧客のニーズを探ることが重要とされます。しかしながら、近年ではニーズといえるようなニーズは存在せず、潜在的なニーズを探ることが重要となっています。
ソリューションビジネスは、顧客の課題解決を通じて潜在的なニーズを浮き彫りにできますので、IBMはこのあたりをうまくやって復活を果たしたということでしょうか。
さて、私がNECを退社したのち、NECは半導体やPDPなどの事業を切り離し、ソリューションビジネスに経営資源を集中しました。コアコンピタンス経営というやつです。IBMと同じ土俵で戦うことになりますが、なんとか頑張ってもらいたいものです・・。