2012年8月7日火曜日

特許出願数の減少について

近年は、特許出願の件数を絞る企業が増えています。

その理由は、ノウハウの不用意な開示を防ぐことや、事業性が低い技術の出願を減らしていることが挙げられます。

企業の行動としては正しいとも思いますが、日本国全体として考えた場合には、問題はないのでしょうか?

特許制度とは簡単にいえば、技術情報のストックを作るために存在します。この技術情報をベースとして新たな発明がなされてゆくことが期待できます。

もちろん、タダで技術情報を開示する人はいませんので、開示の代償として独占権を国家として付与します。

つまり、特許出願が減少すると、技術情報のストックが減少します。

イノベーションが技術の新結合により生じることを考えれば、特許出願件数の減少により、日本がイノベーションが起きにくい国になる可能性もあるのではないでしょうか。

さらに、特許出願件数の減少によりイノベーションが阻害され、より一層の出願件数の減少が生じるという負のスパイラルも生じかねません。

こういう言い方は語弊があるかもしれませんが、特許情報とは国民の共有財産のようなものです。アイデアを出し合い、日本の技術レベルを向上してゆくために必要なものです。

もし、世の中に問いたいアイデアがあるのでしたら特許出願をすることも必要と思いますし、国としても特許出願をサポートする制度を設ける必要があると思います。

「専門家なのに、なぜ予測を外すのか?」~未来予測と特許戦略のお話~

 大学生の頃の思い出話から始めさせてください。1987年ごろ、私が国際関係論の講義を取ったときのこと。 教室に入ってきた先生の第一声が、今でも耳に残っています。 「君たちは国際関係論というと、いろんな国の関係を勉強すると思っているだろうが、違う。世界には米ソの2つの超大国しか...