2015年12月19日土曜日

2015/12/6~12/12の知財高裁判決


2015年126日から12日までになされた裁判は、審決取消訴訟5件(特許4件、商標1件)、侵害訴訟1件(不競法1件)です

1.侵害訴訟

(1)平成27(ネ)10070  不正競争行為差止等(東京地方裁判所 平成26()21163
平成27128日判決 控訴棄却(2部)
不正競争
周知性

*コメント
需要者を取引者、消費者と定義した場合に、行うべき主張と提出すべき証拠の整合性がとれていなかったため、原告の商品等表示に周知性が認められませんでした。

2.審決取消訴訟

(1)平成27(行ケ)10067  審決(取消・不成立)取消
平成271210日判決 請求棄却(4部)
商標権 (サンローラン)
不使用(50)

*コメント
被告の証拠に信用力がないとする原告の主張に関して、原告の主張立証活動が何らされていないとされました。

(2)平成27(行ケ)10042  審決(拒絶)取消
平成271210日判決 審決取消(4部)
特許権 (可撓性骨複合材)
進歩性(相違点の判断)

*コメント
本件発明の「顆粒の外表面のほとんどはポリマーで覆われていない」については、引用発明には示されてもおらず技術常識でもないから動機付けがなく、本件発明には進歩性がないということはできないとされました。

動機付け云々については、私も意見書で主張したりするのですが、スルーされたり、設計事項であるとされたり、周知の事項であるとされたりすることが多く、主張の意味はほとんどありませんでした。こういう判決がでますと、特許庁の審査も変わってゆくのではと思います。

(3)平成27(行ケ)10059  審決(拒絶)取消
平成271210日判決 請求棄却(4部)
特許権 (農産物の選別装置)
新規性,進歩性(引用発明の認定,相違点の認定,相違点の判断)

*コメント
引用例1には,本件発明1の「オーバーフロー」の課題についての記載も示唆もないことから,引用発明1に引用発明2を適用する動機付けがないということで、本件発明には進歩性がないということはできないとされました。

(4)平成26(行ケ)10257  審決(拒絶)取消
平成27129日判決 請求棄却(1部)
特許権 (マイクロ波照射による衣類のしわ除去)
新規性

*コメントはありません。

(5)平成27(行ケ)10119  審決(無効・成立)取消
平成27128日判決 請求棄却(2部)
特許権 (渋味のマスキング方法)

*コメント
本件請求項1の、「『0.0012~0.003重量%』の範囲であって,『甘味を呈さない量』」を、「『甘味を呈さない範囲の量』であって且つ、該飲料の『0.0012~0.003重量%』」」へ訂正した場合の発明の同一性について争われましたが、記載の順序を入れ替えたのみで実質的に同一であるとされました。こう書いてしまうと当たりまえと感じてしまいますが・・・。

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