最近感じますのが、いろいろなことの陳腐化速度が速いことです。
たとえば、オープンクローズ戦略というのも、5年前であれば、某先生が盛んに言っておられただけで、世間一般では認知されておりませんでしたが、現在では、中小企業でもオープンクローズ戦略を実行するという時代になっております。
今の旬に、デザイン思考があると思いますが、これもまた、何年後かには、多くの企業で実施されることになると思います。
デザイン思考は有効な考えですが、多くの企業で導入されますと、差別化要因とならなくなるデメリットがあると思います。つまり、やって当たり前ではあるが、それだけでは足りない、という状況になります。
そうしますと、新たな考えをさらに導入する必要が出てまいりますが、その一つにはブランドというもので差別化を図ることが考えられるのではないでしょうか。
ここで、デザイン思考とブランド思考を簡単に比較してみます。
ブランド思考の大きなメリットには、模倣困難ということがあると思います。
特許は、技術を守るものですが、技術は(ほぼ完全な)論理で構成されるため、分析が可能であり、容易に模倣されるという性質を有します(なので、特許権で保護することになります)
一方、ブランドはその世界観が技術だけではなく、文化、芸術、宗教、感性、・・・等、非論理的内容も含みますので、分析しきれず、模倣もしにくいといえるかと思います。
また、デザイン思考に基づく製品は、ユーザーニーズを的確にとらえた製品となりますが、逆にいえば、ユーザーニーズの延長の範囲内の製品しかつくれないといえます。
一方、ブランド思考によれば、ユーザーとは多少の距離がありますので、ユーザーの意表をつく面白い製品ができる可能性があります。
i-phoneやルンバなどは、ユーザーのニーズからは生まれない製品と思いますので、ブランド思考的な製品といえるかと思います。(出た当初は、本当に売れるのかという危惧はありましたが・・・。)
そう考えますと、デザイン思考とブランド思考は対立するものではなく、組み合わせて用いることにより、ユーザーのニーズをとらえつつ、面白い製品ができるのではないかと思います。