先日、以下のような記事を見かました。
「AIで弁理士が失業」に異議 「そんなに単純な仕事じゃない」(記事へのリンクあり)
記事の内容を真剣に読んでおりませんので、コメントは避けたいと思いますが、こういう話というのは実は昔もあったような気がします。
私が生産機械の仕事をし始めた80年代後半ごろは、完全自動化の流行りが終わる頃でした。
工場では人間が沢山働いているようなイメージですが、80年代は完全自動化、無人工場のようなのが優れた工場とされました。
つまり、人間は機械に置き換わり、工場労働者は失業する、ということがまことしやかに言われておりました。
では、そうなったかといえば、全く逆で90年代に入ると、機械の量を減らして、人間が作業をすることが主となりました。
その理由は、少品種大量生産の時代から、多品種少量生産の時代へ変わったからで、多品種少量生産で機械化するのは設備投資が過大となりやすいので、人間に作業させた方が、費用対効果が高いからです。
とはいえ、外国人の方が人件費が安いため、日本に工場を設けるよりは、海外に工場を設けた方がよい、となりました。そうしますと、今度は日本の工場労働者が失業するという話になりました。
今はどうなっているかといえば、外国も人件費が上昇し、日本も少子化によりに人件費が上昇することが見込まれるため、仕方なく機械化が進むということになるのではないでしょうか。
そう考えますと、機械化というのは、単純に進むわけではなく、人件費との兼ね合いで、進んだり、やっぱり人間が作業する、というような感じになります。
AI(AIというよりは「機械学習」「深層学習」といった方が正しいのかもしれませんがAIという用語の方が便利ですので、ここではAIを使います。) も機械化の一種にすぎませんので、費用対効果の観点から導入が進んでゆきます。
したがって、「~の仕事は難易度が高いからAI化できない」というような理由付けは、技術的課題は必ず解決されることは工学的に見て当然のことですので、無意味かと思います・・・。
もっぱら、マーケットとしておいしいかという観点で、AI化が進むのではないでしょうか。
そうしますと、AIの導入が早く進むのは、医療関係、お役所の事務関係となるでしょうか。次に、金融関係、税務会計関係となるでしょうか。
一般法務につきましては、米国のように訴訟社会でしたら、AI化が早期に進むとは思いますは、日本はそこまででもありませんので優先度は低いかと思います。
本題に戻りまして、弁理士の仕事がAI化できるかといえば、これは弁理士の仕事に魅力があるかどうかとなります。魅力があれば、AIを開発して製品化すると儲かりますし、そうでなければ、赤字となりますのでAI化されません。
ということで、この手の話は、「AI化できない」というよりは、弁理士の仕事は魅力的であるので、早期にAI化が進む、とか言っておいた方がかっこいいのではないでしょうか。