最近はIPランドスケープ等の特許情報分析の重要性が叫ばれております。
私が面白いと感じるのは、いくら特許情報分析をしても、その分析結果のみでは発明には至らないことです。
特許を綿密に分析しているのに、発明とはならないのは、何故なんでしょうか?
特許を分析して発明になるのでしたら、特許分析業者が大量に発明をして特許出願できるわけですが、そうでもありません。
一般に、分析とは帰納推論といわれます。つまり、様々な多くの事実から何らかの規則を見出す行為となります。
つまり、帰納推論からは発明は生まれないことになります。
では、発明は何から生まれるといえば、これは仮説推論となります。仮説推論とは、何らかの規則から事実を導出する行為です。
そうしますと、IPランドスケープ等の特許情報分析とは、発明を生み出すための仮説推論の材料(すなわち規則)を提供することに意義がある、ということになります。
一般に、仮説推論の信頼度は、帰納推論や演繹推論と比較して、低いとされますので、精度の高い特許情報分析をしても、優れた発明が生まれるわけではないところが難しいところとなります。
デザイン思考では、仮説推論の信頼度の低さを克服するために、プロトタイプを早く作り演繹推論へ持ち込むことが推奨されます。
演繹推論は事実と規則から結論を導く行為です。演繹推論は論証力が強いといわれておりますので、仮説推論の信頼度の低さを補うことができます。
そうしますと、IPランドスケープを一生懸命考えるのも重要ですが、帰納推論→仮説推論→演繹推論という流れを押えることの方が、より重要となるかと思います。
また、発明者は仮説推論という難易度の高い仕事(失敗する可能性の方が高い仕事!)に取り組んでおりますので、このことからも温かい目で見てあげる必要があると思います。