2012年5月7日月曜日

特許出願経験と開発活動について


本年度の中小企業の知財活用調査報告書が公開されました(報告書はこちらから無料でダウンロードできます。)

この報告書は関東経済産業局/広域関東圏知財戦略本部が毎年作成しているものです。中小企業にアンケートを行った結果が記載されておりますので、中小企業の知財の現状が得られる貴重な情報源といえます。

本年度は特に「特許出願を行ったことがない中小企業」に対してもアンケートを行なっている点で、非常に興味深いデータが見受けられます。以下にいくつかのデータを抜粋いたします。

まず、研究開発に投入している従業員数を見てみましょう。下記のグループAが特許出願の経験がある中小企業を示し、グループBが特許出願の経験がない中小企業を示します。



図からは、グループAの中小企業の多くは研究開発に何らかの従業員を専属で配置していることがわかります。一方、グループBの中小企業の約半数は特定の人材をまったく配置していないことがわかります。

次に研究開発費です。



図からは、グループAの中小企業は研究開発にある程度の費用を投入していることがわかります。一方、グループBの中小企業は60%が300万円以下、おそらく研究開発費が0の企業も多いのではと推測します。

一言でいえば、特許出願経験のある企業は継続的な研究開発が社内でなされていると考えることができ、特許出願経験のない企業は、研究開発体制が社内に存在しないと考えてよいかと思います(少々驚きですが)。

さて、この事実は少々気をつけなければならないと思います。というのは、特許出願をしている企業、いない企業というのは、特許電子図書館(IPDL)で検索すれば一発で誰でも無料で検索出来てしまうからです。

したがって、特許出願をしていない場合には、研究開発体制がないとみなされ、銀行からの融資の場面や、アライアンス交渉の場面で不利に取り扱われる可能性があります。

逆に、特許出願の経験のある企業にとっては、自社の研究開発体制をアピールできるいい広告手段となると思います。

このように、特許出願は自社技術を権利化するのみならず、自社の研究開発への姿勢をアピールできるよいツールとなると思いますので、 どんどん活用してみてはいかがでしょうか。

2012年4月15日日曜日

【広告】御社の知財部:Lightサービス開始について

この度、弊社では、新しいサービスを企画させていただきました。

その名も「Lightサービス」です。これは、従来のサービスと比較しまして、料金を低減し、契約期間を短くしたサービスです。


このようなサービスを設けた背景としましては、知財活動が必要か否か判断がつきかねるので、試験的にサービスを導入したい、とのご要望があったからです。

契約期間は6ヶ月ですので、様子見で導入した場合でも不必要と判断出来れば早期に中止することができ、それ以上のご負担は生じません。

もちろん必要であると判断していただければ、標準サービスへ移行することにより、更に高度な知財活動を行うことも可能です。

詳しくは、弊社ホームページも参照願います。よろしくお願い致します。

2012年4月12日木曜日

失敗の本質と情報の収集について

「失敗の本質」という本があります。私もだいぶ昔のこの本を買ったのですが、半分程度しか読んでいません。

その理由は、文章が少々難解であることもありますが、一番の理由は日本の負け戦が延々と述べられ読む意欲が失われたからです。

昨日本屋で、「失敗の本質」の入門書なるものを見かけましたので、買って、今度は最後まで読みました。そうすると、現在の日本にも当てはまる様々な課題が存在することがわかりました。

中でも興味深かったのは兵器へのレーダーの導入部分です。技術的にはアメリカが進んでいたと思われがちですが、当時の日本にもそれなりのレーダー技術は存在しておりました。

しかしながら、アメリカは兵器へのレーダーの導入を積極的に進めたのに対し、日本ではアンダーグラウンドの技術とみなされ、十分な予算がつきませんでした。

戦艦にレーダーを搭載する実験を行おうにも、軍人からゲジゲジのようなものを船につけるのはいやと拒否され、艦内には設置させてもらえず、甲板上の掘っ立て小屋で実験を行う始末となりました。

また、攻撃機にレーダーをせっかく搭載したのに、パイロットがわざわざレーダーを取り外して夜間攻撃に飛び立ち、当然何の戦果もあげず帰って来たそうです。

なぜこうなったかはよくわかりませんが、日本軍は情報を軽視していたことが考えられます。一方、アメリカは日本の暗号も早い段階で解読していることからも、情報を重要視していたことがわかります。

アメリカ軍は情報をベースに合理的な作戦を立ててきますので、日本軍が勝てるはずもありません。

現在のアメリカの企業も情報収集に積極的に費用を投じており、情報分析に基づいて経営戦略を構築します。情報にはもちろん特許情報も含まれます。

一方、日本企業はどうでしょうか。レーダーの無い戦艦、攻撃機になっていないでしょうか?グローバルな競争に打ち勝つためには、特許情報を積極的に利用したいものです。

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