先日、ジャポニカ学習帳の商品形態について立体商標の登録がされたとのニュースが有りました。そういえば、ホンダのスーパーカブも立体商標となりました。
立体商標とは、立体的な形状からなる商標をいう、とされますが、商標権は半永久権ですので、商品形態に独占権を付与することは、ちょっと強すぎる権利となりすぎますので、従来はなかなか商標登録を受けることはできませんでした。
しかし、こういうニュースが連続して飛び込んでくるということは、審査の方針が商標登録を受けやすい方向へ変化したのかもしれません。
商品形態は、基本的には意匠法で保護を図るのが基本と思いますが、その意匠を継続的に使用することにより業務上の信用が化体した場合には、商標登録を受けうることになります。
そう考えると意匠と商標というものは明確に区別できるものではなく、その境界はぼんやりとしているのかもしれません。
こういう考え方をトレードドレスともいうようですが、日本もこのような方向に実務が動いてゆくのかもしれません。
それでは、今後は商品形態の保護をどのように図るべきなのでしょうか。商品形態を保護する方としては、意匠法、商標法(立体商標)、及び、不正競争防止法(周知表示、形態模倣)があります。
商品販売当初は、不競法2条3号で保護を図り、意匠登録後は意匠法で保護をはかり、意匠権の存続期間満了後は、不競法2条1号で保護を図り、自他商品識別機能を有した段階で商標登録を受ける、というような感じでしょうか。
もちろん、このような考えができる商品はものすごくライフサイクルの長い商品(少なくとも50年?)に限られると思います。
スマートフォンや乗用車のような数年でモデルチェンジする商品の形態は、数年守られればよく、立体商標の登録を受ける場合は、ほぼ無いと思います。
それでは、どのような商品があるのかといえば、私の身の回りでいえば、腕時計、万年筆、椅子などの家具、ハンドバックなどがあるでしょうか。
ということで、今後は、長く愛されるデザインというものを創作してゆく、というのも1つの考えかもしれません。
2014年8月10日日曜日
2014年7月26日土曜日
敗訴の捉え方について
特許権侵害訴訟の原告勝訴率は2~3割といわれています。和解した件も含めると実質的な勝訴率はもう少し高いと考えられています。
とはいえ、時間とコストをかけて取った特許権でも、権利行使した場合には敗訴する可能性が多いにあるといえます。
これでは特許を取る意味が無い、とか、勝てそうにないから訴訟は提起しない、などとネガティブな考えにもなります。
ただ、敗訴というものをそこまで重大に捉える必要があるのか、とも思います。
原告が敗訴した場合のデメリットとしては、多額の訴訟費用が無駄になることや、特許が無効と判断されてしまうことなどがあると思います。
ただし、被告が敗訴した場合には、差止や損害賠償請求で多大な事業のダメージが生じますが、原告敗訴の場合には、訴訟費用が無駄になる程度で、事業上のダメージはほとんどないと思われます。
逆に、侵害訴訟をきっちりと提起してゆくことにより、知財活用をきちんと考えている企業と市場で認知され、業務上の信用が向上する大きなメリットがあると思います。
また、競合企業もわざわざ訴えられるような面倒を避けようとするので、競合企業は類似する製品を販売しないよう圧力が加わると思われ、知財権の参入障壁としての機能が有効に発揮されると思います。
一方、敗訴のリスクを大きく捉えすぎ、訴えの提起を躊躇した場合には、知財権の威嚇効果が失われ、競合企業による模倣が横行することにもなりかねません。
したがって、特許権の活用の一形態として、侵害訴訟をきっちり行ってゆくことが知財を有効活用するためには必要と思われます。
また、侵害訴訟を行ってゆくことにより、社内に訴訟のノウハウが蓄積され勝訴率も向上することが期待でき、営業の方による他社の侵害発見などの社内の知財意識も向上すると思います。
ということで、侵害品を見つけたら勇気をもって訴えを提起することも今後は必要と思います。
とはいえ、時間とコストをかけて取った特許権でも、権利行使した場合には敗訴する可能性が多いにあるといえます。
これでは特許を取る意味が無い、とか、勝てそうにないから訴訟は提起しない、などとネガティブな考えにもなります。
ただ、敗訴というものをそこまで重大に捉える必要があるのか、とも思います。
原告が敗訴した場合のデメリットとしては、多額の訴訟費用が無駄になることや、特許が無効と判断されてしまうことなどがあると思います。
ただし、被告が敗訴した場合には、差止や損害賠償請求で多大な事業のダメージが生じますが、原告敗訴の場合には、訴訟費用が無駄になる程度で、事業上のダメージはほとんどないと思われます。
逆に、侵害訴訟をきっちりと提起してゆくことにより、知財活用をきちんと考えている企業と市場で認知され、業務上の信用が向上する大きなメリットがあると思います。
また、競合企業もわざわざ訴えられるような面倒を避けようとするので、競合企業は類似する製品を販売しないよう圧力が加わると思われ、知財権の参入障壁としての機能が有効に発揮されると思います。
一方、敗訴のリスクを大きく捉えすぎ、訴えの提起を躊躇した場合には、知財権の威嚇効果が失われ、競合企業による模倣が横行することにもなりかねません。
したがって、特許権の活用の一形態として、侵害訴訟をきっちり行ってゆくことが知財を有効活用するためには必要と思われます。
また、侵害訴訟を行ってゆくことにより、社内に訴訟のノウハウが蓄積され勝訴率も向上することが期待でき、営業の方による他社の侵害発見などの社内の知財意識も向上すると思います。
ということで、侵害品を見つけたら勇気をもって訴えを提起することも今後は必要と思います。
2014年7月11日金曜日
知財診断について
以前、当ブログで切り餅事件をとりあげましたが、それに関連したニュースが報じられました。
株式会社きむら食品 民事再生法の適用を申請 負債49億3357万円
(帝国データバングホームページ:http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/3948.html)
2013年6月には、同業の越後製菓(株)(長岡市)から、切り餅をきれいに焼くための特許が侵害されたとして、製品の製造販売の差し止めおよび約45億 3000万円の損害賠償請求の訴訟を起こされたことや、過去の不適切な会計処理が判明したことで対外信用が悪化。資金繰りがひっ迫するなか、民事再生手続きによる再建を図ることとなった。(引用終わり)
特許権侵害訴訟が民事再生の直接の原因とは思いませんが、1つの要因となったことは間違いないと思われます。
訴えられるリスクといえば、差止による製造販売の禁止や損害賠償による金銭負担、多額の訴訟費用負担を考えてしまいますが、一番大きなリスクは、業務上の信用が失われて資金繰りが悪化することなのかもしれません。
特に、中小企業の場合には、資金繰りの悪化がそのまま企業の存亡に直結すると思われますので、何としてでも侵害訴訟に巻き込まれないよう、普段から準備しておく必要があると思います。
その手段として、弊社が中小企業で行っている支援の1つが「知財診断」です(宣伝となり申し訳ありませんが・・・)。
「知財診断」とは、製品の上市前に他社の知的財産権(特許、実案、意匠、商標、著作権) を侵害していないかすべてチェックすることをいいます(他にも診断する事項はありますが、ここでは割愛します)。
上市前に、他社の知財権のチェックを行いますので、製品を市場に出しても訴えられることはなく、安心して製品を市場に出せます。
侵害チェック作業については、特許事務所に依頼すればよいと思いますので、企業としては、上市の数ヶ月前に「知財診断」を行うことを義務付けるスケジュールを組めばよいと思います。
そして、「知財診断」の結果、大丈夫と判断できる製品のみ市場へ出す決定を、経営者がすることになります。
「知財診断」自体は、特許事務所に依頼するとそれなりの額となると思いますが、業務上の信用が失われる不利益に比べれば、大きな負担とはいえないでしょう。
「知財診断」を行なっていないのであれば、是非導入してみてはいかがでしょうか。
(以下、広告です。)
私が著者として加わっている書籍が出版されました。
『知的財産イノベーション研究の諸相』(日本知財学会知財学ゼミナール編集委員会編), コンテンツ・シティ出版
知財学会の論文集ということで、10論文中の「5. 戦略的商品開発手法の開発―QFDと特許情報の融合―」を担当させていただいております。
ご注文はこちらへお願いいたします。 (MARUZEN & JUNKUDOネットストアHP)
よろしくお願いいたします。
株式会社きむら食品 民事再生法の適用を申請 負債49億3357万円
(帝国データバングホームページ:http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/3948.html)
2013年6月には、同業の越後製菓(株)(長岡市)から、切り餅をきれいに焼くための特許が侵害されたとして、製品の製造販売の差し止めおよび約45億 3000万円の損害賠償請求の訴訟を起こされたことや、過去の不適切な会計処理が判明したことで対外信用が悪化。資金繰りがひっ迫するなか、民事再生手続きによる再建を図ることとなった。(引用終わり)
特許権侵害訴訟が民事再生の直接の原因とは思いませんが、1つの要因となったことは間違いないと思われます。
訴えられるリスクといえば、差止による製造販売の禁止や損害賠償による金銭負担、多額の訴訟費用負担を考えてしまいますが、一番大きなリスクは、業務上の信用が失われて資金繰りが悪化することなのかもしれません。
特に、中小企業の場合には、資金繰りの悪化がそのまま企業の存亡に直結すると思われますので、何としてでも侵害訴訟に巻き込まれないよう、普段から準備しておく必要があると思います。
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上市前に、他社の知財権のチェックを行いますので、製品を市場に出しても訴えられることはなく、安心して製品を市場に出せます。
侵害チェック作業については、特許事務所に依頼すればよいと思いますので、企業としては、上市の数ヶ月前に「知財診断」を行うことを義務付けるスケジュールを組めばよいと思います。
そして、「知財診断」の結果、大丈夫と判断できる製品のみ市場へ出す決定を、経営者がすることになります。
「知財診断」自体は、特許事務所に依頼するとそれなりの額となると思いますが、業務上の信用が失われる不利益に比べれば、大きな負担とはいえないでしょう。
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2014年7月8日火曜日
知財インフラについて
国民経済の発展にはインフラ整備が欠かせないとよくいわれます。
インフラとは、学校、病院、道路、港湾、工業用地、公営住宅、橋梁、鉄道路線、バス路線、上水道、下水道、電気、ガス、電話…等、社会基盤となる施設を示すとされます。
インフラを整備することにより、産業活動が活発となり、それらから得られる収益(税収)が増大する効果があります。
しかし、インフラ自体は収益を生むというよりは、むしろ経費が掛かる存在といえます。以前、熊しか走らない高速道路が北海道にありましたが、経済効果を生まないインフラは経費負担のみが重くのしかかることになります。
したがって、インフラを整備する場合には、そのインフラに乗っかる工場、ショッピングセンター、住宅団地等、具体的なビジネスを想定しなければなりません。
会社で行っている「御社の知財部」(登録商標)というサービスも、インフラ事業(いうなれば知財インフラの整備)に近いと最近感じています。
「御社の知財部」(登録商標)というサービスは、中小企業の知財管理規定の整備や、知財教育の実施、知財活動の運営の支援等を行っています。
これらは利益を直接生み出す活動というより、利益を生み出す活動をサポートする、いうなれば社内インフラを整備する活動といえます。
したがって、当社が構築する知財インフラの上に、うまくビジネスが乗っかれば、参入障壁形成の効果等により、収益が増大するという相乗効果が得られます。
一方、ビジネスとの合体に失敗すると、単なる経費を消耗するだけの不要な存在となってしまいます。よく、特許出願は無駄だ、という意見がありますが、これは、知財活動と事業のリンクがとれてなく、知財活動が自己目的化した場合に起きる現象と思います。
では、どうしたら知財インフラの上に、うまくビジネスが乗っかるのかといいますと、一般的な答えはないと思いますが、長期間継続的に知財活動を行いその方法を会社なりに学習してゆくしか方法はないと考えています。
当社では、料金を押さえて、その代り長期間の活動(数年以上)を前提に中小企業の知財活動を支援させていただいておりますが、これは、我々の方も学習する必要があるからです。
ということで、わが社も知財をやってみたいという会社様がありましたら、ぜひお声かけください。
(以下、広告です。)
私が著者として加わっている書籍が出版されました。
『知的財産イノベーション研究の諸相』(日本知財学会知財学ゼミナール編集委員会編), コンテンツ・シティ出版
知財学会の論文集ということで、10論文中の「5. 戦略的商品開発手法の開発―QFDと特許情報の融合―」を担当させていただいております。
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(アマゾン http://www.amazon.co.jp/dp/490686502X )
よろしくお願いいたします。
インフラとは、学校、病院、道路、港湾、工業用地、公営住宅、橋梁、鉄道路線、バス路線、上水道、下水道、電気、ガス、電話…等、社会基盤となる施設を示すとされます。
インフラを整備することにより、産業活動が活発となり、それらから得られる収益(税収)が増大する効果があります。
しかし、インフラ自体は収益を生むというよりは、むしろ経費が掛かる存在といえます。以前、熊しか走らない高速道路が北海道にありましたが、経済効果を生まないインフラは経費負担のみが重くのしかかることになります。
したがって、インフラを整備する場合には、そのインフラに乗っかる工場、ショッピングセンター、住宅団地等、具体的なビジネスを想定しなければなりません。
会社で行っている「御社の知財部」(登録商標)というサービスも、インフラ事業(いうなれば知財インフラの整備)に近いと最近感じています。
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これらは利益を直接生み出す活動というより、利益を生み出す活動をサポートする、いうなれば社内インフラを整備する活動といえます。
したがって、当社が構築する知財インフラの上に、うまくビジネスが乗っかれば、参入障壁形成の効果等により、収益が増大するという相乗効果が得られます。
一方、ビジネスとの合体に失敗すると、単なる経費を消耗するだけの不要な存在となってしまいます。よく、特許出願は無駄だ、という意見がありますが、これは、知財活動と事業のリンクがとれてなく、知財活動が自己目的化した場合に起きる現象と思います。
では、どうしたら知財インフラの上に、うまくビジネスが乗っかるのかといいますと、一般的な答えはないと思いますが、長期間継続的に知財活動を行いその方法を会社なりに学習してゆくしか方法はないと考えています。
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ご無沙汰しております。 最近投稿をさぼっておりますが、これはこのHPのアクセス数がなさ過ぎて、モチベーションが上がらないからです。 1つの記事のアクセス数が5くらいしかありません(1日ではなく、総アクセスで)ので、さすがにひどいと言わざるをえません。 このような状態になったのは、...
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https://note.com/ip_design へしばらく移転します。
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東京オリンピックのメインスタジアムの建設費用が高すぎるとして問題となっています。 今の日本であれば3000億円程度であれば、出せない額ではありませんが、世論的には批判の的となっています。 その理由はなぜかといえば、あのヌメッとしたデザインに3000億円の価値はないと日本国...