経営の本などを読みますと、~戦略、という用語をよく見かけます。
私が、戦略という言葉を初めて知ったのが、1987年ごろのシステムソフト社の「大戦略」というPCゲームとなります。
大戦略はPC9801で動くソフトであり、当時のPC9801は非常に高価でしたので、金持ちの友人の家に入り浸ってゲームを徹夜でやっておりました。
その後、ゲームもやめ大戦略から遠ざかっておりましたが、弁理士になってからしばしば目にするようになったのが、知財戦略という言葉です。
それまでは戦略とは戦争用語という認識でしたので、知財戦略とは、ちょっと物騒な使い方と思いましたが、世間的なインパクトを狙うとこんな感じとなるのかなと思いました。
その後、MOTで、事業戦略、技術戦略、ブルーオーシャン戦略、オープンクローズ戦略・・・と、世の中には無数の戦略があることが分かりました。
ご存じと思いますが、戦略とは戦術とセットとなって語られる言葉で、下記のような階層性を有します。
戦略とは、全体の大きな動き、戦術とは、個々の具体的な動きといったところでしょうか。
ちなみに、前述の大戦略というゲームは、兵器を動かすゲームでしたので、戦略というより、戦術のゲームでした。一方、外交や資金調達を含む、光栄の歴史ゲームは戦略級といえるかと思います。
それで、知財戦略とは、戦争用語にならって言えば「知財戦術」か「知財作戦」となるかと思います(むりやり戦争に当てはめればですが・・・)。
企業における戦略は一つですので、それにぶら下がる形でマーケティング戦術や知財戦術、技術戦術などの複数の戦術があるのが、階層として理解しやすいと思います。
ただし、このようなことを声高にいいますと、ミリオタ扱いされますので、決して言うことはありません・・・。
ただし、無理に戦争用語を使用しなくても、「知財管理」や「知財マネジメント」でよいのではないでしょうか。
こういう分野に「戦略」という言葉を使用し始めたのは、私の記憶では、マッキンゼーあたりの戦略コンサルという言葉となります。
米国はしょっちゅう戦争をしている国ですし、ランド研究所などの戦争専門のシンクタンクもありますので、そのあたりの人が経営コンサルに転職するときに、セールストークに使用したのかなと推測しております。
それで、戦略と戦術の見分け方ですが、簡単な方法があります。それは有名な格言に下記のものがありますので、それに当てはめて考えればよいです。
戦術のミスは戦略でカバーできるが、戦略のミスは戦術でカバーできない(正確にはわすれましたが、このような感じです。)
知財に関しましては、上記格言に照らしますと「戦術」となります。
世の中には、「知財」に劣っているにもかかわらず、成功している企業はたくさんあります。そういう企業は戦略に優れており、知財の劣勢をカバーしているといえます。
一方、「知財」に優れているにも関わらず、失敗している企業は・・・どうでしょうか?
知財の専門家としては、 成功している企業に「御社は知財戦略がないのでダメです!」といってしまうのは世間知らずといえますし、業績が悪化している企業に「もっと知財を頑張りましょう!」といってしまうのも、よろしくないといえます。
ということで、ミリオタが感じている「戦略」の使用法の違和感を述べさせていただきました・・・。