2021年4月19日月曜日

知財デザインプロセスについて

前回までの内容を鑑みまして、知財デザインプロセスをまとめますと以下のようになります。

 

まず、マーケティングプロセスにより量的な分析をします。次に、QFDによりブランド、デザインの質的分析をします。最後に、多空間デザインモデルにより、質的設計をします。

マーケティングプロセスについては、IPランドスケープとして、多くの方がやり始めている状況ですので、その成果を流用(まね、パクリ?)しようと思います。

QFDについては、私が事例を作るしかありません。実のところQFDは設計行為なのではないかとも思い始めました。そうしますと、上記図はさらに簡略化できます。 

多空間デザインモデルについては、本家の方(KO大学)の活動の再活発化に期待して、私の方は細々とやろうと思います。

知財デザインプロセスによれば、うまくゆけば、情報を処理することにより、新規製品の設計がなされる、ということになります。

(もちろん、アブダクションであることから、なされた設計には誤りがある、という宿命は残ります。)

上図の量的、質的、帰納法やアブダクションについては、言葉の定義についていろいろ指摘がありそうですので、隠し属性として省略し、より簡単な図としたいと思います。

能書きはこのような感じとして、これからGWにかけて、第1弾の資料を作りたいと思います。

2021年4月16日金曜日

デザインはアブダクション

知財デザイン本ですが、今は知識の整理をしております。

今、整理が必要と感じているのが、

1.分析(アナリシス)と設計(デザイン)の関係の整理 

2.量的分析と質的分析の関係の整理

となります。

私は研究者ではありませんので、表面的な整理ができれば、それでよいと考えております。

1.分析(アナリシス)と設計(デザイン)ですが、本を読んでおりますと、推論法に相違があるようです。

世の中に存在する、推論法には

1.演繹法

2.帰納法

3.アブダクション

の3つがあるそうです。なぜアブダクションだけカタカナなのかは、適当な日本語がないからとなります。(wikiによれば、仮説形成、仮説的推論ともいうそうです。)

分析(アナリシス)に使用されるのが帰納法、設計(デザイン)に使用されるのがアブダクションとなります。

演繹法とは、普遍的知識(法則)と個別的知識から知識を導く推論

帰納法とは 、個別的知識と経験的知識から普遍的知識(法則)を導く推論

アブダクションとは、経験的知識と普遍的知識(法則)から個別的知識を導く推論

となります。これではよくわかりませんが、うまくまとまっている資料がありませんでした・・・。

私の仕事にあてはめてみますと、

大学院時代:徹夜で実験してデータを集め、原理を解明する→帰納法的業務

サラリーマン時代:要求仕様に沿う装置を徹夜で設計する→アブダクション的業務

弁理士時代:審査基準に沿って特許性判断、裁判例に基づいて侵害性判断→演繹法的業務

となります。 

そういう意味では私は、すべての推論法をマスターしているということになります(まあ、ほかの方もそうかもしれませんが・・・)。

演繹法と帰納法は推論の精度が高く、アブダクションは仮説が入るため推論の精度が(誰がやっても)低いとされます。

それなら、演繹法と帰納法がよいのではないか、と思いますがその通りで、頭の良い方は演繹法的、帰納法的なお仕事(医者、弁護士、官僚、コンサルタント)をしていると思います。

それなら、アブダクションはいらないと思いがちですがそうでもありません。演繹法と帰納法は確実性が高い反面、差別化しにくいというデメリットがあります。つまり、誰がやっても同じような結果となります。

アブダクションは誰がやっても失敗する反面、ひらめきとか、何かよくわからない能力が関与しますので、差別化できる可能性があります。

差別化できないというのはビジネスの世界では問題となります。最近デザイン経営がもてはやされているのは、アブダクションによる差別化が図れるというのも一因かもしれません。

さて、前回、量的分析は仮説検証、質的分析は仮説生成としました。仮説検証を帰納法で行い、仮説生成をアブダクションとしますと、以下のようにまとまります。

そうしますと、分析(アナリシス)とは量的分析であり仮説検証に帰納法が用いられる。

デザインは質的分析であり仮説形成にアブダクションが用いられる?

となりますのでしょうか。

いずれにせよ、融合化して考えた方がよいのか、別のものとした方が良いのかよくわかりませんので、もう少し考えてみようと思います。

2021年4月10日土曜日

量的分析と質的分析について

最近はテキストマイニングを使用して特許分析などやっておりますけども、テキストマイニングのもともとの用途は文書分析となります。

文書の内容を把握するため、言葉に分解して、その関係性を探る、というのが、主なテキストマイニングの使い方です。

文書を取り扱えることから、人文学や社会科学の分野でよく使われているようです。

それで、こういう言語を用いた分析手法を質的分析というそうです。数値を用いた分析を量的分析というそうで、その内容を私なりにネットで調べた結果をまとめると以下のようになります。

 

 

量的分析

質的分析

タイプ

仮説検証

仮説生成

分析対象

数量

言語

分析手法

統計

文脈

解釈

客観的

主観的

目的

法則の発見

意味の発見

特許情報分析

IPランドスケープ

課題-解決マップ、QFD

事業分析

マーケティング

ブランド、デザイン

 

まず、タイプですが、量的分析の場合には仮説検証型とななるそうです。これは理系の人やMBAの人にはなじみ深い考え方となります。

一方、質的分析の場合には仮説生成型となるそうです。仮説が生成されてしまいますと困るような感じもしますが、これが意味するところは勉強不足のためよくわかりません・・・。

少なくとも仮説検証を目的として質的分析を行うことはやめた方がよいことはわかりました。

分析対象ですが、量的分析の場合には、数(数量)となり、質的分析の場合には、言葉となります。量的分析は理系の人間ならばよくわかるところですが、言葉を分析するとは、よくわかりません。

分析手法ですが、量的分析の場合には、数を対象としますので統計的手法が用いられますが、質的分析の場合には、文脈(言葉のつながり、コンテクスト)を用いて分析を行います。

解釈ですが、量的分析の場合には、統計的に分析しますので、客観性が比較的高いものとなります。一方、質的分析は、解釈者の主観が大きく介在しますので、客観性はどうかというところとなります。

このようなことから質的分析は、科学的でないとか、うさんくさいとか、再現性がないなどの批判を浴びがちとなります。 

目的ですが、量的分析の場合には、法則の発見となり、質的分析の場合には、意味や価値の発見となります。

特許情報分析にあてはめますと、量的分析はIPランドスケープとなり、質的分析はQFDとなると思います。

つまり、IPランドスケープは、仮説検証を目的とし、数を対象とし、統計的な分析がなされ、そのアウトプットは客観性が高いとなります。

一方、QFDは、仮説生成を目的とし、言葉を対象とし、コンテクストが分析され、そのアウトプットは主観的、となります。

事業分析に当てはめますと、量的分析はマーケティングとなり、質的分析はブランド、デザインとなります。

つまり、マーケティングは、仮説検証を目的とし、数を対象とし、統計的な分析がなされ、そのアウトプットは客観性が高いとなります。

一方、ブランド、デザインは、仮説生成を目的とし、言葉を対象とし、コンテクストが分析され、そのアウトプットは主観的、となります。

私もテキストマイニングを使用して特許分析などしますと、分析者の主観が入り込むことから、とても違和感があったのですが、上記のようにまとめますと、主観的になるのはある意味当然ということで安心しました。

もちろん、量的分析と質的分析は対立するものではなく、一緒にやった方がよいのはいうまでもありません(混合分析ともいうそうです)。

ということで、特許情報の質的分析ということで、新しいジャンルをつくっていこうかなと思います。

2021年4月8日木曜日

テキストマイニングを使った特許分析など

早いもので、もう4月となりました・・・。

1~3月は、家の事情により忙しかったのですが、ようやく時間的な余裕が出始めましたので、そろそろ本年度の作業を進めたいと思います。

内容としては以下の2つとなります。

1.知財デザイン本の執筆

執筆といっても、いきなりは書けそうもありませんので、まずは骨子作成や事例作成を細々とやりたいと思います。

事例につきましては、テキストマイニングを使った特許分析をやろうかと思います。

内容としては、以前論文に書いたような↓

「月刊パテント/別冊パテント」目録検索システム│日本弁理士会 (jpaa.or.jp)

ことをやろうと思います。

つきましては、事例作成にご協力いただける企業様がございましたら、ご連絡いただけますようお願いいたします。

2.知財学会発表

今年のテーマは、「テキストマイニングを使用したMFTモデルの作成」となります。MFTモデルとは、MFTフレームワークを私が勝手にモデル化したものです。

MFTフレームワークとは、以下のような定義となります。

MFTとは、Market(市場)、Function(機能)、Technology(技術)の略で、市場と技術の間にある機能に着目することで、技術の活用が可能な市場を幅広く検討できるフレームワークのことを示します。

ただし、今回はやり切れるかどうかわかりませんので、5月にひとまずエントリーしますが、8月中にアウトプットがでない場合には、9月にエントリー取り下げというようなやや弱気な感じで進めたいと思います。 

この件につきましては、共同で作業していただける方を募集したいと思いますので、ご希望の方はご連絡願います(なお、当然お金にはなりません)。

それでは、1日1時間は作業時間を確保して、上記作業を進めたいと思います。

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