2025年3月18日火曜日

生成AI関連特許取得の件(特許7650476:分類処理プログラム及び方法)

この度、生成AI関連の特許を取得しました。

昨年の夏の終わりに出願をし早期審査をかけ、この2025年3月14日に設定登録されました。

登録番号は、特許第7650476号です。

特許化の目的としては

1.私が考案した生成AI(LLM)による分類生成方法を権利化する

2.生成AI(LLM)関連の特許明細書作成テクニックを実際の出願を通じて確認する

ことがあります。今回特許されたことにより目的は達成されました。

今回の特許取得により、私の生成AIによる分類生成方法の独自性が認められたことは非常に意義深いものです。特に、昨今の生成AI技術の急速な発展において、この分野での知的財産権の確立は重要な一歩となりました。

特許出願から登録までの過程では、AIの発明に関する審査基準の理解や、技術的効果の明確な説明方法など、多くの知見を得ることができました。これらの経験は今後の研究開発や特許戦略にも活かせるものと考えています。

今後はこの特許技術をベースに、実用化に向けた開発を進めるとともに、学術的な面からも研究成果を発表していく予定です。また、この分類生成方法を活用した新しいAIアプリケーションの可能性も模索していきたいと思います。

最後に、この特許取得にあたりご支援いただいた関係者の皆様に心より感謝申し上げます。これを機に、さらなる技術革新への挑戦を続けていく所存です。

・J-platpatのリンクはこちらです。

https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2025-010130/11/ja

・特許証はこちらです。


・請求項の記載は以下となっています。

【書類名】特許請求の範囲
  【請求項1】
 コンピュータに、
 分類対象の内容を記述した複数の分類対象文章を、一つの入力文章に結合する処理と、
 大規模言語モデル、前記入力文章と、前記入力文章から、分類の名称、又は、分類の名称と分類の説明、を含む分類説明文章を生成するための指示情報と、を入力し、前記大規模言語モデルから、前記分類説明文章を出力として得る処理と、を実行させる分類処理プログラム。
  【請求項2】
 前記大規模言語モデルを用いて、前記複数の分類対象文章を要約する処理と、
 前記複数の分類対象文章の要約を、前記一つの入力文章に結合する処理と、
をさらに実行させる請求項1に記載の分類処理プログラム。
  【請求項3】
 コンピュータが、
 分類対象の内容を記述した複数の分類対象文章を、一つの入力文章に結合する処理と、
 大規模言語モデル、前記入力文章と、前記入力文章から、分類の名称、又は、分類の名称と分類の説明、を含む分類説明文章を生成するための指示情報と、を入力し、前記大規模言語モデルから、前記分類説明文章を出力として得る処理と、を実行する分類処理方法。


・発明の概要は以下です。

 本願発明によれば、複数の分類対象文章から分類名やその説明を含む分類説明文章を自動的に生成できるため、従来難易度が高かった分類作成を省力化できます。この技術的効果は、明細書の実施形態で説明したように、特許データ、論文、アンケート、ユーザーレビューなど、さまざまな種類のテキストデータに適用可能です。

 また、本願発明の分類説明文章は、内容に応じて解決手段、課題、ニーズ、品質、効果、用途、便益など、さまざまな観点での分類基準として機能し得ます。このように、本願発明は、分類対象文章の内容や分類の観点を限定することなく、幅広い分野で利用可能な汎用的な分類生成手段を提供します。

 以上のように、本願発明は、発明の課題である分類の生成処理を、明確に定義された構成要素と処理手順によって実現しており、さらに広範な技術分野への応用可能性を有する、産業上有用な発明です。


2025年3月15日土曜日

0.3%の挑戦と99.7%の安全策~なぜ大企業は面白くなくなるのか~

「最近の大企業って、なんか面白くないよね...」

こんな声、よく聞きませんか?新製品が出ても「まあまあかな」という感じ、新しいサービスも「無難だよね」という印象。昔の大企業が持っていたワクワク感が最近は薄れているような...。

実はですね、この「面白くない」の裏には、ある理由が隠れているんです。今日はその話をしたいと思います。

仕事には2種類あるんです!

会社の仕事って、大きく分けると2つのタイプがあります。まず「創造系の仕事」。これは例えば、誰も見たことがないような新商品を作ったり、今までにない仕組みのビジネスを考えたり、常識を覆すような新しい技術を生み出したり、誰もやったことのないような宣伝方法を考えたりする仕事です。

もう一つは「分析系の仕事」。市場調査をしたり、データを分析したり、リスクを管理したり、業務を効率化したりする仕事です。

おもしろい違い:成功確率

この2つの仕事、実は成功する確率がぜんぜん違うんです。創造系の仕事は、成功する確率がなんと0.3%!「千三つ」という言葉があるように、1000個のアイデアがあっても当たるのは3つだけかもしれません。でも、当たれば大きな価値を生み出せます。失敗も次の成功のヒントになることが多いんですよ。

例えば、こんな話を聞いたことありませんか?「この商品、若い社員が独自に開発したものなんですが、予想外に大ヒットしまして...」「失敗した製品から思わぬ発見があって...」

一方、分析系の仕事は時間とお金をかければ99.7%の精度が出せます。確実に成果を出せて、失敗も少なく、努力が数字として見えやすいんです。「前年より15%も効率が上がりました!」「問題を98%も減らせました!」というような成果が出やすいですね。

大企業でよく起こること

ここからが大事なポイントです。大企業になればなるほど、優秀な分析型の人が増えます。一流大学出身者は分析が得意な人が多いですし(入試が分析力重視だから)、安定を求める人が大企業に集まりやすいですね。また採用時にも分析力が評価されがちです。

そして分析型の人は出世しやすくなります。なぜなら、失敗が少ないから評価も安定していて、成果を数字で示せて、短期間で結果を出しやすく、お金の管理も上手だからです。

逆に創造型の人は出世しにくくなります。失敗が目立ちやすいですし(大企業は失敗に厳しいことが多い)、成果を数字で示しにくく、予算を超えてしまうことがあり、「変わった人」と見られがちだからです。

こうして、大企業では分析型の上司や経営者が増えていきます。

会議室での風景

分析型が多い会社の会議では: 「新しい事業の案について:市場の大きさは約〇〇億円、成功する確率は35%、初めに必要なお金は△△億円、回収までに◇年かかります→リスクが高いので、もう少し検討しましょう」

創造型が多い会社の会議では: 「面白そうだから、まず小さく始めてみない?失敗しても勉強になるし、お客さんの反応を見てから考えればいいよね。みんなのやる気も上がるし!」

特許でのケース

例えば、競争相手が特許を真似してきた場合も違いが出ます。分析型の専門家は「裁判のリスク分析です:勝つ確率は65%、費用は〇〇百万円、会社の評判への影響も考えると、もう少し証拠を集めてからでは?」と言いますが、創造型の経営者は「勝つ確率30%?それって結構いいじゃない!戦うことで学ぶこともあるし、社内のやる気も上がる。将来への抑止力にもなるよね」と考えるかもしれません。

成功企業から学ぶこと:ソニーとホンダの例

昔の成功企業には、実はある共通点がありました。例えばソニーでは、井深大さんが創造系のリーダーとして次々と新しいアイデアを生み出していました。そして盛田昭夫さんが分析系のリーダーとして、そのアイデアを実際のビジネスとして形にしていったんです。二人がタッグを組んだからこそ、ソニーは革新的な会社として成長できたんですね。

同じようにホンダでも、本田宗一郎さんが創造系のリーダーとして革新的なエンジン技術を開発し続けました。その一方で、藤沢武夫さんは分析系のリーダーとして経営面をしっかり支え、販売網を築いていきました。この二人の組み合わせがあったからこそ、ホンダは世界的な企業に成長できたんです。

つまり、会社が成功するためには、新しいアイデアを生み出す力と、それを現実のビジネスにする力の両方が必要なんですね。

スタートアップに期待が集まる理由

今、多くの人がスタートアップに期待するのは、この「創造と分析のバランス」がまだ取れているからなんです。スタートアップでは、たいてい創造系の創業者がビジョンを示します。「こんな世界を作りたい!」「この問題をこう解決したい!」という大きな夢を描くんですね。

その一方で、分析系のメンバーがそのビジョンを現実のものにするための道筋を考えます。資金計画を立てたり、市場を分析したり、リスクを管理したりするんです。

スタートアップは小さな組織なので、意思決定が速いのも特徴です。「やってみよう!」と思ったらすぐに行動できます。また失敗を恐れない雰囲気があって、「失敗したら次に活かせばいい」という前向きな考え方が浸透しています。小さな組織なので、創造系と分析系のメンバーが日常的に会話し、アイデアを交換できるのも強みです。

これからの企業に必要なこと

では、これからの企業がバランスを保つためにはどうすればいいでしょうか?

まず大切なのは、創造系と分析系の人材を意識的に混ぜることです。同じような考え方の人ばかりでチームを作るのではなく、あえて違うタイプの人を一緒に働かせることで、お互いの良さを引き出せます。

次に、小さな挑戦を許す雰囲気を作ることも大切です。「失敗したらどうしよう」と恐れるのではなく、「小さく始めて、うまくいったら広げていこう」という考え方を広めることで、新しいアイデアが生まれやすくなります。

また、失敗から学べる仕組みを作ることも重要です。失敗を責めるのではなく、「何を学んだか」を共有し、次に活かせる文化を作りましょう。

長い目で見た評価の仕方を取り入れることも必要です。短期的な数字だけでなく、「新しいことにチャレンジしたか」「将来につながる学びがあったか」といった点も評価すると、創造的な取り組みが増えます。

最後に、部門を超えた会話を増やすことも効果的です。営業と開発、マーケティングと技術など、普段あまり話さない部門同士が交流することで、新しいアイデアが生まれやすくなります。

まとめ:大切なのはバランス

0.3%の挑戦か、99.7%の安全策か。正解はきっと、両方のバランスなんです。会社の大きさに関係なく、この2つの考え方のバランスを保つこと。それが企業の元気の秘訣かもしれません。

このバランスを保つのは、実は私たち一人一人の意識次第。あなたの会社や部署はどちらが多いですか?あなた自身はどちらが得意ですか?ぜひ、周りを見てみてください。きっと新しい発見があるはずですよ!

2025年3月8日土曜日

「量より質」って本当?~歴史から学ぶ特許戦略のヒント~

 最近、特許の世界でよく聞く言葉があります。

「量より質が大切です!」

確かに、いいことのように聞こえますよね。でも、ちょっと待ってください。本当にそうなんでしょうか?

昔の日本はすごかった!

実は、日本には「特許出願件数世界一」だった時代があるんです。そして、その頃の日本経済は世界でもトップクラスの強さを誇っていました。

「量は質を生む」っていう言葉、ご存知ですか? もしかしたら、当時の日本は、世界一の特許出願数(量)があったからこそ、世界一の経済力(質)を手に入れることができたのかもしれません。

歴史から学ぶヒント

ここで、ちょっと歴史の話をさせてください。 (戦争の話で恐縮ですが、とても分かりやすい例なんです)

日露戦争の時、日本の指導者たちは何を考えていたと思いますか? 実は、「とにかくロシアと同じくらいの数の戦力を持とう!」ということに必死だったんです。

  • 陸上戦力を20万人くらいに
  • 戦艦も5隻くらいに

国の予算をかなり使って、この数字を実現したんです(その分、国民は大変だったみたいですが...)。

そして面白いのは、この「数」が揃ってから、はじめて質の勝負ができたということ。

  • イギリス製の高性能な戦艦
  • 良質な石炭
  • 熱意あふれる日本兵

こういった「質」の面での強みを活かすことができたんです。

逆に、太平洋戦争ではどうだったでしょう? アメリカの圧倒的な物量の前に、質の勝負にすら持ち込めませんでした。

何が言いたいか?

この歴史から、二つの大切なことが見えてきます:

  1. 量があってこそ、質も育つ
  2. 質が効いてくるのは、量が十分にある時

今の日本企業は大丈夫?

実は、最近の「量より質」という話には、ちょっと怪しいところがあるんです。

バブル崩壊後、多くの日本企業は経費削減に走りました。その時の言い訳として、「量より質」という理屈が使われたんじゃないか...というのが私の見方です。

その結果どうなったか? たくさんの特許を出願し続けているアメリカや中国の企業に、どんどん追い抜かれているんです。

まとめ

「量より質が大切」

確かにその通りなんです。でも、それは「十分な量がある」という前提があってこその話。量を無視して質だけを追求しても、うまくいかないかもしれません。

特許戦略を考えるとき、まずは「必要な量」をしっかり確保すること。そこから質を高めていく。そんな順番で考えてみてはいかがでしょうか?

2025年3月1日土曜日

「製造方法は特許出願しちゃダメ?」という迷信について考えてみた

「製造方法は特許出願しないほうがいいよ。秘密にしておくべきだよ」

よくこんなアドバイスを聞きませんか?一見もっともらしく聞こえますよね。でも、ちょっと待って!本当にそうなんでしょうか?

怖い話:もしライバル企業が特許を取っちゃったら...

例えば、こんなシナリオを想像してみてください:

あなたの会社が何年も前から使っている製造方法。ところがある日、ライバル企業がその方法の特許を取っちゃった!

「えぇ!?うちが先に使ってたのに!」

そうなんです。実は、先に使っていても、形式上は特許権の侵害になっちゃうんです。

「でも先使用権があるから大丈夫でしょ?」

そう思いますよね。私も最初はそう思っていました。 でも、先使用権を主張するのって、実はすっごく大変なんです:

  • 昔からの書類を全部保管しておく必要がある
  • 証拠集めが超面倒
  • 裁判になったら時間もお金もかかる

もっと怖い話:改良したら...?

さらに怖いのが、製造方法を改良したケース。 「ちょっと良くしただけ」でも、先使用権が使えなくなることも。そうなると... 「ライセンス料を払ってください」 って言われかねないんです。

「うちの技術は誰にも真似できない!」って本当?

そう思いたい気持ち、分かります。でもね:

  • ライバル企業にも優秀な技術者がいっぱい
  • 技術の進歩は速い
  • 意外と同じアイデアを思いつくもの

実は昔の話が影響してるんです

「製造方法は出願しない方がいい」って考え、実はある時期に広まったものなんです。

昔々、特許庁が審査件数の多さに困って、「出願を減らしたい!」というキャンペーンをしたことがありました。その時に:

  • 「ノウハウは秘密にしましょう」
  • 「外国に技術が流出しちゃう!」 という理屈が広まったみたい。

(でも、外国流出が心配なら、外国でも特許取ればいいだけですよね...?)

企業側も「出願費用が節約できる!」と、この考えを受け入れやすかったのかも。

今は時代が変わってます

最近では:

  • 法律も変わって、製造方法の特許権を主張しやすくなった
  • むしろ特許を取ることで、ライバル企業の参入を防げる
  • 自社の権利をしっかり守れる

まとめ

「ノウハウだから出願しない」

この考え方、ちょっと古いかもしれません。大切な製造方法は、むしろ特許出願して守ったほうが安全な時代になってきているんです。

みなさんも、古い常識にとらわれすぎず、柔軟に考えてみませんか?


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