プロフェッショナルは営業してはいけないのが原則ですが、開業したての頃は仕事がありませんので、背に腹は代えられず、営業をすることになります。
営業をして実際に仕事に結びつく確率というのは1%もないと思いますので、 数百社から千社程度、飛び込み営業をする必要があります。
1日5社営業に回るとしても、数か月から半年は営業をし続けて、何とか仕事をいくつか貰えるレベルといえます。
ただし、数十社断られ続けた段階で、多くの人は心が折れてしまいますので、もう少し営業の効率を高めたいところです。
特許の場合には、特許データベースを利用して、営業先を絞り込むことができるかと思います。
例えば、 出願人住所を「神奈川県」に絞り込んで検索すれば、神奈川県内で出願を行っている会社を知ることができます。
また、さらに、特許分類(IPC、FI、Fターム)で絞り込めば、自分が対応できる技術(機械、電気、化学等)を有する会社に、さらに絞り込むことができます。
さらに、マップソフトをつかえば、出願件数動向から、出願の意欲の高い会社を知ることができます。
出願人住所検索はJ-PlatPatではできませんので、有料の特許データベースを利用する必要があります。
ただし、特許情報を利用しても、仕事を得られる確率が劇的に向上するとも思いませんので、 多少の効率化が図れる程度と考えたほうがよいと思います。
また、特許情報のみではなく、企業のIR情報やその他開示されている情報をさらに分析して確率を高めることも考えられます。
しかし、こういう作業も時間がかかりますので、分析に時間をかけるよりも、適当な段階で実際に回ったほうが早い場合もあると思います。
とはいえ、何とか引き合いがあった場合でも、会社によっては、足元を見られて、最初は無料で出願してくれ、と無理な要求がなされる場合も多々あるのがつらいところですが・・・。
2015年4月25日土曜日
2015年4月10日金曜日
長い明細書について
私は弁理士の仕事しつつ、企業の知財部支援の仕事もやらせていただいております。
知財部的な仕事をする際に避けて通れないのが、他の弁理士等が書いた明細書の評価です。他の弁理士の書いた明細書を読ませていただくのは、自分にも非常に勉強になります。
そうするといろいろな明細書が見受けられるのですが、長文の明細書に出会うことが多々あります。こういう明細書は読むのもしんどいですし、理解するのも大変、時間がかかります。
日本の国語教育を受けていると長文に価値があると感じてしまいがちですので、こういう明細書が喜ばれる素地があるのかもしれません。
とはいえ、明細書は小学校の作文と違いますので、長ければよいというものではなく、デメリットもいくつかあります。
一つ目は、明細書作成コストがかかるということです。
弁理士に明細書作成を依頼する場合には、ページ数に応じてその料金が上昇しますので、長い明細書はコスト高といえます(弁理士には売上が上がるのでメリットともいえますが・・・)。
二つ目は、翻訳費用がかかるということです。
外国へ出願する場合には、原則各国の言語に明細書を翻訳する必要があります。出願する国数に応じて翻訳費用がレバレッジされて増加します。
三つ目は、不要な開示を含む可能性があるということです
明細書で公開された情報は、公知になるとともに、権利範囲に含まれない部分については、誰でも自由に実施できることになります。
したがって、権利に関係ない部分の記載については、「ただ」で情報をあげているようなものになりますので、記載は厳選して減らすようにしなければなりません。
四つ目は、検討コストがかかるということです。
拒絶理由対応や侵害対応をする場合、担当者が明細書を読み込む必要がありますが、長い明細書は読むのも時間ががかりますので、検討に工数が多く必要となります。
担当者が複数の場合には、担当者数でレバレッジされて工数が必要となります。
五つ目は、論理不明確となりやすいことです。
明細書は論理を組み立てて、矛盾が生じないように記載する必要がありますが、文章が長くなりますと、論理に齟齬が生じる可能性が高くなります。
論理に矛盾がある場合には、記載不備として拒絶される可能性が高くなりますし、侵害訴訟では矛盾を突かれて、権利範囲が狭く解釈される可能性があります。
結局、明細書は短くする努力というのが最終的には必要となると思います。
それでも、長い明細書が製造されてしまう理由としましては、やはり、拒絶査定となったときの言い訳とできるからなのかと思います。
拒絶査定となると、弁理士の責任が問われる可能性がありますが、長文に価値があると感じてしまいがちですので、これだけ一生懸命書いたのだから、しょうがないといいやすいと思います。
また、明細書が長い方が、高額を請求できるという事情もあると思います。
したがって、弁理士の側から明細書を短文化するというのは、難しいと思いますので、クライアントの側が明細書を精査して短くするのが現実的と思います。
知財部的な仕事をする際に避けて通れないのが、他の弁理士等が書いた明細書の評価です。他の弁理士の書いた明細書を読ませていただくのは、自分にも非常に勉強になります。
そうするといろいろな明細書が見受けられるのですが、長文の明細書に出会うことが多々あります。こういう明細書は読むのもしんどいですし、理解するのも大変、時間がかかります。
日本の国語教育を受けていると長文に価値があると感じてしまいがちですので、こういう明細書が喜ばれる素地があるのかもしれません。
とはいえ、明細書は小学校の作文と違いますので、長ければよいというものではなく、デメリットもいくつかあります。
一つ目は、明細書作成コストがかかるということです。
弁理士に明細書作成を依頼する場合には、ページ数に応じてその料金が上昇しますので、長い明細書はコスト高といえます(弁理士には売上が上がるのでメリットともいえますが・・・)。
二つ目は、翻訳費用がかかるということです。
外国へ出願する場合には、原則各国の言語に明細書を翻訳する必要があります。出願する国数に応じて翻訳費用がレバレッジされて増加します。
三つ目は、不要な開示を含む可能性があるということです
明細書で公開された情報は、公知になるとともに、権利範囲に含まれない部分については、誰でも自由に実施できることになります。
したがって、権利に関係ない部分の記載については、「ただ」で情報をあげているようなものになりますので、記載は厳選して減らすようにしなければなりません。
四つ目は、検討コストがかかるということです。
拒絶理由対応や侵害対応をする場合、担当者が明細書を読み込む必要がありますが、長い明細書は読むのも時間ががかりますので、検討に工数が多く必要となります。
担当者が複数の場合には、担当者数でレバレッジされて工数が必要となります。
五つ目は、論理不明確となりやすいことです。
明細書は論理を組み立てて、矛盾が生じないように記載する必要がありますが、文章が長くなりますと、論理に齟齬が生じる可能性が高くなります。
論理に矛盾がある場合には、記載不備として拒絶される可能性が高くなりますし、侵害訴訟では矛盾を突かれて、権利範囲が狭く解釈される可能性があります。
結局、明細書は短くする努力というのが最終的には必要となると思います。
それでも、長い明細書が製造されてしまう理由としましては、やはり、拒絶査定となったときの言い訳とできるからなのかと思います。
拒絶査定となると、弁理士の責任が問われる可能性がありますが、長文に価値があると感じてしまいがちですので、これだけ一生懸命書いたのだから、しょうがないといいやすいと思います。
また、明細書が長い方が、高額を請求できるという事情もあると思います。
したがって、弁理士の側から明細書を短文化するというのは、難しいと思いますので、クライアントの側が明細書を精査して短くするのが現実的と思います。
2015年4月8日水曜日
弁護士のマーケティングについて
この間twitterを見ていましたら、「仕事がない弁護士はマーケティングをすればよい。コトラーを読め」的なツイートを見かけました。
確かにそうなのかもしれませんが、少々違和感がありました。まあ、話半分なのかもしれませんが。
ということで、私なりに弁護士のマーケティングを考えてみました(弁護士ではありませんが・・・。)
マーケティングといえば、いろいろなフレームワークがありますが、有名なのが4Pです。
4Pとは、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、 プロモーション(Promotion)の各要件について、市場に受け入れられる組み合わせを考えるようなことをいいます。
ます、製品(Product)ですが、弁護士の業務は民事、刑事、渉外等の法律事務ですので、業務自体で差別化することはできません。
ただし、レベルの高い仕事をすることにより、質で差別化することは可能です。
したがって、製品(Product)の面からは、実務をこなし、裁判例を研究するなどして実務能力を向上することがマーケティング的には有効と思います。
次に、価格(Price)ですが、手数料を安くすれば差別化することは可能です。
しかし、ここで考えなければならないのは、弁護士はプロフェッショナルであるということです。
波頭亮さんの「プロフェッショナル原論」という本には、「プロは値引きをしない」とありますので、これはなし、ということになります。(詳しくはこの本を読んでください。とてもよい本です。)
流通(Place)につきましては、なかなかピンときませんが、例えば、人が集まるいろいろなところ(商工会、異業種交流会、同窓会、・・・)に顔を出して活動し、名前を売る活動をすることにより、仕事の紹介が得られるかもしれません。
プロモーション(Promotion)につきましては、プロフェッショナルは営業してはならないという固有のルールがあることが悩ましいところです。
波頭亮さんの「プロフェッショナル原論」という本には「プロフェッショナルの仕事はクライアントの依頼があって初めて発生するものなのである。つまり自ら売り込んだり営業活動を行ってはならない」との記載があります。
したがって、プロモーション(Promotion)もなし、ということになります。
そうすると、4Pから考える弁護士のマーケティングとは、実務能力を高め、いろいろなところに顔を出す、ということになります。
しかしこのようなことは、当たり前のことで、わざわざコトラーを持ち出す必要もありません。
先ほどのツィートは、通常のビジネスには当てはまりますが、弁護士というプロフェッショナルの特性を知らないで、つぶやいたのかもしれません。
ということで、コトラーを読む暇があるのなら、判例の研究でもしたほうが、マーケティング的には正しいということになります。
確かにそうなのかもしれませんが、少々違和感がありました。まあ、話半分なのかもしれませんが。
ということで、私なりに弁護士のマーケティングを考えてみました(弁護士ではありませんが・・・。)
マーケティングといえば、いろいろなフレームワークがありますが、有名なのが4Pです。
4Pとは、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、
ます、製品(Product)ですが、弁護士の業務は民事、刑事、渉外等の法律事務ですので、業務自体で差別化することはできません。
ただし、レベルの高い仕事をすることにより、質で差別化することは可能です。
したがって、製品(Product)の面からは、実務をこなし、裁判例を研究するなどして実務能力を向上することがマーケティング的には有効と思います。
次に、価格(Price)ですが、手数料を安くすれば差別化することは可能です。
しかし、ここで考えなければならないのは、弁護士はプロフェッショナルであるということです。
波頭亮さんの「プロフェッショナル原論」という本には、「プロは値引きをしない」とありますので、これはなし、ということになります。(詳しくはこの本を読んでください。とてもよい本です。)
流通(Place)につきましては、なかなかピンときませんが、例えば、人が集まるいろいろなところ(商工会、異業種交流会、同窓会、・・・)に顔を出して活動し、名前を売る活動をすることにより、仕事の紹介が得られるかもしれません。
波頭亮さんの「プロフェッショナル原論」という本には「プロフェッショナルの仕事はクライアントの依頼があって初めて発生するものなのである。つまり自ら売り込んだり営業活動を行ってはならない」との記載があります。
したがって、プロモーション(Promotion)もなし、ということになります。
そうすると、4Pから考える弁護士のマーケティングとは、実務能力を高め、いろいろなところに顔を出す、ということになります。
しかしこのようなことは、当たり前のことで、わざわざコトラーを持ち出す必要もありません。
先ほどのツィートは、通常のビジネスには当てはまりますが、弁護士というプロフェッショナルの特性を知らないで、つぶやいたのかもしれません。
ということで、コトラーを読む暇があるのなら、判例の研究でもしたほうが、マーケティング的には正しいということになります。
2015年3月10日火曜日
商工会議所の名刺交換会について
3/10に横浜商工会議所の新会員交流会に参加してまいりました。
交流会の前半では商工会議所のレクチャーが行われ、交流会の後半では会員同士の名刺交換が行われるのですが、ここでは少々苦戦して帰ってきました。
名刺交換はビジネスチャンスを広げる目的で行われます。
当社の事業は「知財支援」ですが、あまり知財が関係しないような企業の方には、どうにもピンとこないようで、名刺交換しても話があまり盛り上がらず、少し落ち込みました・・。
横浜商工会議所の会員の業種割合を見ますと、多い順に、建設18.7%、小売16.9%、観光・サービス14.8%、卸・貿易11.2%、機械・金属工業8.9%、情報関連8.0%、・・・となっておりますので、 特許が関係する企業は10%ない、ということになります。
そうすると、やたらめったらに名刺交換をしても、仕事の依頼につながる確率は非常に低いということになります。
もちろん、機械・金属工業系の企業を見つけて名刺交換すればよいのですが、胸の名札から業種を見分けるのは無理でしたので、早々にあきらめました。
一方、税理士や社労士のような、すべての企業にかかわる仕事の場合には、新会員は立ち上げたばかりの企業も多いと思いますので、名刺交換はビジネスチャンスを得る有効な機会となります。
同様に、小売など需要層が広い業種の場合には、 名刺交換は非常に有効と思います。
よく、「魚を釣るには、魚のいる場所で釣れ」といいますが、営業に関しても同様で、知財上の課題を抱えている企業がいる場所で営業をしたほうがよさそうです。
逆に、当社でも需要者を広くできるような商品・サービスを開発できればよいのかと思いましたが、これもまた難しく、新会員になってはみたもの、商工会議所をどう利用していくか悩みどころです。
交流会の前半では商工会議所のレクチャーが行われ、交流会の後半では会員同士の名刺交換が行われるのですが、ここでは少々苦戦して帰ってきました。
名刺交換はビジネスチャンスを広げる目的で行われます。
当社の事業は「知財支援」ですが、あまり知財が関係しないような企業の方には、どうにもピンとこないようで、名刺交換しても話があまり盛り上がらず、少し落ち込みました・・。
横浜商工会議所の会員の業種割合を見ますと、多い順に、建設18.7%、小売16.9%、観光・サービス14.8%、卸・貿易11.2%、機械・金属工業8.9%、情報関連8.0%、・・・となっておりますので、 特許が関係する企業は10%ない、ということになります。
そうすると、やたらめったらに名刺交換をしても、仕事の依頼につながる確率は非常に低いということになります。
もちろん、機械・金属工業系の企業を見つけて名刺交換すればよいのですが、胸の名札から業種を見分けるのは無理でしたので、早々にあきらめました。
一方、税理士や社労士のような、すべての企業にかかわる仕事の場合には、新会員は立ち上げたばかりの企業も多いと思いますので、名刺交換はビジネスチャンスを得る有効な機会となります。
同様に、小売など需要層が広い業種の場合には、 名刺交換は非常に有効と思います。
よく、「魚を釣るには、魚のいる場所で釣れ」といいますが、営業に関しても同様で、知財上の課題を抱えている企業がいる場所で営業をしたほうがよさそうです。
逆に、当社でも需要者を広くできるような商品・サービスを開発できればよいのかと思いましたが、これもまた難しく、新会員になってはみたもの、商工会議所をどう利用していくか悩みどころです。
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【PR】“AI、生成AI”による知財業務の効率化、スピード化のセミナーについて(9/27開催)
掲題の件、セミナーの1/4を担当することになりました。私の担当分は、「【第2部】生成AIで革新する特許データ分析」です。URLは以下となります。 AI 生成AI 特許調査 分析 翻訳 技術情報協会はセミナー・出版・通信教育を通じて企業の最前線に立つ研究者、技術者をサポートし社会に...
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ご無沙汰しております。 最近投稿をさぼっておりますが、これはこのHPのアクセス数がなさ過ぎて、モチベーションが上がらないからです。 1つの記事のアクセス数が5くらいしかありません(1日ではなく、総アクセスで)ので、さすがにひどいと言わざるをえません。 このような状態になったのは、...
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https://note.com/ip_design へしばらく移転します。
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東京オリンピックのメインスタジアムの建設費用が高すぎるとして問題となっています。 今の日本であれば3000億円程度であれば、出せない額ではありませんが、世論的には批判の的となっています。 その理由はなぜかといえば、あのヌメッとしたデザインに3000億円の価値はないと日本国...