2016年6月5日日曜日

人生を楽しまない、ことの功罪について

私事ですが、仕事中はほとんど笑うことはありません。

その理由はいろいろありますが、大きな原因は、そういうのが日本の美徳としてあったからと思います。

中高生時代は、今よりも激しい受験競争がありましたし、大学では、精神を病む人や失踪する人がでるような環境下で研究生活をおくっていましたし、会社でも仕事中に歯を見せると先輩から注意されるような労働環境でした。

要は、苦労と努力と自分を追い込むような考え方が正しく、楽しくやろうなどという考えは甘えということになります。

こういう考えは、国が貧しいときは正しい考えなのですが、国が豊かになると、少々まずい考えとなります。

例えば、自動車であれば、それなりの性能を満たすように必死に考えて設計すればよいのですが、国が豊かになれば、性能を満たすだけでなく、「楽しい」とか「美しい」とか、人の感性を満足させることが必要となります。

そういう自動車を、人生を楽しんでいない人が設計することは無理があります。 これは自動車に限らず、BtoC製品のすべてにいえると思います。

日本の企業はBtoCの事業からBtoBの事業へ軸足を移しておりますが、これは、BtoB事業は努力とか論理とかで勝負できますが、感性が勝負となるBtoC事業では勝てなくなってきているからと思います。

そうしますと、今後は、あまり努力とか苦労とかいうのではなく、イタリアのような人生を楽しむような国造りも必要と思います。

またまた、私事ですが、自分も技術者時代は BtoC製品の開発にかかわっていましたが、なんとなくミスマッチを感じ、今は、「感性」は不要で、「論理だけ」が必要とされる弁理士へ転職しました。

とはいえ、特許の仕事だけをやっている分には「感性」は不要なのですが、商標(ブランド)、意匠(デザイン)、著作権(アート)の仕事にかかわるようになると、やはり「感性」を理解するような場面も出てきますので、もう少し自分も人生を楽しむようにならないといけないと思います。

2016年6月4日土曜日

【募集】 弁理士知財キャラバンについて


■ 「弁理士知財キャラバン」とは
日本弁理士会では、特許、デザイン、ブランド、コンテンツ、製造ノウハウなどの知的財産を上手に活用して、さらに上を目指す中小企業を応援するため、「弁理士知財キャラバン」事業を立ち上げました。
知財経営コンサルティングのスキルを持った弁理士が直接企業を訪問して、共に課題を解決していきます。

(弁理士知財キャラバンのパンフレット[日本弁理士会HP]、PDFファイルです。)
http://www.jpaa.or.jp/…/a31a38f43a7e7e0cefb3d68ba4ef25ed1.p…

■ 「弁理士知財キャラバン」の進み方
複数名の弁理士(当方含む)が、貴社を複数回訪問させていただき、貴社課題の分析と、貴社の知財戦略をご提案いたします。
・1回目ご訪問:貴社課題のヒアリング
・2回目ご訪問:貴社課題の互いの認識の擦りあわせ
・3回目ご訪問:戦略ご提案

■ 「弁理士知財キャラバン」の費用
・無料です。(費用は一切かかりません。)

■ 「弁理士知財キャラバン」の活用をお勧めする中小企業
・技術力・デザイン力を活かして新製品を開発したい。
・金融機関に自社をアピールしたい
・会社や製品の知名度を上げたい
・海外に進出したい
・事業承継先を探したい
・研究開発パートナーを探したい。

■ お問い合わせや、ご訪問のご希望は、当社:川上( E-mail : info@ip-design.co.jp )まで、まずはご連絡ください。

注)本件は、株式会社知財デザインが提供するサービスではなく、日本弁理士会の事業となります。

2016年5月26日木曜日

【広告】他社に競り勝つ!本当に強い特許実務対応 ~係争対応・各社の特許戦略策定ノウハウ・事例~

私も一部担当させていただいた
他社に競り勝つ!本当に強い特許実務対応~係争対応・各社の特許戦略策定ノウハウ・事例~
が株式会社情報機構から発刊されます。

発刊は5月末予定です。

(情報機構HPです)
http://www.johokiko.co.jp/publishing/BC160502.php

私は、「第5章 実務に生かせる知財係争事例分析」の中の
「第1項 他社特許使用による係争」、
「第2項 自社技術の特許化漏れによる係争」、及び、
「第4項 非侵害論でなく無効論が有効だった事例」
を担当させていただきました。

1冊64,000円(今なら56,000円)ということで、少々お高いですが、機会がありましたらお手に取っていただければと思います。

(2016.5.31追記)
51,200円への割引券を出版社から貰いましたので、ご希望の方は、info@ip-design.co.jp までご連絡ください。


2016年5月21日土曜日

2016/3/20~3/26の知財高裁判決



2016320日から2016326日までになされた裁判は、侵害訴訟3件(特許、商標、著作権、各1件)、審決取消訴訟11件(特許6件、商標5件)です。

1.侵害訴訟

(1)平成27()10014  特許権侵害行為差止(東京地方裁判所 平成25()4040
平成28325日判決 控訴棄却(特別部)
特許権 (ビタミンDおよびステロイド誘導体の合成用中間体およびその製造方法)
均等侵害,特許の有効性(進歩性)

*コメント
均等論を認めた超重要判決です(ニュースになったような気がします)。本件に関しては偉い先生がまとめた記事をいろいろ書いてくれるでしょうから、それを待ちたいと思います。

(2)平成27()10121  商標権侵害行為差止等(東京地方裁判所 平成26()30230
平成28324日判決 控訴棄却(1部)
商標権 (GESTS)
その他

*コメント
商標の使用が、共有者によるものか、この共有者が勝手に使用許諾した者によるものか、について争われました。商品タグに販売元が共有者であることが記載されていることから、共有者の使用とされ、商標権を侵害しないこととなりました。

(3)平成27()10102  損害賠償等(東京地方裁判所 平成25()18110
平成28323日判決 控訴棄却(2部)
著作権
著作物性,複製・翻案

*コメント
まず、Accessのファイルの著作物性が争われました。当該ファイルに関しコンピュータに対する指令の組合せに個性が顕れる余地はほとんどなく,プログラムの著作物としての創作性が否定されました。翻案については、創作性を有する部分が依拠していることが必要であり、単に共通するだけでは、翻案とならないとされ、控訴人は、プログラムの特異な一致を主張しましたが、創作性を有する部分の一致ではないため、翻案でもないとされました。


2.審決取消訴訟
(1)平成27(行ケ)10014  審決(無効・不成立)取消
平成28325日判決 請求棄却(1部)
特許権 (ビタミンDおよびステロイド誘導体の合成用中間体およびその製造方法)
進歩性(相違点の判断)

*コメントはありません。

(2)平成27(行ケ)10113  審決(無効・不成立)取消
平成28324日判決 審決取消(3部)
特許権 (単位製剤)
進歩性(相違点の判断)

*コメントはありません・・・。

(3)平成27(行ケ)10087  審決(無効・不成立)取消
平成28324日判決 審決取消(3部)
特許権 (立体映像信号生成回路及び立体映像表示装置)
進歩性(引用発明の認定,相違点の認定)

*コメント
審判で相違点と認定された構成要件は相違していないと認定されました。

(4)平成27(行ケ)10075  審決(無効・成立)取消
平成28324日判決 請求棄却(3部)
特許権 (立体網状構造体,立体網状構造体製造方法及び立体網状構造体製造装置)
進歩性(相違点の判断)

(5)平成27(行ケ)10203  審決(取消・成立)取消
平成28324日判決 請求棄却(3部)
商標権
不使用(50条),手続違背

*コメント
本件における2段組みでの商標の使用は社会通念上同一の商標の使用とは認められませんでした。登録商標に言葉を付加しての使用は不使用とされるリスクがあることがわかります。

(6)平成27(行ケ)10174  審決(無効・不成立)取消
平成28323日判決 請求棄却(2部)
商標権 (チャッカボー)
類似性(4条1項10号),混同を生ずるおそれ(4条1項15号),不正目的(4条1項19号)

*コメント
商標の一部分「チャッカ」に需要者が着目するかについて、原告がアンケート結果を提出しましたが、どうにも、アンケートの設問がよろしくなかったようで、難しいところです。

(7)平成27(行ケ)10173  審決(無効・不成立)取消
平成28323日判決 請求棄却(2部)
商標権
類似性(4条1項10号),混同を生ずるおそれ(4条1項15号),不正目的(4条1項19号)

*コメント 同上です。

(8)平成27(行ケ)10172  審決(無効・不成立)取消
平成28323日判決 請求棄却(2部)
商標権 (チャッカ棒)
類似性(4条1項10号),混同を生ずるおそれ(4条1項15号),不正目的(4条1項19号)

*コメント 同上です。

(9)平成27(行ケ)10165  審決(拒絶)取消
平成28323日判決 審決取消(2部)
特許権 5角柱体状の首筋周りストレッチ枕)
進歩性(相違点の判断)

*コメント
引用発明の断面8角形の枕は転がりやすくすることを目的とするのに対し、本件発明の断面5角形の枕は転がりにくくすることを目的とすることから、本件の断面5角形形状は、容易に想到できるものではないと認定されました。

(10)平成27(行ケ)10207  審決(無効・不成立)取消
平成28323日判決 請求棄却(2部)
商標権
類似性(4条1項10号),商標の使用意思(3条1項柱書)

*コメント
周知性に関する意見書は原告と一定の関係を有する専門家により作成されたものであるから直ちに信用はできないとされました。上記のアンケートもそうですが、商標の訴訟は証拠づくりがポイントとなりそうです。

(11)平成27()10127  審決(無効・成立)取消
平成28323日判決 審決取消(4部)
特許権 (レーザー加工装置)
進歩性

*コメント
3回目の審決取消訴訟です。やはり審決は取り消されました。引用発明に本件発明の構成を採用する動機づけもなく、周知例にもそのような構成は開示されていない、とされます。




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