2018年2月18日日曜日

STEP2)ブランドが提供する便益の階層分析について(その1)

次に、STEP2の「便益の階層」ですが、

第1階層:情緒的/自己表現的便益
第2階層:機能的便益
第3階層:属性

のキーワードのセットを明らかにしてゆきます。

STEP2のブランドが提供する便益の階層分析では、「言葉の絞り込み、意味の洞察」を行うことを目的とします。

ここでいう便益とは、ブランド資産に基づいて、顧客などが真に欲する便益であり、便益の理解を通じて、ブランドが顧客に提供する価値・約束する価値を深堀して、独自性を表現する言葉や、意味を認識します。

ここで、一番重要な便益は、情緒的/自己表現的便益となります。これは、模倣が困難であり、顧客にとり有意義な便益であることから、顧客との絆が深まり、顧客ロイヤルティを得られるからです。

ところで、私は、以前は製造する側におりましたが、情緒的/自己表現的便益というものにあまり縁がありませんでした。

工場で働いておりましたが、建物は節電のため薄暗く(蛍光灯を1本外す)、工場・事務所の内装も無機質で労働のための機能を果たすのみ、という感じで、人間の情緒をあまり考慮しておりませんでした。

(全然関係はありませんが、クリーンルームで力仕事をしていたとき、汗をかいたところ、クリーンルームが汚染されるので汗をかかないでくれ、と叱られたことがあります・・・。)

もちろん、労働者の情緒的便益を積極的に充たす工場というのは、固定費が悪化することから経営的にはよろしくないという理由は当然あります。

製造する製品についても、BtoBの場合には、製品が情緒的/自己表現的便益を充たす必要はなく、もっぱら機能的便益を充たすのみとなります。

そういう環境で開発を続けておりますと、「情緒的/自己表現的便益」はまったく不要というか、よくわからないという思考となります。

しかしながら、最近人気のヨーロッパ製の家電など見ますと、明らかに「情緒的/自己表現的便益」を狙った製品となっておりますので、少なくともBtoC製品に関しては「情緒的/自己表現的便益」は有効そうです。

そうすると、BtoBに関しては「機能的便益」、BtoCに関しては「情緒的/自己表現的便益」が重要そうですが、弁理士企業年金基金は、はたしてBtoBなのかBtoCなのかという問題があります。 (つづく)

2018年2月17日土曜日

STEP1)現在・将来のブランド資産の評価について(その2)

さて、STEP1の現在・将来のブランド資産の評価ですが、作業としては、下の表の右の列に、基金が有する資産を記入してゆきます。


望ましい資産

肯定的資産

中立的資産
-
否定的資産
-


望ましい資産とは、今はないが、あれば好ましい顧客の連想を生ずる資産をいいます。

肯定的資産とは、今すでにある、好ましい顧客の連想を生ずる資産をいいます。

中立的資産とは、可もなく不可もない連想を生ずる資産をいいます。

否定的資産とは、否定的な顧客の連想を生ずる資産をいいます。

ここで、中立的資産と否定的資産は、自社を見つめなおす、自社を改善してゆくには重要な資産ではありますが、キャッチフレーズの作成には不要ですので(キャッチフレーズには否定的な表現をいれませんので)、無視することにします。

そもそも、なぜこのような作業を行うかといえば、キャッチフレーズはブランドアイデンティティを表現するものであり、ブランドアイデンティティの構築には、顧客の魅力的な便益を示すキーワードのセットを明らかにする必要があるからです。

STEP1の現在・将来のブランド資産の評価では、「言葉の風呂敷を広げる」こと、すなわち、キーワードを広げることを目的とします。

能書きは以上となりますが、このキーワードの選定は非常に難しいものがあります。 というのは、私は基金内部の人間ではないので、はたして基金のどのようなブランド資産があるかわからないからです。

したがって、以下の記載は、パンフレット等から見た場合の、ほぼ私の想像となりますので、現実とは異なる部分、誤り、誤解等があることを予めご承知おき願います。

それで、考えてみた結果が以下の通りです。


望ましい資産
顧客志向、高い信頼性、適切な情報提供、特許業界への貢献、安定的な運営
肯定的資産
健全経営、老後の安心、信頼、有用、公正
中立的資産
-
否定的資産
-

ありふれたキーワードが並んでますが・・・。キャッチフレーズとしては、人目を引くようにしませんと採用されませんので、ありふれたキーワードから面白いフレーズをどう考案するかが難しそうです。

2018年2月3日土曜日

STEP1)現在・将来のブランド資産の評価について(その1)

キャッチコピーの作成作業ですが、案の定進んでおりません。

加えて、弁理士企業年金基金のことを調べておりましたら、自分の老後が心配になり始めまして、自分用の確定拠出年金や、つみたてNISAの検討をし始めたりして、さらに時間が無くなりました。

先日、弁理士企業年金基金のパンフレットを入手しましたので、内容を確認してみましょう。

掛け金は、全額事業主負担ということで、うらやましい限りです。

月の掛け金は、報酬の1.7%ということで、給与が、例えば月額50万円(かなり多い方だと思いますが・・・)の方の掛け金は、月 8500円となります。

例えば、30年勤務したとすると(特許事務所は出入りが激しいのでこの仮定は無意味かもしれませんが)、掛け金累計は306万となります。

これを2%想定で運用してくれる(実際には1~4%と変動)そうなので、一時金額は414万円となります。年金で受け取る場合には、例えば20年間、毎年受け取る場合には、年額25万円(月1.25万円)の年金となります(受給中も運用されて総額502万円と増えます)。

月1.25万円ということで、老後の生活のためには、他にidecoやNISAも活用して、資金を自発的に積み増す必要がありそうです。(なお、これは弁理士企業年金基金特有の事情ではなく、他の企業年金も同様です。)

もう少し掛け金が増えるとよいのですが、その場合には、事務所経営に大きな影響が出ますので、難しそうです。

あとは、年金支給期間は最大20年となっていますので、その後(85歳以上)はどうしたらいいんでしょうか。(これも弁理士企業年金基金特有の事情ではなく、他の企業年金も同様です。)

そうすると、長生きには非常なリスクがあると思います。最悪生活保護となるでしょうか。これは仕方がありません。

フリーランスの国民年金基金には終身年金がありますので、このような制度がほしいところです。

一方、1~4%の運用は、国民年金基金の1.5%、小規模企業共済の1%と比べると多少有利な数字と思います。

弁理士企業年金基金は全額事業主負担で2%の運用、受給中も運用ということで、加入者にはメリットがありますが、それだけでは足りないことになります。その部分は自己責任で補う必要があるかと思います。

ということで、老後資金の確保は重要ということがわかりました。

そういう事情も踏まえて、次回、現在・将来のブランド資産の評価について、考えたいと思います。

2018年2月2日金曜日

知財立国は成ったか?

知財立国は成ったか、というような記事が新聞に連載されていたそうです。しかし、私は有料会員ではないので、どういう記事かは知りません。

成ったかどうか、私にはよくわかりませんが、私が良く行く本屋における知財関連書籍の減少をみると、後退しているのではないかと感じてしまいます。

私が弁理士になった2003年は、知的財産基本法が施行された年でもあり、これからは知財の時代だという期待感がありました。

その頃、私がよく行く本屋では、知財関連書籍が8ブロックの棚をつかって並べられておりました。

しかし、今は5ブロックに減少しています。知財に関する興味が減って、知財関連の本が出ない、売れない、というのが現状と思います。

また、弁理士試験関係の書籍は3ブロックの棚をつかって並べられておりましたが、今は1ブロックを残すのみとなりました。

弁理士試験を受ける人が減って、本が出ない、売れない、というのが現状と思います。

結局のところ、知財は不要、弁理士もいらない、という感じになってしまっているのではないでしょうか。

なんでこのような状況となってしまったかといえば、これはよく言われるように、特許権侵害訴訟の勝訴率が2~3割と低すぎるからではないでしょうか。

訴えても勝てない、訴えられても負けない、というのであれば、誰も知財にコストをかけませんし、他のことにお金をかけた方が合理的です。

さらにいえば、侵害訴訟ともなれば、訴訟費用(弁護士費用)も500万~1000万となりますが、損害賠償額でうん千万とれませんと、費用対効果で割に合わないことになります。

ということで、本屋の棚からみたら、知財立国は遠くなった、ということになるでしょうか。




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