2025年4月12日土曜日

本当に「潜在ニーズ」って探せるの?🤔

 みなさん、こんにちは!今日は多くのビジネスパーソンや企業が頭を悩ませている「潜在ニーズ」について、じっくり考えてみたいと思います。マーケティング会議やビジネス書でよく耳にするこの言葉、実際のところはどうなのでしょうか?

潜在ニーズ探しの落とし穴

ビジネスの世界でよく「潜在ニーズを探せ」って言われますよね。まるで宝の地図を持って埋蔵金を探すかのように、どこかに眠っている「まだ気づかれていないニーズ」を見つけ出せば大成功への道が開けるという考え方です。でも、これって本当に現実的なアプローチなのでしょうか?🧐

マーケティングリサーチを使えば顕在ニーズ(すでに表面化している欲求)を分析するのは比較的得意です。アンケート調査やインタビュー、データ分析などの手法を駆使すれば、「今」消費者が何を求めているかはある程度把握できます。でも、ここから一歩進んで「優れた分析者なら潜在ニーズも見つけられるはず」という考え方には、実は大きな誤解が潜んでいるんです。

なぜなら、情報をいくら丹念に集めて緻密に分析しても、それで分かるのは「現時点での状況」だけであり、将来的に人々が「これが欲しかった!」と気づくようなものを予測するのは極めて困難だからです。潜在ニーズとは、実は製品やサービスが世に出た後になって「あ、これこそ私が求めていたものだったんだ!」と気づかれるものなんですよね。つまり、時間軸の問題が大きく関わっているのです💡

ウォークマンの真実:分析ではなく創造から生まれた革命

潜在ニーズを見事に掘り起こした成功例としてビジネス書などでよく挙げられるのが「ウォークマン」です。「外出先で音楽を聴きたいという潜在ニーズを発見した」というストーリーはとても魅力的ですよね。

でも実際のところ、ウォークマンは緻密なマーケティング分析から生まれたわけではないんです。ソニーの井深大氏や盛田昭夫氏らの「音楽を持ち歩けたら楽しいだろうな」というひらめきと創造的発想から生まれたものです。当時、誰も「小型のヘッドホンステレオが欲しい」とは明確に言っていませんでした。むしろ「録音機能のない再生専用機なんて売れるはずがない」と多くの人が懐疑的だったくらいです。

後になって学者やマーケティング専門家が「これは潜在ニーズを見事に掘り起こした事例だ」と説明するようになったのであって、開発当初からそのような戦略的な分析があったわけではないのです。実は、多くの「潜在ニーズを掘り起こした革新的製品」も、こうした後知恵で説明されることが非常に多いんですよね。

違うアプローチを考えてみよう:分析から創造へのシフト

個人的には、「どこかに眠っている潜在ニーズを探し出そう」というアプローチよりも、「全く新しい価値を創造しよう」「これまでになかった文脈や使用シーンを作り出そう」というアプローチの方が、はるかに実りある結果につながると思います✨

つまり、エンジニアやクリエイターがこれまでの常識や枠組みにとらわれず、様々なアイデアを考えて試行錯誤していく方法です。iPhoneやAirPodsなどのヒット商品も、既存のニーズ分析からというよりは、「こんな使い方ができたら素晴らしいだろう」という創造的発想から生まれたものが多いのです。

このアプローチは、実行する側の心理的負担も格段に軽くなります。「こんなことができたら面白いかも」というワクワク感で進められるからです。

分析と創造:心理的プレッシャーの違い

前にもお話ししましたが、分析という行為は時間とリソースをかければかなりの精度を実現できる性質があります。だからこそ、「潜在ニーズの分析」となると、完璧な結果が求められ、もし予測が外れれば「分析者の能力が不足している」「方法論が間違っている」と厳しく評価されてしまう傾向があります😓

これはかなりのプレッシャーですよね。「まだ存在していない欲求を正確に予測しなさい」と言われているようなものですから。

一方で、「価値創造」や「新しい文脈構築」というアプローチであれば、ある程度の失敗は創造プロセスの一部として受け入れられます。Appleのスティーブ・ジョブズもGoogle Glassも、すべての製品が大成功したわけではありません。でも、そうした試行錯誤の積み重ねがiPhoneやAndroidといった革新的製品を生み出してきたのです。

もちろん、無制限に失敗が許されるわけではありませんが(経営資源には限りがありますからね)、「当たるも八卦、当たらぬも八卦」的な挑戦的姿勢が許容される環境の方が、イノベーションには圧倒的に有利なのです。

まとめ:分析より創造を大切に、そして両者のバランスを

結局のところ、「潜在ニーズを分析して正確に見つけ出す」というよりは、「新しい価値を創造することでニーズそのものを生み出していく」方が、より現実的で実り多いアプローチだと言えるでしょう。歴史上の革新的製品やサービスを振り返ってみれば、多くはひらめきや大胆な発想、そして何度もの試行錯誤から生まれたものであり、精緻な分析だけで潜在ニーズを完璧に特定できたケースはむしろ稀なのです。

もちろん、既存市場の顕在ニーズをしっかり分析することは重要です。また、ユーザー観察や共創的なアプローチでヒントを得ることも価値があります。しかし最終的には、「こんな世界があったら素晴らしいだろう」という創造的なビジョンと、それを実現する勇気こそが、真のイノベーションを生み出す原動力になるのではないでしょうか。

失敗を過度に恐れず、新しいアイデアを試し続ける姿勢。それこそが、私たちの生活を豊かにする製品やサービスを生み出してきた本質なのかもしれませんね!🚀

みなさんは、新しい製品やサービスを考える時、どのようなアプローチを取っていますか?分析派?それとも創造派?あるいは両方のバランスを大切にしていますか?コメント欄でぜひあなたの考えや経験をシェアしてください!次回の記事でも、みなさんの意見を参考にさせていただきたいと思います。

2025年4月5日土曜日

「専門家なのに、なぜ予測を外すのか?」~未来予測と特許戦略のお話~

 大学生の頃の思い出話から始めさせてください。1987年ごろ、私が国際関係論の講義を取ったときのこと。

教室に入ってきた先生の第一声が、今でも耳に残っています。

「君たちは国際関係論というと、いろんな国の関係を勉強すると思っているだろうが、違う。世界には米ソの2つの超大国しかない。この2国の関係を分析するのが国際関係論なんだ」

その先生はアメリカで研究してきた、自信満々の若手研究者。当時の私は「さすが専門家!自分の浅はかな考えが恥ずかしい...」なんて思ったものです。

そして歴史は意外な展開を見せる

ところが、その数年後...。

ベルリンの壁が崩壊し、ソビエト連邦は解体され、「2極体制」はあっさりと歴史の彼方へ消えていきました。

アメリカの一流大学で博士号を取った、その道のエキスパートだった先生でさえ、ソ連崩壊という大きな変化を予測できなかったんです。

これって、いったい何なんでしょう?

優秀だからこそ陥る罠

私なりに考えてみたのですが、専門家が予測を外す理由はこんなところにあるのではないかと思います。

優秀な人ほど分析能力が高い。だから現状分析は素晴らしくできるんです。そして、「未来は現状分析の延長線上にある」と考えがち。

でも、実際の未来って、そんな単純なものではないんですよね。時には予想もしなかった方向に突然曲がったりする。

未来は「確率」で考えるべきもの

個人的には、未来はこう考えた方がいいと思います:

「あらゆる可能性が、それぞれ一定の確率で存在している」

先ほどの例で言えば:

  • 米ソ2極体制が続く確率:高い(当時はそう見えた)
  • ソ連が崩壊する確率:低い(でも、ゼロではなかった)

専門家の本当の役割は、「これが起きる!」と断言することではなく、様々なシナリオを想定して、それぞれに対応策を考えておくことなんじゃないでしょうか。

知財戦略にも同じことが言える

この考え方は特許出願にも当てはまります。

例えば、ある技術分野だけに特許を集中させるのではなく、関連する分野にも幅広く出願しておく。そうすれば、予想外の方向に市場が動いても、ある程度対応できるわけです。

特許というのは「未来の事業領域を確保する」ためのもの。だからこそ、予想が外れた場合の保険としても機能させる戦略が重要なんです。

「私の予測は当たっていた」という人を信じないで

余談ですが、時々こんなことを言う人がいます。

「私はこうなると3年前から予測していた」 「私の分析では、この結果は明らかだった」

こういう「後出しジャンケン」的な発言、実はほとんど詐欺と同じです。未来は確率的なものである以上、どんな専門家でも100%の確率で予測することはできません。

結局のところ

専門家の本当の価値は、「未来を言い当てること」ではなく、「様々な可能性に備えておくこと」なんだと思います。

知財戦略も同じ。一つの予測だけに賭けるのではなく、様々なシナリオに対応できるよう、幅広く布石を打っておく。

それが、不確実な未来に立ち向かうための賢い戦略なのではないでしょうか。

2025年3月29日土曜日

お金の使い方が変わる時代に~インフレ時代の企業戦略と知財戦略~

最近、スーパーに行くたびに「あれ?また値上がりした?」と驚くことが増えましたよね。我が家も家計が火の車です...(涙)

この状況、ご存じの通り「インフレ」と呼ばれるものです。今日は、このインフレが企業の戦略、特に知財戦略にどんな影響を与えるのか、ちょっと考えてみたいと思います。 

インフレとデフレ、超シンプル解説

まず、基本中の基本から!

デフレってこんな感じ:

  • 現金の価値が上がっていく
  • 今ある100万円が、5年後にはもっと価値を持つ
  • モノの値段が下がる傾向

インフレはこんな感じ:

  • 現金の価値が下がっていく
  • 今ある100万円が、5年後には価値が減っている
  • モノの値段が上がる傾向

実は日本は約30年間、デフレの時代が続いていました。それが今、大きく変わろうとしているんです。

デフレ時代の「正解」だった考え方

デフレの時代、企業にとっての「正解」はこんな感じでした:

😎 お金を使わない 「せっかくお金があるんだから、使わずに持っておこう。だって、時間が経つほど価値が上がるんだもの!」

💼 リストラこそ王道 「人件費を削って、支出を減らそう。現金を守ることが大事!」

💰 借金は悪 「借りたお金は、返すときにはもっと価値が上がっているから、借金は避けよう」

今の経営者さんたちの多くは、このデフレの30年を生き抜いてきた方々。だから、この考え方が「当たり前」になっているんですよね。

でも、インフレ時代は180度違う!

ところが、インフレになると、この「正解」が一気にひっくり返ります。

🛍️ お金は使うもの 「現金の価値はどんどん下がるから、価値のある資産に変えておこう!」

📈 積極投資が王道 「お金を寝かせておくより、事業に投資したほうが将来リターンが大きい」

💸 賢い借金は味方 「今借りたお金は、将来的には価値が下がるから、返すのが楽になる。今のうちに投資のための資金を調達しよう」

知財戦略も変わります!

さて、ここからが知財の話。

デフレ時代の知財戦略

  • 特許出願を減らす(コスト削減)
  • 特許ポートフォリオを小さく、スリムに

インフレ時代の知財戦略

  • 特許出願を増やす(将来の資産づくり)
  • 特許ポートフォリオを拡大、強化する

「でも、それって弁理士さんが出願料稼ぎたいだけでは?」

なんて思う方もいるかもしれませんね。でも、10年後に振り返ってみれば、どちらが正解だったか、ハッキリわかるはずです。

活気ある未来のために

個人的には、インフレ時代の「積極投資型」の方が、社会に活気が生まれると思うんです。

デフレ時代って、「何もしない」「小さく縮める」が正解だったから、なんだか息苦しかったですよね。会社も個人も、どこか停滞感がありました。

これからのインフレ時代は、ポジティブな投資や挑戦が報われる時代。

企業も個人も、「お金の使い方」に対する考え方を切り替えていく必要があるんじゃないでしょうか。知財戦略も例外ではなく、むしろ最前線かもしれません。

みなさんも、この変化に気づいて、新しい時代の波に乗りましょう!

2025年3月22日土曜日

中央研究所はいらないの?

 

こんにちは!今日は企業の研究開発についての大切なお話です。最近「イノベーション」という言葉をよく耳にしますが、その源泉となる研究開発の現場はどうなっているのでしょうか?

昔、「中央研究所なんてコスパ悪いから廃止しちゃおう!必要な技術は買ってくればいいじゃん」と考えた企業がありました。実際、日本の大手企業でも研究所を縮小したり、統廃合したりする動きが増えていますよね。

確かに、研究所を維持しても成果がすぐに出ないし、お金もかかるし...周りを見渡せば優れた技術がすでに世の中にある状況だと、そう思っちゃうのも無理ないかも。四半期ごとの決算や短期的な業績を求められる現代のビジネス環境では、なおさらその誘惑は強いと思います。

でも、特にメーカーさんがこんな判断をすると、だんだん先細りになっちゃうと思うんです。理由は3つ!それぞれ掘り下げて考えてみましょう。

なぜ研究開発能力は必要なの?

  1. 技術を買おうとしても高額になる
    「お金さえ出せば技術は買える」と思いがちですが、開発費用がかかっているから簡単には売ってくれません。さらに、「この会社は自分で研究開発できないんだな」と見られると、足元を見られて高い金額を請求されるかも😓 例えば、ある自動車メーカーが電気自動車の基幹技術を持っていなかったため、他社から高額なライセンス料を支払って導入することになり、結果的に製品の価格競争力が失われてしまったケースがあります。自前で開発していれば、そのコストを10年以上かけて回収できたかもしれないのに、短期間で支払わなければならなくなったんですね。
  2. そもそも売ってくれないこともある
    良い技術ほど、開発した会社は「これは自社だけで使おう!」と考えます。だって独占した方が儲かりますからね。そうなると、その技術が必要なビジネスはあきらめるしかなくなります。 スマートフォン業界を見てみると、画面技術や半導体技術など、最先端の技術を持つ企業は自社製品に優先的に使い、他社には古い世代の技術しか提供しないことがよくあります。結果的に、技術を持たない企業は常に一歩遅れた製品しか出せなくなるんですよね。
  3. 欲しい技術がまだ市場に存在しないことも
    「買おう!」と思っても、まだ誰も開発していない技術だったらどうしますか?誰かが開発するのをただ待つしかなくなり、新しい事業に参入するタイミングも他人任せになっちゃいます。 例えば、カーボンニュートラルや循環型社会に対応する新素材の開発。これから需要が高まる分野ですが、まだ誰も完全な解決策を持っていません。こういった未来の市場で勝負するには、自分たちで技術を作り出す力が必須なんです。

このように考えると、「技術は買えばいい」という考え方には大きな落とし穴があるんですね。短期的にはコスト削減になっても、長期的には会社の競争力を弱めてしまうかもしれません。

なぜこういう考え方が生まれるの?

これって、分析が得意な人が経営トップになると起きやすい問題かなと思います。私たちの周りにもこういうタイプの上司、いませんか?

分析の仕事って、確度の高い作業を99回積み重ねて1つの結論を出すような感じで、無駄が少なくコスパが見えやすいんですよね。数字で成果を示しやすく、「この施策でコストが15%削減できました」と報告できるから評価もされやすい。

一方で、発想や創造の仕事は、99回失敗して1回成功するような感じ。分析タイプの経営者からすると「この99回の失敗って無駄じゃない?」と思えちゃうんです。研究開発の価値を数字で示すのは難しいですよね。「今は成果が出ていないけど、10年後に花開くかもしれない」なんて説明では、短期的な成果を求める株主も納得しにくいでしょう。

だから「失敗にお金を使うくらいなら、できあがった技術を買った方がいい」という考えになりがち。でも、そうすると新技術が生まれず、高いお金で技術を導入することになって、結局は会社の収益が徐々に減っていく...

発想型の人がトップに立てばいいんですけど、残念ながら発想型の人って出世しにくいんですよね😢 企業文化として「失敗を許容する」「長期的な視点を持つ」という価値観が根付いていないと、なかなか難しい問題です。

成功している企業の研究開発の特徴

でも、世界を見渡すと研究開発に力を入れて成功している企業もたくさんありますよね。そういった企業には、どんな共通点があるのでしょうか?

  1. 長期的な視点を持っている
    四半期ごとの成果にこだわりすぎず、5年、10年単位の成果を期待している企業は強いです。アップルやグーグルといった企業は、すぐに収益にならない技術にも投資し続けています。
  2. 失敗を許容する文化がある
    「失敗は成功のもと」という言葉がありますが、本当にそう考えている企業は、研究者の挑戦を応援します。3Mは「15%ルール」といって、勤務時間の15%を自分の好きな研究に使っていいという文化があります。
  3. 研究と事業の橋渡しをする仕組みがある
    研究所と事業部の間の「死の谷」を乗り越える仕組みを持っている企業は強いです。研究だけでなく、それを製品化するプロセスまでしっかり考えているんですね。

まとめ

研究所を「コスパが悪い」と切り捨てるのは短期的な見方。長い目で見ると、自社の研究開発能力は会社の未来を支える大切な力なんです。99回の失敗も、実は次の成功への大切なステップ。研究所を大事にする企業文化が、これからの時代を生き抜くカギかもしれませんね!

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