12/4に知財学会で発表をしてきました。題目は「ブランドQFD」でした。
この1年、ブランドの本をいろいろ読んできましたが、なかなかよくわからないものがあります。
ブランドといえば、仕事がら、当初は「商標」をイメージしていましたが、「わが社はブランド力がある」というような使い方の場合、「わが社の商標はすごい」というような意味で用いられていないことは明らかです。
そうすると、ブランドとは、「商標」以外を含む、違う何かを示していると考えられます。 では、何なのかといえば、一つは「知識の整理」があると思います。
例えば、右の方に、私のプロフィールとして「技術経営修士(専門職)、修士(工学):生産機械工学、弁理士(特定侵害訴訟代理可)」とありますが、これが私のブランド属性となります。
しかしながら、ただのブランド属性の羅列では、お客さんの頭には入ってゆきません。お客さんの頭の中に入ってゆくようにするには、ブランド属性間の関連性を明らかにする必要があります。
例えば、「子ども時代からの機械好きが高じて、工学系の大学へ入学、大学院にて生産機械の研究をした後、大手電機メーカーで社内の生産設備の開発に従事。しかし、バブル崩壊後の景気低迷により、新興国メーカが台頭し、技術のみでは差別化が難しいことを痛感し、他の競争要素として知財があることを知り、弁理士資格を取得した。弁理士として活動する中で、中小企業を支援するためには、知財だけではなく経営の知識が必要であることを感じ、MOTに入学、その研究成果として中小企業支援のための「御社の知財部」を2011年に立ち上げた。(あくまでもイメージです。)」とすれば、ばらばらの知識ではなく、各ブランド属性の関連が理解しやすくなります。
そうすると、ブランドマネジメントとは、ブランド属性をピックアップする、ブランド属性の関連を明確とし知識として整理する、ブランド知識を顧客に伝える(広告、宣伝等)という手順を踏んで、最終的に、適切なブランドイメージを顧客の中に形成する、というような感じとなると思います。
ブランドQFDは、知識の整理に役立つフレームワークなのですが、いつか内容を紹介できる機会があればと思います。
2016年12月10日土曜日
2016年12月4日日曜日
技術者は神様になれるか?
神様といっても宗教の話ではありません・・・。
自分は機械を専門としておりますが、この分野の発明は、まさに自然法則を利用した技術的思想の創作といえます。機械以外の分野も同様です。
したがって、技術者は自然法則と向き合い、黙々と研究室にこもって技術開発を行うことが一般的といえます。
黙々と孤独な作業をして自然法則と向き合うことができるのが、技術者に必要な特性だったといえます。
とはいえ、最近こういう考えはあてはまりにくくなっていると感じます。
例えば、情報通信関係の明細書を書きますと、自然法則部分はほとんどなく、ほぼ人為的取り決めの内容となります(もちろんそれでは特許されませんので、登録性を充たす記載としますが)。
そうすると、何がどうなっているか、取り決めを発明者に確認しながら、明細書を書くことになりますので、しんどい作業となります。
さらに重大なのが、人為的取り決めを作っている人が、特許権をとるのに、とても有利ということです。その取り決めを作っているのですから、その内容を熟知しており、有効な特許権をとれるのは当たり前のことです。
そうしますと、この分野の技術者に必要なのは、 自然法則と向き合うような特性だけではなく、自分で取り決めを創り出し、それを他者に強制させるような影響力といえます。
こういう話は情報通信の話だけといえ、機械や化学はやはり自然法則のウェイトが大きいといえますが、最近はそうも言えなくなってきました。
その理由は、標準化のためです。
例えば、リニアモーターカーの浮上量は運転に支障がなければ、自然法則上、いかなる数値でも構いませんが、標準で10cm以上と定められた場合には、 人為的取り決め上、その数値を守る必要があります。
とはいえ、あんな重たいものを10cm浮かせるというのは大変な技術ですので、その技術を実現できる企業はそうはないと思います。また、技術力のある企業はそういう技術を次々と特許化すると思います。
そうすると、技術力がない企業は、そういう企業からライセンスを受ける必要がありますので、あまり儲からないということになります。
そうしますと、これからの技術者は自然法則の理解を進めるのは当然ですが、それだけではなく、あらゆる取り決めを定め、標準により他社に影響力を及ぼすような政治力も必要となると思います。
今後の技術者は、神様が作った世界を理解するだけではなく、自分がその技術の神となって世界を創り出す、というようなスタンスが必要となるのではないでしょうか。
自分は機械を専門としておりますが、この分野の発明は、まさに自然法則を利用した技術的思想の創作といえます。機械以外の分野も同様です。
したがって、技術者は自然法則と向き合い、黙々と研究室にこもって技術開発を行うことが一般的といえます。
黙々と孤独な作業をして自然法則と向き合うことができるのが、技術者に必要な特性だったといえます。
とはいえ、最近こういう考えはあてはまりにくくなっていると感じます。
例えば、情報通信関係の明細書を書きますと、自然法則部分はほとんどなく、ほぼ人為的取り決めの内容となります(もちろんそれでは特許されませんので、登録性を充たす記載としますが)。
そうすると、何がどうなっているか、取り決めを発明者に確認しながら、明細書を書くことになりますので、しんどい作業となります。
さらに重大なのが、人為的取り決めを作っている人が、特許権をとるのに、とても有利ということです。その取り決めを作っているのですから、その内容を熟知しており、有効な特許権をとれるのは当たり前のことです。
そうしますと、この分野の技術者に必要なのは、 自然法則と向き合うような特性だけではなく、自分で取り決めを創り出し、それを他者に強制させるような影響力といえます。
こういう話は情報通信の話だけといえ、機械や化学はやはり自然法則のウェイトが大きいといえますが、最近はそうも言えなくなってきました。
その理由は、標準化のためです。
例えば、リニアモーターカーの浮上量は運転に支障がなければ、自然法則上、いかなる数値でも構いませんが、標準で10cm以上と定められた場合には、 人為的取り決め上、その数値を守る必要があります。
とはいえ、あんな重たいものを10cm浮かせるというのは大変な技術ですので、その技術を実現できる企業はそうはないと思います。また、技術力のある企業はそういう技術を次々と特許化すると思います。
そうすると、技術力がない企業は、そういう企業からライセンスを受ける必要がありますので、あまり儲からないということになります。
そうしますと、これからの技術者は自然法則の理解を進めるのは当然ですが、それだけではなく、あらゆる取り決めを定め、標準により他社に影響力を及ぼすような政治力も必要となると思います。
今後の技術者は、神様が作った世界を理解するだけではなく、自分がその技術の神となって世界を創り出す、というようなスタンスが必要となるのではないでしょうか。
2016年10月29日土曜日
物語性について
ベビーメタルさん(以下、BMとします。)が相変わらず人気です。2016年4月のビルボードアルバムチャートでは39位となったことで、実力も伴った世界的人気といえます。
私も、2016年9月20日の東京ドームでのBMのライブへ行ってまいりました。通常のライブのチケットは入手困難ですが、さすがに定員55000人ともなれば、私のようなライトなファンでも入手できました。
ライブの感想は他の方にお任せするとして、私が少し驚いたのは、このライブのコンセプトは「セルフトリビュート」であるとプロデューサーの方が言っていたことです。
通常トリビュートというのは、「著名な」「他の」「もういない」アーティスト(例えば、ビートルズやカーペンターズなど)について行うものですが、自分をトリビュートするという話はあまり聞きません(もしかしたらメタルの世界ではあるのかもしれません)。自分をトリビュートするのはちょっと自意識過剰なのではないか、といううがった印象を与えるおそれもあります。
今回の東京ドームは2016年9月19日、20日(それぞれ、RED NIGHT,BLACK NIGHT)で行われましたが、何をトリビュートしたかというと、日本武道館で2014年3月1日、2日(それぞれ、赤い夜、黒い夜)で行われた自身のライブということのようです。
私は、武道館のライブを見ていませんので、ちんぷんかんぷんですが、昔からのファンは盛り上がったと思います。
それでは、 2014年3月の武道館のライブはどうかといえば、これは、2012年7月21日の目黒鹿鳴館でのライブをセルフトリビュートしたもののようです(諸説あり)。鹿鳴館といえば、私も30年くらい前、友人のライブ(メタルバンド・・・)を見に行ったことがありますが、このあたりの用語が出てくると、私くらいの年代の人間は盛り上がってしまいます。
2012年7月21日の目黒鹿鳴館は「コルセット祭り」とされ、これは昼夜の2部構成であることと、セットリストを2部の間で多少変えているところが、武道館、東京ドームと共通するところです。
そう考えますと、鹿鳴館⇒武道館⇒東京ドームという単語が有機的に関連する物語(ストーリー)が構築されていることがわかります。
人間が物事に強い印象を感じるのは、切れ切れの事象ではなく、それらの関連性を理解したときにつよいイメージが形成されます。その方法のひとつに物語を作り上げることがあるかと思います。
BMに関しては、メタルだとかアイドルだとかの議論がなされますが、個々の事象には意味がなく、それらの関連性をどう作り上げるかが、重要となります。BMのプロデューサーの方は、物語を作ることで、それらを成し遂げているのではないでしょうか。そして、物語は模倣しにくいので、BMに類似のバンドをつくろうと思ってもなかなかできません。
2012年鹿鳴館⇒2014年武道館⇒2016年東京ドームとくれば、もう予測がつくと思いますが、2018年に、鹿鳴館・武道館に匹敵するHR/HMの聖地でのライブを2日間行うことが予想できます。おそらく外国になるではないでしょうか(マジソンスクエアガーデン?)。
そうして、丁寧に物語を作ってゆけば、それは、BMがよく使う用語である、「伝説」に本当になるのではないかと思います。
私も、2016年9月20日の東京ドームでのBMのライブへ行ってまいりました。通常のライブのチケットは入手困難ですが、さすがに定員55000人ともなれば、私のようなライトなファンでも入手できました。
ライブの感想は他の方にお任せするとして、私が少し驚いたのは、このライブのコンセプトは「セルフトリビュート」であるとプロデューサーの方が言っていたことです。
通常トリビュートというのは、「著名な」「他の」「もういない」アーティスト(例えば、ビートルズやカーペンターズなど)について行うものですが、自分をトリビュートするという話はあまり聞きません(もしかしたらメタルの世界ではあるのかもしれません)。自分をトリビュートするのはちょっと自意識過剰なのではないか、といううがった印象を与えるおそれもあります。
今回の東京ドームは2016年9月19日、20日(それぞれ、RED NIGHT,BLACK NIGHT)で行われましたが、何をトリビュートしたかというと、日本武道館で2014年3月1日、2日(それぞれ、赤い夜、黒い夜)で行われた自身のライブということのようです。
私は、武道館のライブを見ていませんので、ちんぷんかんぷんですが、昔からのファンは盛り上がったと思います。
それでは、 2014年3月の武道館のライブはどうかといえば、これは、2012年7月21日の目黒鹿鳴館でのライブをセルフトリビュートしたもののようです(諸説あり)。鹿鳴館といえば、私も30年くらい前、友人のライブ(メタルバンド・・・)を見に行ったことがありますが、このあたりの用語が出てくると、私くらいの年代の人間は盛り上がってしまいます。
2012年7月21日の目黒鹿鳴館は「コルセット祭り」とされ、これは昼夜の2部構成であることと、セットリストを2部の間で多少変えているところが、武道館、東京ドームと共通するところです。
そう考えますと、鹿鳴館⇒武道館⇒東京ドームという単語が有機的に関連する物語(ストーリー)が構築されていることがわかります。
人間が物事に強い印象を感じるのは、切れ切れの事象ではなく、それらの関連性を理解したときにつよいイメージが形成されます。その方法のひとつに物語を作り上げることがあるかと思います。
BMに関しては、メタルだとかアイドルだとかの議論がなされますが、個々の事象には意味がなく、それらの関連性をどう作り上げるかが、重要となります。BMのプロデューサーの方は、物語を作ることで、それらを成し遂げているのではないでしょうか。そして、物語は模倣しにくいので、BMに類似のバンドをつくろうと思ってもなかなかできません。
2012年鹿鳴館⇒2014年武道館⇒2016年東京ドームとくれば、もう予測がつくと思いますが、2018年に、鹿鳴館・武道館に匹敵するHR/HMの聖地でのライブを2日間行うことが予想できます。おそらく外国になるではないでしょうか(マジソンスクエアガーデン?)。
そうして、丁寧に物語を作ってゆけば、それは、BMがよく使う用語である、「伝説」に本当になるのではないかと思います。
2016年9月22日木曜日
頭の使い方について
ブログを最近お休みしておりますが、それは12月の知財学会発表の用意のためです。当面の目標は9月末の予稿提出となっています。
このブログでは、知財高裁の裁判例を非常にざっくりとみることにしており、これは実務にも大変役立つものでしたが、どうも学会の準備に取り掛かってから、うまくいきません。
それはどうしてかと考えたら、それは、頭の使い方が異なるからかもしれません。
裁判例の分析は、少し前の過去から現在を考える思考となるため、その思考には論理力や厳密性や要求されます。
一方、学会発表は、現在から少し先の未来を考える思考となるため、厳密性には限界があり、むしろ、その思考には「面白さ」が要求されます。
そうすると、学会発表や判例分析を同時にすることは、思考法の切り替えが必要となるため、不器用な自分にはできそうもありません。
学会発表の内容に、論理力や厳密性を要求しすぎると、ありきたりのつまらない内容になりますので(もちろん、ある程度の論理性や厳密性は必要ですが・・・)、やはりどちらかに集中した方が、効率がよいと思います。
とはいえ、厳密性と面白さの対立構造は、企業内でもあると思われ、例えば、大企業の中で面白いアイデアを思い付いた場合でも、会社からは、論理性や厳密性を過度に求められ、アイデアがつぶれてしまうことも多いと思います。
逆に、アイデアをたくさん出すことを自慢する人もいますが、論理性や厳密性の要求を乗り越えることができず、アイデアを実現できていない場合には、自慢に値しないとも思います。
私の学会発表のお題目は「ブランドQFD」となっております。これは、古くからあるQFDをブランド分析に役立てるものです。
内容的には、簡便な内容としたいと思います。複雑すぎると多くの人に理解していただけないからです。しかし、あまりに簡便ですと、手抜きのようにも思われてしまいますので、バランスが難しいところです。
このブログでは、知財高裁の裁判例を非常にざっくりとみることにしており、これは実務にも大変役立つものでしたが、どうも学会の準備に取り掛かってから、うまくいきません。
それはどうしてかと考えたら、それは、頭の使い方が異なるからかもしれません。
裁判例の分析は、少し前の過去から現在を考える思考となるため、その思考には論理力や厳密性や要求されます。
一方、学会発表は、現在から少し先の未来を考える思考となるため、厳密性には限界があり、むしろ、その思考には「面白さ」が要求されます。
そうすると、学会発表や判例分析を同時にすることは、思考法の切り替えが必要となるため、不器用な自分にはできそうもありません。
学会発表の内容に、論理力や厳密性を要求しすぎると、ありきたりのつまらない内容になりますので(もちろん、ある程度の論理性や厳密性は必要ですが・・・)、やはりどちらかに集中した方が、効率がよいと思います。
とはいえ、厳密性と面白さの対立構造は、企業内でもあると思われ、例えば、大企業の中で面白いアイデアを思い付いた場合でも、会社からは、論理性や厳密性を過度に求められ、アイデアがつぶれてしまうことも多いと思います。
逆に、アイデアをたくさん出すことを自慢する人もいますが、論理性や厳密性の要求を乗り越えることができず、アイデアを実現できていない場合には、自慢に値しないとも思います。
私の学会発表のお題目は「ブランドQFD」となっております。これは、古くからあるQFDをブランド分析に役立てるものです。
内容的には、簡便な内容としたいと思います。複雑すぎると多くの人に理解していただけないからです。しかし、あまりに簡便ですと、手抜きのようにも思われてしまいますので、バランスが難しいところです。
2016年8月6日土曜日
知財高裁判決(2016年6月26日~2016年7月2日)
2016年6月26日から2016年7月2日までになされた裁判は、侵害訴訟6件(特許3件、著作権3件)、審決取消訴訟1件(商標1件)です。
1.侵害訴訟
*コメント
地裁判決はこちらです。
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/487/085487_hanrei.pdf
弁理士Aが翻訳文提出期間を徒過したので、提出を認めてもらうべく、行政不服審査法上の異議申立をしたら、弁理士A,B,Cの3人とも代表者の資格証明書面を提出できなかったので、申立も却下され、それに対する訴えです。
*コメント
本件意見書において,引用文献1に記載された発明における注文情報には商品識別情報が含まれていないという点との相違を明らかにするために,本件発明の「注文情報」は,商品識別情報等を含んだ商品ごとの情報である旨繰り返し説明したものである、・・・本件ECサイトの制御方法において,管理運営システムにあるサーバが取得する情報には商品基礎情報は含まれていないから,同制御方法は,本件発明の特許出願手続において,特許請求の範囲から意識的に除外されたものということができる。・・・ということで、意見書で限定的な主張をしすぎますと、均等の第5要件を主張しにくいといえます。あと、第2要件もみとめられておりません。
*コメント
拒絶理由通知に対応して,座席支持機構を特段限定していない旧請求項1を削除し,座席支持機構にロッド2点支持方式を採用する旧請求項2(本件発明)等に限定したものである。そして,本件発明の出願時には既に,座席を連続して揺動させることが可能な乳幼児用の椅子等の座席支持機構として,コロと湾曲レールを利用した方式が存在することは周知であり,コロと湾曲レールを利用する方式に係る座席支持機構は,上記のとおり削除された旧請求項1に係る座席支持機構の範囲内に客観的に含まれるものである。・・・ということで、中間処理時の補正が意識的除外とされ、こちらも、均等の第5要件が認められませんでした。あと、第1要件もみとめられておりません。
2審決取消訴訟
2016年7月24日日曜日
終わりの始まりについて
ポケモンGOというゲームが人気だそうです。
私は、ポケモンも知りませんし、スマホももっておりませんので、このゲームについて語る資格はないのですが、ポケモンGOが任天堂の久々のヒットという報道には違和感を感じます。
ポケモンGOは、いわゆるスマホのゲームですので、googleやappleのプラットホームを使用したゲームとなります。
この手のゲームで一番儲かるのは、プラットホームを運営しているgoogleやappleとなります。任天堂も儲かるかもしれませんが、それは、googleやappleを儲けさせているにすぎません。
従来の任天堂はwiiやDSなどの独自のハードを開発し、ゲームを提供していました。この場合には、儲けを誰かにかすめ取られるということはありませんので、自社の大きな利益につながります。
しかし、この考えをやめ、googleやappleのプラットフォームを利用する方針に変更するのであれば、これは、終わりの始まりとなる可能性が高いと思います。
結局のところ、プラットフォームを運営するほうが、ビジネス的にはおいしいといえますので、あんまりどっぷりとつからずに、独立を維持するか、もしくは、独自のプラットフォームを立ち上げた方が、将来的にはよいのではないかと思う次第です。
私は、ポケモンも知りませんし、スマホももっておりませんので、このゲームについて語る資格はないのですが、ポケモンGOが任天堂の久々のヒットという報道には違和感を感じます。
ポケモンGOは、いわゆるスマホのゲームですので、googleやappleのプラットホームを使用したゲームとなります。
この手のゲームで一番儲かるのは、プラットホームを運営しているgoogleやappleとなります。任天堂も儲かるかもしれませんが、それは、googleやappleを儲けさせているにすぎません。
従来の任天堂はwiiやDSなどの独自のハードを開発し、ゲームを提供していました。この場合には、儲けを誰かにかすめ取られるということはありませんので、自社の大きな利益につながります。
しかし、この考えをやめ、googleやappleのプラットフォームを利用する方針に変更するのであれば、これは、終わりの始まりとなる可能性が高いと思います。
結局のところ、プラットフォームを運営するほうが、ビジネス的にはおいしいといえますので、あんまりどっぷりとつからずに、独立を維持するか、もしくは、独自のプラットフォームを立ち上げた方が、将来的にはよいのではないかと思う次第です。
2016年7月23日土曜日
知財高裁判決(2016年6月5日~2016年6月25日)
2016年6月5日から2016年6月25日までになされた裁判は、侵害訴訟5件(特許1件、著作権3件、不競法1件)、審決取消訴訟6件(特許4件、商標2件)です。
1.侵害訴訟
(1)平成28(ネ)10026 売掛金(水戸地方裁判所 龍ケ崎支部
平成27(ワ)24)
平成28年6月23日判決 原判決一部変更(3部)
著作権
複製・翻案,著作者人格権(氏名表示権,同一性保持権),送信可能化行為
平成28年6月23日判決 原判決一部変更(3部)
著作権
複製・翻案,著作者人格権(氏名表示権,同一性保持権),送信可能化行為
*コメント
著作権侵害は認められましたが、本件著作権侵害に基づく使用料相当額はせいぜい5万円と認められ、訴訟費用や訴訟に費やした時間を考えますと、どうなんだろうという結果となりました。
(2)平成28(ネ)10025 売掛金(千葉地方裁判所 松戸支部 平成27(ワ)209)
平成28年6月23日判決 控訴棄却(3部)
著作権
著作物性
平成28年6月23日判決 控訴棄却(3部)
著作権
著作物性
*コメント
写真データについては、控訴人以外の者の撮影によるものと見られる眼鏡の写真と本件写真データとで格別相違がないため創作性がなく、著作物性が認められませんでした。
また、本件写真データは著作権登録されておりますが、著作権登録がされたとしても,それによって,その対象となったものに著作物性があることが確定されるわけではないともされております(無審査なので当然ともいえます)。
(3)平成27(ネ)10028 特許権侵害差止等(東京地方裁判所 平成24(ワ)15693)
平成28年6月23日判決 控訴棄却(3部)
特許権 (図書保管管理装置)
構成要件充足性,特許の有効性(進歩性)
平成28年6月23日判決 控訴棄却(3部)
特許権 (図書保管管理装置)
構成要件充足性,特許の有効性(進歩性)
*コメント
下記審決取消訴訟の関連訴訟です。こちらでも特許は無効とされ、権利行使はできないとされました。
(4)平成27(ネ)10137 損害賠償等(東京地方裁判所 平成26(ワ)16526)
平成28年6月13日判決 控訴棄却(2部)
不正競争
営業秘密
平成28年6月13日判決 控訴棄却(2部)
不正競争
営業秘密
*コメント
控訴人名簿は、住所,電話番号等の連絡先に係る情報を含まないため,有用性は極めて乏しく、控訴人名簿等は使用されていないと推認され、したがって、営業秘密を使用したとは認められないとされました。
(5)平成28(ネ)10021 損害賠償等(東京地方裁判所 平成27(ワ)9469)
平成28年6月9日判決 控訴棄却(3部)
著作権
損害額,著作者人格権(その他)
平成28年6月9日判決 控訴棄却(3部)
著作権
損害額,著作者人格権(その他)
*コメントはありません・・・
2審決取消訴訟
(1)平成28(行ケ)10003 商標取消決定取消
平成28年6月23日判決 請求棄却(3部)
商標権
周知性(4条1項10号)
平成28年6月23日判決 請求棄却(3部)
商標権
周知性(4条1項10号)
*コメント
引用商標の周知性が争点となりましたが、各種証拠から、引用商標1は,少なくとも関西地域及び徳島県における取引者,需要者の間において広く認識されていたものと認めることができる、とされました。
(2)平成26(行ケ)10166 審決(無効・成立)取消
平成28年6月23日判決 請求棄却(3部)
特許権 (図書保管管理装置)
進歩性(相違点の認定,相違点の判断),判決の拘束力
平成28年6月23日判決 請求棄却(3部)
特許権 (図書保管管理装置)
進歩性(相違点の認定,相違点の判断),判決の拘束力
*コメントはありません・・・
(3)平成27(行ケ)10236 審決(拒絶)取消
平成28年6月22日判決 請求棄却(2部)
特許権 (トイレットロールの芯,及び,トイレットロール)
進歩性(引用発明の認定,相違点の認定,相違点の判断)
平成28年6月22日判決 請求棄却(2部)
特許権 (トイレットロールの芯,及び,トイレットロール)
進歩性(引用発明の認定,相違点の認定,相違点の判断)
*コメント
トイレットペーパーの上下をわかりやすくする発明ですが、私もよく上下を間違えますので、この判決にでてくるようなトイレットペーパーがあると便利と思うのですが、見かけませんね。
(4)平成27(行ケ)10208 審決(無効・不成立)取消
平成28年6月22日判決 請求棄却(2部)
特許権 (魚釣用リール)
進歩性(相違点の判断)
平成28年6月22日判決 請求棄却(2部)
特許権 (魚釣用リール)
進歩性(相違点の判断)
*コメント
①甲4に本件発明の課題を認識するに足りる記載はない(動機づけなし)
②甲1に甲4を適用することは構造的にできない(阻害要因)
③甲1に甲4を適用しても本件発明の構成にはならない。
という、①から③の3点セットで、創作非容易性が肯定されております。
①だけですと弱いですが(従来にない新規の課題であれば強いですが)、③まで主張できれば、ほぼ創作非容易性の主張が認められることになるかと思います。
(5)平成27(行ケ)10202 審決(取消・成立)取消
平成28年6月21日判決 審決取消(3部)
商標権
不使用(50条)
平成28年6月21日判決 審決取消(3部)
商標権
不使用(50条)
*コメント
特許庁長官も,申請者が訴外会社とは異なることを看過して更新登録をしてしまった可能性はあり得る(つまり、更新手続きが誤って行われた可能性がある)、とされております。
商標の場合には、何十年も前の大昔に登録されたものも多いですから、当事者適格の確認というのも重要なのかもしれません。
(6)平成27(行ケ)10126 審決(無効・不成立)取消
平成28年6月9日判決 審決取消(3部)
特許権 (ガスセンサ素子及びその製造方法)
進歩性(相違点の判断)
平成28年6月9日判決 審決取消(3部)
特許権 (ガスセンサ素子及びその製造方法)
進歩性(相違点の判断)
*コメントはありません・・・
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