2017年8月6日日曜日

ローコンテクストとハイコンテクストについて

文化は、ハイコンテクスト文化とローコンテクスト文化に分類されることがあるそうです。

ハイコンテクスト文化では、言語以外に状況や文脈も情報を伝達し、重要な情報でも言語に表現されないことがあるそうで、具体的には日本のような文化を示すそうです。

ローコンテクスト文化では、伝達される情報は言語の中で全て提示されるそうで、具体的には、ドイツやアメリカのような文化を示すそうです。

ハイコンテクスト文化だからといって、文化のレベルが高いという訳ではなく、言語以外のコミュニケーションが使われる度合いが高いというだけの意味です。

ハイコンテクスト、ローコンテクストというのは、文化の分類だけではなく、例えば仕事の分類にも使えるのではないかと思います。

例えば、ローコンテクストな仕事には、弁理士があります。発明の内容については100%言語を使用して明細書を作成する必要があります。ハイコンテクストな明細書を作成した場合には、発明が不明確であるとして拒絶されるでしょう。

ハイコンテクストな仕事には芸術家があると思います。音楽やら絵画やら自己の作品を言語を使用することなしに、伝えなければなりません。言語を使ったら負けという世界です。

また、仕事ではなく、商品の分類にも使えそうです。 

ブランドはもういらないで紹介したような製品は、言語で品質のすべてが説明できるローコンテクスト商品といえます。

また、日本製品は、価格が安く、品質も高いということで、特性をすべて言語で説明できるローコンテクスト商品といえます。(ローコンテクスト商品だからといって、レベルが低い訳ではないのは上記のとおりです。)

一方、ハイコンテクストな商品としては、いわゆるブランド品があると思います。シャネルのバッグやハーレーのバイク等、言語で表すことが困難な特性を有する製品です。

こう書くとハイコンテクストな商品の方がいいような気もしますがそうでもありません。ローコンテクストな商品は、特性を言語で伝えることができるため、良さが理解しやすいメリットがあります。

例えば、日本のバイクは馬力、車重等に優れ、その良さを、国・文化を問わず伝えやすいので、世界中で売れております。

一方、ハイコンテクストな商品はユーザーが良さを理解しにくいので、プロモーションにコストかけないと、なかなか売れない商品といえます。

とはいえ、ローコンテクストな商品は、特性が競合にも理解しやすくキャッチアップされやすく、競争が厳しくなりやすいため、差別化しにくいといえます。

逆に、ハイコンテクストな商品は、 特性が競合に理解しにくいため、差別化には有利化かもしれません。

ということで、ハイコンテクスト、ローコンテクストという観点でいろいろ考えると面白いかもしれません。


2017年8月3日木曜日

ブランド属性とブランドアイデンティティーについて

(前記事)
ブランドQFDについて(論文へのリンクあり)
ブランドの定義について
ブランド知識について
ブランド知識の構造化について

ブランドQFDは、「顧客ニーズ」と「品質」と「ブランド属性」との関係を明らかにします。

ここで「ブランド属性」とは何かといえば、製品・サービスが備える顧客価値向上に関わる要素のことを言います。

上記ブランドQFD論文では、ブランド属性を製品の構成要素に限定しておりますが、これは、特許情報から抽出できるのが製品の構成要素のみだからです。

したがって、実際には、その他の要素(デザイン、サービス、会社のビジョン)なども、ブランド属性に含まれるかと思います。

例えば、自動車の場合には、エンジン、タイヤ、シャシー、サスペンションなどがブランド属性となると思います(もちろん、もっと細かく分けることも可能です)。

自動車メーカーごとのブランド属性は共通している要素もあり、異なる要素もあります。

スバルのエンジンは、水平対向エンジンであり、その他のメーカのエンジンは、直列エンジンであったり、V型エンジンであったりします。

つまり、ブランド属性「エンジン」において、スバルは他に無い特有のエンジンを有しているわけで、これがスバルのブランドアイデンティティー (の1つ)となります。

このように、自社のブランド属性を抽出して、他社のブランド属性と比較することにより、自社のブランドアイデンティティーを明確にすることができます。

2017年7月28日金曜日

ブランド知識の構造化について

(前記事)
ブランドQFDについて
ブランドの定義について
ブランド知識について

ブランド知識にはいろいろあることを説明いたしましたが、ブランド知識を得るだけではブランドとはなりません。

次に、ブランド知識間の関係(コンテクストともいいます)を明らかにする必要があります。

なぜ関係を明らかにするかといえば、人間は物事のつながりから、物事を理解するためです。これはブランドだけではなく、例えば、バランススコアカードやロジックモデル等に共通する考えです。

そして、様々なコンテクストの全体像が構造化されたブランド知識となります。

とはいえ、ブランド知識間の関連の強さを確認するというのもどうやっていいのかわからないところがあります。

ブランドQFDを使用しますと、「ユーザーニーズ」と「品質」と「ブランド属性」の間の関係を確認することができます。

さらに、ブランドQFDの優れた点は、コンテクストの強さが数値化(定性的ではありますが)されるところです。したがって、どのコンテクストが支配的で、どのコンテクストが弱いか判断できます。

そして、コンテクストの弱い部分については、広告宣伝をしたり、ブランド属性の開発をしたりして、関係を強化するような、ブランド戦略を立てることもできます。

このように、ブランドQFDは、ブランド知識の構造を把握するために有用です。

2017年7月26日水曜日

ブランドはもういらない

「ブランドはもういらない」という記事を見かけました。

ブランドはもういらない? 消費が後押しする「ブランドレス」


記事を読みますと、特定のブランドを付さずに、その分価格を安くした商品が米国で受けているようです。

通常、ブランドがありませんと、購入者は製品の品質を判断できませんので、普通はあやしくて買わないと思います。

それを避けるために、ロゴを付す部分に、詳しい商品説明が記載されているようです。購入者はそれを読んで、品質を判断できるようです。

商品にロゴ・マークを付すのは「狭義のブランド」といますが、商品に関する構造化された知識を提供するのが「広義のブランド」ですので、記事の事例は、「ブランドはいらない」、「ブランドレス」というようりも、「広義のブランド」に着目した商品といえます。

また、ブランド知識の中でも「品質」が特に重要な知識であることがわかります。

ということで、これからのブランド戦略は、商品の「品質」を購入者に適切に伝えることが重要になってゆくのではないでしょうか。

【PR】“AI、生成AI”による知財業務の効率化、スピード化のセミナーについて(9/27開催)

掲題の件、セミナーの1/4を担当することになりました。私の担当分は、「【第2部】生成AIで革新する特許データ分析」です。URLは以下となります。 AI 生成AI 特許調査 分析 翻訳 技術情報協会はセミナー・出版・通信教育を通じて企業の最前線に立つ研究者、技術者をサポートし社会に...