2025年3月1日土曜日

「製造方法は特許出願しちゃダメ?」という迷信について考えてみた

「製造方法は特許出願しないほうがいいよ。秘密にしておくべきだよ」

よくこんなアドバイスを聞きませんか?一見もっともらしく聞こえますよね。でも、ちょっと待って!本当にそうなんでしょうか?

怖い話:もしライバル企業が特許を取っちゃったら...

例えば、こんなシナリオを想像してみてください:

あなたの会社が何年も前から使っている製造方法。ところがある日、ライバル企業がその方法の特許を取っちゃった!

「えぇ!?うちが先に使ってたのに!」

そうなんです。実は、先に使っていても、形式上は特許権の侵害になっちゃうんです。

「でも先使用権があるから大丈夫でしょ?」

そう思いますよね。私も最初はそう思っていました。 でも、先使用権を主張するのって、実はすっごく大変なんです:

  • 昔からの書類を全部保管しておく必要がある
  • 証拠集めが超面倒
  • 裁判になったら時間もお金もかかる

もっと怖い話:改良したら...?

さらに怖いのが、製造方法を改良したケース。 「ちょっと良くしただけ」でも、先使用権が使えなくなることも。そうなると... 「ライセンス料を払ってください」 って言われかねないんです。

「うちの技術は誰にも真似できない!」って本当?

そう思いたい気持ち、分かります。でもね:

  • ライバル企業にも優秀な技術者がいっぱい
  • 技術の進歩は速い
  • 意外と同じアイデアを思いつくもの

実は昔の話が影響してるんです

「製造方法は出願しない方がいい」って考え、実はある時期に広まったものなんです。

昔々、特許庁が審査件数の多さに困って、「出願を減らしたい!」というキャンペーンをしたことがありました。その時に:

  • 「ノウハウは秘密にしましょう」
  • 「外国に技術が流出しちゃう!」 という理屈が広まったみたい。

(でも、外国流出が心配なら、外国でも特許取ればいいだけですよね...?)

企業側も「出願費用が節約できる!」と、この考えを受け入れやすかったのかも。

今は時代が変わってます

最近では:

  • 法律も変わって、製造方法の特許権を主張しやすくなった
  • むしろ特許を取ることで、ライバル企業の参入を防げる
  • 自社の権利をしっかり守れる

まとめ

「ノウハウだから出願しない」

この考え方、ちょっと古いかもしれません。大切な製造方法は、むしろ特許出願して守ったほうが安全な時代になってきているんです。

みなさんも、古い常識にとらわれすぎず、柔軟に考えてみませんか?


2025年2月22日土曜日

特許って不動産投資に似てる?~成功のカギは「先読み力」~

以前、「特許は土地みたいなもの」っていう話をしましたね。

お店を始めるときに土地を確保するように、新しい技術でビジネスを始めるなら特許も確保しておかないと、後から「それ、私の特許なんですけど?」って言われちゃうかもしれない...という話でした。

実は難しいんです、「どこに投資するか」

でもね、ここからが本当の悩みどころ。 「どの特許を取るべきか?」

これって、不動産投資でいうと「どの土地を買うか?」という悩みにそっくりなんです。

考えてみてください:

土地の場合:

  • 駅前の土地?→超高い!
  • インターチェンジそば?→これも高い!
  • 工場の近く?→需要があるけど、やっぱり高い!

当然、いい場所は値段も高いですよね。高すぎる土地を買って、その分を回収できないと意味がありません。

じゃあ、どうする?

賢い不動産投資家って、こんなことを考えます: 「この辺に将来駅ができるんじゃない?」 「ここに新しいインターチェンジの計画があるらしい」

つまり、将来の価値を予想して、今のうちに安く買っておくんです。

特許も同じ発想で!

特許だって同じ考え方ができます:

  • 将来どんな市場が生まれそう?
  • そこでどんな技術が必要になる?
  • 今のうちに特許を押さえておこう!

...という具合です。

でも難しいですよね、「予想」って

「10年先なんて分かるわけない!」

そうなんです。正直、外れることもあります。 だからこそのポイントは...

ある程度外れることを覚悟で、たくさん出願すること!

例えば、100件出願して1件当たれば、全体の費用は回収できちゃったり。意外とギャンブル的な要素もあるんです。

「それって出願料稼ぎじゃない?」

時々こんな声も聞こえてきます: 「弁理士さんが儲けたいから、そんなこと言うんでしょ?」なんて声を聞くことがあります。

でも、ここで要注意なのが「私の予想は絶対に当たる!」「最小限の出願で十分!」という考え方。

実は、これってかなり危険な発想なんです。なぜなら:

  • 技術開発のスピードは年々加速している
  • 競合他社の動きは予測が難しい
  • 市場ニーズは急激に変化することも
  • 一つの技術が思わぬ分野で活用されることも

実際、「これは間違いない!」と思った予測が外れたり、「こんな使い方があったのか!」という想定外の活用方法が生まれたり...。そんな経験、誰にでもあるはずです。

だからこそ、ある程度の「分散投資」的な考え方が重要になってくるんです。


まとめ

特許って、ある意味「技術の不動産投資」みたいなもの。

将来を見据えて、今のうちに権利を確保しておく。でも、予想が外れることもある。だからこそ、ある程度の"分散投資"も大切。

なかなか難しい判断が必要ですが、これも経営の醍醐味かもしれませんね!

2025年2月18日火曜日

生成AI活用による知財業務効率化・特許分析セミナーのご案内

 【AI時代の知財業務を革新する】

生成AI活用による知財業務効率化・特許分析セミナー

知財業務の新時代が始まっています。生成AI(大規模言語モデル)の台頭により、特許分析や明細書作成の手法が大きく変わりつつある今、その波に乗り遅れないためのスキルが求められています。

本セミナーでは、知財分野での豊富な実務経験を持つ川上成年氏が、ChatGPTなどの生成AIを活用した最新の特許データ分析手法から、業務効率化のための実践的なテクニックまでを、分かりやすく解説します。

◆セミナーのポイント

・生成AIの基礎から実践的な活用方法まで、体系的に学べます

・特許データ分析における生成AIとテキストマイニングの融合手法を習得

・実務で即活用できるプロンプトエンジニアリングスキルの習得

・GPT4o-mini APIを用いた大量データ処理の自動化テクニック

◆こんな方におすすめ

・知財部門で業務効率化を推進したい方

・特許分析の新しい手法を模索している方

・生成AIを活用した知財戦略の立案に興味がある方

・基礎から実践まで体系的に学びたい初心者~中級者の方

日時:2025年02月28日(金)13:00~17:00

形式:WEBセミナー(Zoom使用)

受講料:非会員 49,500円(税込)/ 会員 46,200円(税込)

定員:30名(先着順)

【講師プロフィール】

川上成年氏(株式会社知財デザイン 代表取締役)

弁理士として豊富な実務経験を持ち、AIやデータ分析を活用した知財戦略のエキスパート。著書に「ChatGPTでできる特許データ分析入門」など多数。

お申し込み・詳細はこちら:

知財実務者のためのAI活用セミナー:生成AIで実現する業務効率化とデータ解析【LIVE配信】

※本セミナーは、貴重な実践的知識が満載の4時間です。よろしくお願いいたします。 

2025年2月15日土曜日

特許出願が拒絶...でも実は悪いことばかりじゃないんです!

「特許出願が拒絶されました...」

この知らせを受け取ったとき、がっかりしますよね。お金と時間をかけたのに...と落ち込んでしまう方も多いと思います。

実は私、特許の仕事をしていて、よく聞く声があるんです。 「出願費用が無駄になった!」 「お金返して!」

でもちょっと待ってください!

実は、特許出願が通らなかったことにも、悪いことばかりではないんです。今日はその「意外な価値」についてお話ししたいと思います。

拒絶査定で分かる3つの大切なこと

1. 「今の立ち位置」が分かる!

特許が通らなかったってことは、実は「似たような技術がすでにたくさんある」というサインなんです。

つまり...

  • 今の技術レベルが「普通」だということが分かる
  • 「もっと頑張らないと!」という具体的な目標ができる
  • 次の開発の方向性が見えてくる

2. 「これ、やっていいんだ!」が分かる

「特許が取れなかった」=「他の会社も特許は取れない」

...ということは?そうです!その技術、基本的に誰でも使えるってことなんです。 (※ただし、他の特許に引っかからないか、確認は必要です)

確かに権利は持てませんが:

  • ビジネスはできる
  • 開発した技術が使える
  • 市場参入のチャンスがある

3. 「将来の特許」も防げちゃう!

実は、拒絶された特許出願でも公開されるんです。そして、この公開された情報には大きな力があります。

どんな力かというと:

  • 後から似たような特許を出そうとする人の「壁」になる
  • 他社が似た技術の特許を取りにくくなる
  • つまり、「未来永劫」似たような特許の発生を防いでくれる

結局どう考えればいいの?

特許出願が通らなかったからって、すべてが無駄になったわけじゃないんです。

もちろん、いつも拒絶されてばかりじゃマズイですよ。でも、たまには「拒絶」も、技術開発やビジネス戦略のヒントをくれる大切なメッセージとして受け止めてみてはどうでしょうか?

「拒絶」は終わりじゃない。むしろ、次の一歩を考えるチャンスかもしれませんよ!

「量より質」って本当?~歴史から学ぶ特許戦略のヒント~

 最近、特許の世界でよく聞く言葉があります。 「量より質が大切です!」 確かに、いいことのように聞こえますよね。でも、ちょっと待ってください。本当にそうなんでしょうか? 昔の日本はすごかった! 実は、日本には「特許出願件数世界一」だった時代があるんです。そして、その頃の日...