2022年3月21日月曜日

特許マップの歴史

Amazonでパテントマップで検索したところ

パテントマップと情報戦略―開発に活かす特許の地図

https://www.amazon.co.jp/dp/4827102597

という本がヒットしましたので、買ってみました。送料別で1円ということで、特に財布も痛みません。

初版が昭和63年ということで、いまから34年前の本です。何か参考にしたいというよりは、昔はどのような特許マップを作っていたのかの興味から買ってみました。

興味のある方は、安いので買ってみてください(あと4冊の中古があるようです)。

結構綺麗な本が来ましたので、品質的には当たりでした。

この本に例示されている特許マップですが、とても分かりやすいです。

この当時は、マップ作成に特許分類は使用していないようで、もっぱら技術者により設定された用語が使用されております。これがわかりやすさを増大しております。

なお、このころの企業は特許の独自分類というものを持っていたようで、入手した特許公報には、特許部員が、独自分類を付加してファイルするという作業をしていたようです。これは人手の作業ですので大変です(工数もかかります)。

要は、IPCよりは独自分類の時代といえます。今も独自分類は使われているのでしょうか?

具体的な特許マップの作成法ですが、第6章に記載がありまして、

①パトリス等で特許検索をして特許出願を500件ほど選ぶ

②500件の特許出願をカード化する

③大きな模造紙の上に、500件のカードを並べ、KJ法などで分類して、紙の上にまとめる。

④紙の上に分類して並べた特許出願に基づいて表を作る。

というような、人手の作業(手作りの特許マップ)となります。

工数のイメージとしては、 

(新人)技術者4~5人のグループで2か月掛けて報告書にまとめるという感じとなります。

まあ、公報の読み込みも人間がやりますので、このくらいの工数は必要と思います。

このやり方の良いところは、技術者自身が公報を読み込んで分析しますので、アウトプットの特許マップも技術者の用語で書かれており、わかりやすいことにあるかと思います。

悪いところは工数がかかりすぎのところとなります。分析手法がよくても工数がかかりすぎの場合には、それだけで却下となる企業も多いと思います。

特に最近の企業はコスト管理が厳しいので、特許マップを手作業で作りましょう!などと提案しましたら、あほかと思われてしまうかもしれません。 

こういう人海戦術でつくる特許マップをここでは、第1世代特許マップとします。

上記工数のデメリットを解消したのが、特許マップソフトとなります。これを使用しますと、大量のデータを短時間で処理できますので、工数削減に寄与します。

こういう特許マップソフトでつくる特許マップをここでは、第2世代特許マップとします。

しかし、第2世代マップは、IPC等の特許分類で技術を分析しますので、特許マップはわかりにくくなります。

第1世代のように、用語で分析する場合には、課題、解決手段、用途、材料、効果等の、用語の関連性も分析できますが、 特許分類による分析では、特定技術分野の出願件数大小しか分析できません。

要は、技術の分析に向かない特許マップとなると思います。

ということで、第2世代特許マップは、第1世代特許マップより、役に立たない場面が多いかと思います。ということで、この第2世代特許マップは終わりの時期が近付いているような気がします。

最近は、人工知能を使用した特許マップが増えてまいりました。これが第3世代の特許マップとなるかと思います。

人工知能を使用しますと、第1世代特許マップのように、用語による分析に戻れますので、アウトプットは理解しやすくなりますし、技術分析にも使用できる可能性が高まります。 

また、コンピュータが処理しますので、工数が課題となることもありません。

もっとも、 人工知能を使用した特許マップソフトは高すぎて、私のような貧乏弁理士では使用できません。どなたか、無料で使わせてください。

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