先日、弁理士キャラバンの支援員になりました。
9月の研修が終わった後、なぜかやる気が低下し、まあ別に支援員にならなくてもよいかと思うようになりましたが、せっかく研修もすべて出席しましたので、費やした時間がもったいないと思い、11月に条件を満たすべく、コンサルを行い、何とか、支援員となったようです。
なったようです、というのは、履修を終了しても、辞令のようなものもありませんし、登録番号のようなものもありませんので、はたして、自分が支援員になっているのかよくわからないからです。弁理士会から履修証書が1枚送られてきたのみです。
googleで「履修支援員」を検索しますと、まったくHITしませんので、実際に支援員になった人は少ないのかと思いますし、実際に中小企業でコンサルしている人も少ないと推測します。
さて、支援員となった以上は、これからはキャラバンの仕事をやりたいと思いますが、はたしてできるか不安もあります。
コンサルを実際に行って感じたのは、結構工数がかかるということです。想定される工数内で作業を行うことは、現状では、ほぼ無理です。手を抜けばなんとかなるかもしれませんが、それでは、仕事として意味がありませんので、難しいところです。
いくつかコンサルの仕事をして、経験値を上げ、仕事を効率化できれば、なんとかなるかもしれません。 まあ、仕事の依頼があればの話となりますが・・・。
2015年11月27日金曜日
2015年11月23日月曜日
新しい考えを理解してもらうことについて
先日、ある大学院生の方の研究の進捗の説明会に参加してまいりました。大学院生の方が自分の研究について説明してくれるのですが、ほとんど理解できませんでした。
なんでこのようなことになるかと考えましたが、私の頭が悪いのもありますが、自分の構築した新しい理論のみが説明されていたためかとも思いました。
新規の理論は世の中のいろいろな評価を経ていませんし、そもそも従来にない考え方ですので、論理が正しいのか、いちいちチェックする必要があります。
とはいえ、その場で論理をリアルタイムでいちいち確認するというのは、凡人には無理ですので、話しているそばから理解不能となり、最後までわからないということになると思います。
こういう事態を防ぐには、従来の理論を織り交ぜて、従来理論との相違点を説明することが有効と思います。
従来研究は世間の評価を経ておりますので、論理的妥当性はまあまあ確認されていますし、従来研究については、あらかじめ時間をかけて読み込むこともできますので、凡人でも理解できています。
あとは、従来研究に関連付けて新規の部分を説明すれば、万人にわかりやすいと思います。 (特許明細書もこのような構成になっています。)
そうすると、従来研究の説明9割、新規部分の説明1割くらいで説明すれば、いいのではないかと思います。
しかし、新規の部分が少ないと研究としてはどうかと思いますので、聞く人の能力に応じて8:2とか7:3に調節することになるかと思います。
そう考えますと、新しいことを人に理解してもらうということは、非常に大変であることがわかります。
例えば、掃除機を開発する場合、吸引力を5%改善した掃除機というのは実現し易いと思います。
なぜなら、この程度の改善でしたら、メカニズムのほとんどは、従来の掃除機と同等ですので、経営陣にも理解しやすいですし、開発のGOサインが出やすいと思います。
また、ユーザーも同様に機能が想像しやすいので、買ってみようという気持ちになると思います。
ところが、ロボット掃除機となると、今では普及していますが、出た当時としては会社の人も、ユーザーも機能や構造を理解できませんので、開発のGOサインはでないでしょうし、たとえ販売しても誰も買う人はいないと思われます。
そう考えますと、日本の技術は改良が多いといわれますが、これは日本人に創造性がないのではなく、新しいものは関係者の理解・説得が難しく、実現しにくい事情があると思います。
ということで、従来にない新しい考えを理解してもらうのは、なかなか難しく、実現はさらに難しいという話でした。
なんでこのようなことになるかと考えましたが、私の頭が悪いのもありますが、自分の構築した新しい理論のみが説明されていたためかとも思いました。
新規の理論は世の中のいろいろな評価を経ていませんし、そもそも従来にない考え方ですので、論理が正しいのか、いちいちチェックする必要があります。
とはいえ、その場で論理をリアルタイムでいちいち確認するというのは、凡人には無理ですので、話しているそばから理解不能となり、最後までわからないということになると思います。
こういう事態を防ぐには、従来の理論を織り交ぜて、従来理論との相違点を説明することが有効と思います。
従来研究は世間の評価を経ておりますので、論理的妥当性はまあまあ確認されていますし、従来研究については、あらかじめ時間をかけて読み込むこともできますので、凡人でも理解できています。
あとは、従来研究に関連付けて新規の部分を説明すれば、万人にわかりやすいと思います。 (特許明細書もこのような構成になっています。)
そうすると、従来研究の説明9割、新規部分の説明1割くらいで説明すれば、いいのではないかと思います。
しかし、新規の部分が少ないと研究としてはどうかと思いますので、聞く人の能力に応じて8:2とか7:3に調節することになるかと思います。
そう考えますと、新しいことを人に理解してもらうということは、非常に大変であることがわかります。
例えば、掃除機を開発する場合、吸引力を5%改善した掃除機というのは実現し易いと思います。
なぜなら、この程度の改善でしたら、メカニズムのほとんどは、従来の掃除機と同等ですので、経営陣にも理解しやすいですし、開発のGOサインが出やすいと思います。
また、ユーザーも同様に機能が想像しやすいので、買ってみようという気持ちになると思います。
ところが、ロボット掃除機となると、今では普及していますが、出た当時としては会社の人も、ユーザーも機能や構造を理解できませんので、開発のGOサインはでないでしょうし、たとえ販売しても誰も買う人はいないと思われます。
そう考えますと、日本の技術は改良が多いといわれますが、これは日本人に創造性がないのではなく、新しいものは関係者の理解・説得が難しく、実現しにくい事情があると思います。
ということで、従来にない新しい考えを理解してもらうのは、なかなか難しく、実現はさらに難しいという話でした。
2015年11月17日火曜日
周知技術問題について(最終回)
以前何回かこのブログで、1回目の拒絶理由通知で新たな事項を組み込む補正をすると、周知技術で拒絶査定となり困っていることを記事にしたことがあります。
http://chizai-design.blogspot.jp/2015/10/blog-post_18.html
結局、全件拒絶査定不服審判を請求して、何とか全件特許査定となりました。
本屋で、「拒絶理由通知との対話」というような題名の本を見かけたことがあります。(読んではいません。)
私もこのような感じで、拒絶理由は審査官からのメッセージと捉えて、拒絶理由通知を事細かに分析して対応することが正しいという考えで仕事を進めてきました。
しかし今回の件で、この考えにはリスクがあることがわかりました。
要は、拒絶理由通知には記載も示唆もされていない、審査官の考えのようなものがあるということです。
また、一発で拒絶査定ということは、審査官側には、出願人とコミュニケーションをとる意欲もあまりないといえるかと思います。
したがって、今後は拒絶理由通知の分析だけではなく、例えば、面接なども駆使して、審査官の意図を探って行こうと思います。
拒絶理由通知に際し、全件面接を義務付けている企業もあるようですが、 無用な審判請求を避けるためには確実な方法かもしれません。
今回は、審判請求により権利化できましたが、出願人が審判請求の意思を示さなければ権利化できず、資金を投入した開発の成果を他社にただで提供するような、ひどい状況となるところでした。
2015年11月15日日曜日
言葉の使い方などについて
最近は少なくなりましたが、駅前で楽器を演奏して歌っている人がいます。こういうのを聞くととても迷惑な気分になることが多いです。
それはなぜかと考えましたら、駅前で歌うような素人の作る曲というのは、自己顕示欲を満たすためのものが多く、歌詞なども自分の感情を押し出すのみであり、聞く人のことを考えていないからと思います。
多くの人は他人に興味はありませんので、通勤通学途中に、無理やり聞かされても迷惑というわけです。
そう考えますと、プロのつくる音楽というものは、自分の考えを押し出すというよりは、聞く人の感情を引き出すような仕掛けがされていると思います。
聞く人の記憶につながるような言葉を選んで歌詞として構成し、聞く人の感情を引き出すことにより、自分の曲として聞けるようになり、それでCDを買おうという行動につながると思います。
もちろんそういう歌詞を書くためには、詞の勉強も必要ですし、生きた言葉とするにはそれなりの苦労をした人生経験も必要かと思います。
・・・
特許の仕事も言葉を使って明細書という文章を作るという点で、言葉を使用する仕事といえます。
明細書作成は国語的というよりは、機械設計、回路設計、プログラミングのような世界に近いです。論理に基づいて言葉を組み立ててゆくのみです。
そんな特許の世界ですが、感情を引き出そうと努力する場面があります。
それは、審査・審判・訴訟の段階において、審査官・審判官・裁判官に、発明の進歩性を主張する場面です。
少々まずいのは、自分は進歩性があると思う、とか、特許すべきとか、一方的に自分の感情を審査官にストレートにぶつけてしまうケースです。
しかし、これでは、審査官の心証は動きませんので、ほとんど意味はないと思います。そうすると、、審査官の感情を引き出して共感を得て、進歩性を認めさせる必要があります
たまに見かけるのが 、審査官の悪い感情を引き出す言葉の使用です。
例えば、「審査官殿の認定は片腹痛い」、「笑止千万」、「技術がわかっていない」、「愚かである」・・・、等、読んでいるだけで怒りが生じる言葉です。
もちろん、 審査官が怒れば、非論理的になり、進歩性否定のロジックに穴があけられるという高等戦術もあると思いますが、たいていは、良い結果につながらないと思います。
できれば、審査官の良い感情を引き出したいところですが、 ポイントは「意外感」となると思います。
これまたまずいのが、法律論のみで攻めることです。例えば、組み合わせの動議づけや、阻害要因などを一生懸命論じることです。
しかし、審査官も、そのあたりの検討は十分にやっていますので、声高に主張しても意外感がなく、あまり効果的ではありません。
そこで、意外感を演出するには、技術論に持ち込むことが効果的と思います。
審査官は技術開発を実際にしているわけではありませんので、技術開発の細かい点まで検討できているわけでもありません。そこで、技術論に持ち込めば意外性が出てきます。
例えば、技術的な背景、技術の詳細、発明をなすことが困難であった技術的理由、などです。そして、技術論を法律論に変換することにより、進歩性があるとの心証を得ることができるかと思います。
もちろん、技術論で攻めるにしても、うわべだけの言葉では死んだ言葉となってしまいますので、その技術分野の深い知識や、開発に苦労した経験に基づく、生きた言葉にしなければなりません。
そうすると、企業での開発経験がある弁理士に文書作成を依頼したり、発明者の生の言葉をつかって反論したりすることが有効となります。
・・・
ということで、音楽にせよ特許にせよ、仕事として言葉を使うには、たゆまぬ勉強と血肉となる経験が必要ということになるかと思います。
それはなぜかと考えましたら、駅前で歌うような素人の作る曲というのは、自己顕示欲を満たすためのものが多く、歌詞なども自分の感情を押し出すのみであり、聞く人のことを考えていないからと思います。
多くの人は他人に興味はありませんので、通勤通学途中に、無理やり聞かされても迷惑というわけです。
そう考えますと、プロのつくる音楽というものは、自分の考えを押し出すというよりは、聞く人の感情を引き出すような仕掛けがされていると思います。
聞く人の記憶につながるような言葉を選んで歌詞として構成し、聞く人の感情を引き出すことにより、自分の曲として聞けるようになり、それでCDを買おうという行動につながると思います。
もちろんそういう歌詞を書くためには、詞の勉強も必要ですし、生きた言葉とするにはそれなりの苦労をした人生経験も必要かと思います。
・・・
特許の仕事も言葉を使って明細書という文章を作るという点で、言葉を使用する仕事といえます。
明細書作成は国語的というよりは、機械設計、回路設計、プログラミングのような世界に近いです。論理に基づいて言葉を組み立ててゆくのみです。
そんな特許の世界ですが、感情を引き出そうと努力する場面があります。
それは、審査・審判・訴訟の段階において、審査官・審判官・裁判官に、発明の進歩性を主張する場面です。
少々まずいのは、自分は進歩性があると思う、とか、特許すべきとか、一方的に自分の感情を審査官にストレートにぶつけてしまうケースです。
しかし、これでは、審査官の心証は動きませんので、ほとんど意味はないと思います。そうすると、、審査官の感情を引き出して共感を得て、進歩性を認めさせる必要があります
たまに見かけるのが 、審査官の悪い感情を引き出す言葉の使用です。
例えば、「審査官殿の認定は片腹痛い」、「笑止千万」、「技術がわかっていない」、「愚かである」・・・、等、読んでいるだけで怒りが生じる言葉です。
もちろん、 審査官が怒れば、非論理的になり、進歩性否定のロジックに穴があけられるという高等戦術もあると思いますが、たいていは、良い結果につながらないと思います。
できれば、審査官の良い感情を引き出したいところですが、 ポイントは「意外感」となると思います。
これまたまずいのが、法律論のみで攻めることです。例えば、組み合わせの動議づけや、阻害要因などを一生懸命論じることです。
しかし、審査官も、そのあたりの検討は十分にやっていますので、声高に主張しても意外感がなく、あまり効果的ではありません。
そこで、意外感を演出するには、技術論に持ち込むことが効果的と思います。
審査官は技術開発を実際にしているわけではありませんので、技術開発の細かい点まで検討できているわけでもありません。そこで、技術論に持ち込めば意外性が出てきます。
例えば、技術的な背景、技術の詳細、発明をなすことが困難であった技術的理由、などです。そして、技術論を法律論に変換することにより、進歩性があるとの心証を得ることができるかと思います。
もちろん、技術論で攻めるにしても、うわべだけの言葉では死んだ言葉となってしまいますので、その技術分野の深い知識や、開発に苦労した経験に基づく、生きた言葉にしなければなりません。
そうすると、企業での開発経験がある弁理士に文書作成を依頼したり、発明者の生の言葉をつかって反論したりすることが有効となります。
・・・
ということで、音楽にせよ特許にせよ、仕事として言葉を使うには、たゆまぬ勉強と血肉となる経験が必要ということになるかと思います。
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