2020年6月28日日曜日

特許情報分析の考え方

特許情報分析というと、いろいろパテントマップを作って、うんぬんというイメージですが、私も特許情報分析を行う目的について、混乱してまいりましたので、簡単に整理したいと思います。


いわゆるパテントマップ(含むIPランドスケープ)は何のためにつくるかといえば、これは経営戦略(含む、技術戦略、知財戦略)を策定するためとなります。

つまり、最終的な出力としては経営戦略の提言となると思います。

とはいえ、戦略とは全社的な大きな話となりますので、パテントマップは参考情報の一つにとどまざるを得ません。

このようなことから、参考情報を超えて経営戦略へ大きな影響を与えるために考案されたのがIPランドスケープというコンセプトとなると思います。

一方、私がこまごまとやっている課題-解決マップづくりの方ですが、これは、最終的な出力としては発明となります。

つまり、パテントマップと比較しますと小さな話となります。

とはいえ、発明がなされますと特許出願という話につながりますので、個人的には(食べてゆくためには?)は重要な話となります。

しかし、課題-解決マップをつくれば発明が生まれるのか、といえば、全くそうではありません。発明を生み出すには、さらに発想法を組み合わせる必要があります。

課題-解決マップというキーワードでgoogle検索をしますと、某弁理士の書かれた200ページを超える資料がヒットしました。

その資料には、課題-解決マップについて、「作成工数が多大にかかる割には、いまいち役に立たない」との見解が示されてました。確かにその資料にある課題解決マップを見ますと、役に立たなそうでした。

ということで、やみくもに課題-解決マップを作るのも、工数を消費するだけですので、やめた方がよいこととなります。

というわけで、特許情報分析手法も目的に応じて使い分け、目的に応じて作成する、という話でした。

2020年6月27日土曜日

エコの話

今から30数年前、私が大学生のときに聞いた話で以下のようなものがありました。

それは、牛乳の入れ物の素材は、ガラス、紙パック、ポリエチレンのどれがエコか?というものでした。

結論から言いますと、ポリエチレンが一番エコで、次が紙パック、最悪がガラスということのようです(評価法によっては変わるかもしれませんが・・・)

ガラスの場合には、製造に高温とする必要があるのでCO2排出が多く、また重いことから輸送にCO2を多く排出し、リサイクル時の洗浄により水を汚染する、などエコでない側面があります。

紙パックの場合には、原料に木材を使用することから森林によるCO2吸収能力が低下し、リサイクル時の漂白剤や洗浄により水を汚染する、などエコでない側面があります。

ポリエチレンは、製造にエネルギーを比較的要せず、使用後は燃やしてしまえばよいため、環境を汚染することもありません。

結局のところ、プラスティック原料がエコでないように見えるのはイメージの問題であり、実際にはガラスや紙を使用する方が環境負荷が大きいと思われます。

プラスティック原料の問題点は自然環境下で分解されない点ですが、これは、廃棄物の回収がしっかり行われ処理が行われている日本では問題とはなりません。

7/1からエコの観点からレジ袋が有料化されるそうですが、イメージの問題なのか、本当にエコなのか、気になるところです。

2020年6月20日土曜日

AIツールの使い勝手について

最近は、無料のAIツールがいろいろ利用できるようになっています。もちろん無料のものは機能が制限されており、有料ツールのお試し版という位置づけです。

無料であることから貧乏な私でも使用することができましたので、感想を書きたいと思います。

まずは、DeepLですが、最近は無料翻訳ツールがたくさんあるので助かります。DeepLは最近話題の翻訳ツールの一つです。

試しに、某公開請求項(英語)を日本語に翻訳してみましたところ、少し驚いたのは技術的な専門用語がほぼ完ぺきに翻訳されていたところです。

これはすごいということで、さらに細かく見たところ、英文にはないフレーズが日本語訳に付加されておりました。つまり英文と日本文に内容の不一致の部分がありました。

英文を微修正しても、この謎の日本文が一文追加されてしまうという謎の現象でした(原因は薄々推測できるのですが、ここで自説を披露するのはやめておきます)。

したがいまして、全体としてはよく翻訳されておりますが、実務には使用できないというのが今の感想です。

雑誌とかネット記事とかを大量に読む必要がある場合には、十分に使えるのではないでしょうか。

次に、IP Samurai(一部機能)ですが、これは、発明内容を入力すると、人工知能による類似文献評価を実施します。発明内容から国際特許分類(IPC)を自動認定し、A~Dの4段階でスピーディーに類似性を評価するツールです。

これも特許される確率が表示されますので、楽といえば楽です。

これが実務に使えるかというと、使う人次第となります。例えば、このツールを信用できる人は、ランクAだから出願しようと考えることができますので、役に立ちます。

一方、進歩性があることの論拠まで求める人は、機械学習では因果推論までできませんので、人間が因果推論する必要があります。この場合には、このツールは従来同様の先行文献調査ツールの一つとなります。

古くから、概念検索できるツールがたくさんありますので、これとあまり変わらないということになるかと思います。

結局のところ、AIツールを使いこなすためには、AIツールのアウトプットを正しく評価できる能力が人間にないといけないということになります。

少し前に、AIが裁判に必要な証拠の選択を、人間の弁護士の何百倍もの効率で短時間でこなした、というようなニュースを見ました。

このニュースの論調としては、これをもって弁護士がいらなくなるというものでした。

私の感想としては、AIツールが収集した証拠の妥当性の評価は結局弁護士がやらねばならないのだから、弁護士が必要なことは変わりなく、いらなくなることはないのではないかと思いました。仕事が効率化する程度のこととなると思います。

とはいえ、AIツールの登場は微妙に実務に影響を与えることになるのではないかとも思います。

DeepLを使用した際には、英文クレームをいろいろ微修正して、日本語がどのように変化するか、無意識に試しました。要は、AIが翻訳しやすいクレームの表現を人間の側で考えたということになります。

IP Samurai(一部機能)についても、日本語クレームをいろいろ微修正して、ランクがどのように変化するか、無意識に試しました。要は、AIが類似性を判断しやすいクレームの表現を人間の側で考えたということになります。

従来弁理士は、人間が理解しやすいクレームを書くように、自らを学習させていましたが、これからは機械学習が学習しやすいようなクレームを書けるように、自らを学習させる時代が来つつあると思います。

2020年6月17日水曜日

「知財」の寿命について

最近思いますのが、「知財」という用語が陳腐化しているのではないかということです。

私が「知財」という言葉を初めて知ったのは、就職した1990年代後半のことで、そのころ、会社の「特許部」という呼び名が「知財部」へ変わっていったと思います。

その後、21世紀に入り、国の知財立国宣言などがなされ、知財が大いに盛り上がったと思います。特許出願数は世界一となり、知財高裁もでき、弁理士志望者も1万人を越え、そのころ私も弁理士になりました。

私がよくゆく書店では、そのころ、知財関連書籍に6つの棚を使い、弁理士試験書籍に2つの棚を使っておりました。

今は知財関連書籍の棚は3~4に減り、弁理士試験書籍の棚はほぼ消滅に近い状況となっております。

特許出願件数は減り、知財高裁をつくったのに訴訟は増えず、弁理士志望者も数千人とひどいありさまです。

ということで、2020年、知財の世界は明らかに衰退期に入ったと思われます。

それで気になりますのが「知財」という用語の寿命が尽きますと、私のブログタイトルにも「知財」が入ってますので、なんとなく時代遅れに感じてしまうことにならないかということになります。

ということで、最近は「知財」に代わる言葉があるかどうかと探しています。良い言葉があれば、改名も考えようと思います。

よく考えますと、最近、特許庁も経営デザイン宣言(デザイン経営宣言でしたか?)などと知財に関連が薄い活動をしており、特許庁としても「知財」という用語を使用するのは時代遅れに感じている可能性があります。

なお、経営学では、ライフサイクルの衰退期に入った場合には、「撤退の時期(タイミング)を見極める」、「新製品(サービス)へ移行する、新市場に参入する」との判断が必要とのことです・・・・・・・・・・・。

まあ、どうなんでしょうか?余力のある方は、考えておいた方がよさそうです。

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